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2014年第3回定例会 代表質問(全文) 

 日本共産党杉並区議団を代表して、区長の所信表明について質問します。
 
 ◆まず、区長の政治姿勢についてです。
 内閣府が一昨日発表した4月〜6月期の国内総生産の改定値は、速報値から下方修正され、年率換算でマイナス7・1%と大幅な落ち込みとなりました。なかでも、個人消費は、1994年以来20年間で最大の悪化です。働く人の実質賃金が4月から6月にかけて前年比で3%も減少したうえに、消費税の増税が加わったことが大きな要因です。アメリカの経済紙ウオールストリートジャーナルは「日本経済は崖から突き落とされた」と報じました。
 4月の増税後に内閣府が行った「国民生活に関する世論調査」では、生活の向上感や満足度は前回の調査よりどれも後退しており、国民のくらしの悪化、不安の増大はあきらかです。
(質問)区長は所信表明で「選挙中、区民から様々な分野で多くの声を聞いてきた。そうした中で、区の使命は、区民の生活や地域の現状をしっかりと把握し、区民福祉の向上を図ること」と述べていますが、区民のおかれている状況や区民生活をどう守るのかについては言及がありませんでした。区長は、区民のくらしについて、どう認識し、区としてどのような対策が必要と考えているのでしょうか。見解をうかがいます。
 
 経済対策について
 所信表明では「政府はデフレ脱却と経済再生への道筋を確かなものにすべく、法人税改革をはじめ、雇用、医療、農業の分野における。いわゆる岩盤規制の改革を柱とする成長戦略をうちだした」と安倍政権の経済政策に触れています。
 6月に閣議決定された「骨太の方針」「新成長戦略」の中心となっているのは法人税の減税や公的年金資金の株式市場への投入など、大株主や外国人投資家を喜ばせるものばかりです。最大の目玉とされた法人税減税については、現在約35%の法人実効税率を数年で20%台まで引き下げることが明記されました。その一方、赤字に苦しむ中小企業からも税金を取り立てる「外形標準課税」を拡大しようとしています。消費税を価格に転嫁できず身銭を切り、厳しい経営を強いられている中小企業に増税し、巨額の内部留保を貯め込んでいる大企業に減税するなど本末転倒です。
 「骨太の方針」では社会保障費「聖域なく見直し」「徹底的に効率化・適正化」することを宣言しています 昨年の「骨太の方針」にはあった「自助、共助、公助のバランス」という記載が消し去られ、「自助・自立のための環境整備」が強調されています。国保や高齢者医療の保険料・窓口負担の強化、生活保護の住宅扶助や冬季加算の削減など、さらに切り捨てる方針を明確にしています。
 国の責任を大きく後退させ、個人や家族に負担と犠牲を強いる“自己責任による社会保障”の考えを前面に掲げたことは、憲法25条にもとづく国民の生存権保障や社会保障の向上・増進にたいする国の責任放棄に等しいものです。
 雇用の分野では「働き方の改革」と称し、残業代をゼロにする「新たな労働時間制度」や、「裁量労働制の新たな枠組み」などが盛りこまれました。「女性の活躍推進」をうたいながら、配偶者控除や手当の廃止・縮小など負担増も狙っています。
(質問)安倍政権の経済政策アベノミクス第3の矢「成長戦略」は国民のくらしをかえりみず、財界・大企業の目先の利益を優先するもので、賃金や雇用にまわることなど期待できないことは明らかです。区長は「成長戦略」で経済はよくなると思うのか、見解をうかがいます。
 
 消費税増税について
 区長は「増税の増収分については、社会保障分野の財源に全て充てられるとされていることから必要な施策。国の動向を注視する」と一貫して消費税増税を容認してきました。しかし、実態はどうでしょうか。社会保障に回されたのは増税分の1割だけで、医療・年金・介護はどれをとっても充実どころか切り捨てられています。結局、大企業の減税の穴埋めのためでしかなかったことがはっきりしました。
 安倍政権は、来年10月10%へ税率を引き上げるかどうか、年内に判断するといっています。これ以上の増税は、個人消費をいっそう落ち込ませ、暮らしも経済も破壊においこむことは明らかです。世論調査でも10%増税に「反対」が、7割から8割近くにのぼっています。
(質問)来年10月の消費税10%増税について、動向を注視するという姿勢でなく、明確に中止を迫るべきではありませんか。見解を求めます。
 
 集団的自衛権について
 7月1日、安倍政権は集団的自衛権行使容認「閣議決定」を強行。来年の春のいっせい地方選後の通常国会に、自衛隊法など関連法の改正案を一括で提出する方針で、「戦争する国」づくりへと突き進んでいます。
 「集団的自衛権行使は、憲法上許されない」とする政府の見解は、半世紀を超える長い国会論戦の積み重ねをつうじて、定着・確定してきたものです。それを、国民多数の批判に耳を傾けることもなく、国会でのまともな議論もおこなわず、与党だけの密室協議で、一片の閣議決定によって覆すというのは、憲法破壊のクーデターともよぶべき暴挙です。 
 「集団的自衛権許すな」「若者を戦場に送るな」こうした声は各界に大きく広がっています。広島・長崎では、被爆者の代表が「閣議決定」の撤回を安倍首相に求めました。長く防衛官僚をつとめた新潟県加茂市の小池市長は「集団的自衛権の行使は、いかに小さなものであっても、憲法9条第1項に定める『国際紛争を解決する手段としての武力行使』であり、すべて憲法違反。したがって、閣議決定は撤回すべき」と、安倍首相に意見書を提出しました。松坂市の山中市長は、「集団的自衛権は他国の国際紛争を武力で解決するもの。憲法9条に明らかに反している」と違憲訴訟を起こす準備を始めました。長崎市の田上市長は、平和祈念式典のあいさつで、「憲法にこめられた『戦争しない』という誓いは、被爆国日本の原点で、被爆地長崎の原点だ」と発言。集団的自衛権の行使容認への不安と懸念の声に耳を傾けるよう政府に強く求めました。
 区長は第2回定例会のわが党への質問に対し、「国の基本理念にかかわる安全保障政策については、国会において十分な議論を重ねていくとともに、国民合意を得ていくことが最も重要なプロセスであると考えている」と答弁。自身の見解は述べられませんでした。世論調査では、閣議決定に「反対」「説明不足」が多数にのぼっています。
(質問)集団的自衛権行使容認「閣議決定」について、あらためて区長の見解を求めるものです。また、十分な議論、国民合意が得られていないことは明白であり、住民の生命と安全を守る自治体の首長として、「閣議決定」の撤回を求めるべきです。見解をうかがいます。
 
 原発について
 原発再稼働の策動を強めている安倍政権にノーを突きつける司法の判決が相次いでいます。大飯原発の運転差し止めを命じた5月21日の福井地裁判決に続いて、8月26日、福島地裁は、東京電力に対して、原発事故で避難生活中に自ら命をたった女性への損害賠償支払いを命じる判決を下しました。この二つの判決が示したことは、人類と原発は共存できないということではないでしょうか。安倍政権は、二つの判決を重く受け止め、全国すべての原発の再稼働を中止し、被災者の苦しみに寄り添い、収束・除染・賠償・生活再建に最後まで責任を負うべきです。
 区長は、先の定例会でのわが党の質問に「再稼働については、原子力規制委員会が設置されており、世界で最も厳しい水準と言われる規制基準に基づき、技術的、科学的に慎重な審査が行われていくものと認識している」と答弁しました。これは、事実上、原発再稼働を容認するもので、看過できません。政府は「世界で最も厳しい規制基準」といっていますが、核燃料溶融時の対応設備や格納容器の強度、電源系統の独立性などの重要事項について、EUの基準で実施されているものすら盛り込まれておらず、「世界最高水準」などと到底いえるものではありません。
(質問)基準を満たしたなどとして原発の再稼働を強行し、今後の「ひな型」とすることは決して許されません。区長は、政府に対し、原発再稼働の中止を迫るべきですが、見解を求めます。
 
 安倍政権は、あらゆる分野で国民のいのちとくらし、平和を脅かす暴走政治を突き進めています。こうした政治に対し、動向を見守る、注視をするという姿勢はもはや許されません。杉並区が悪政に立ちはだかる姿勢に立つことを強く求め、区政の問題についての質問に移ります。
 
 ◆まず、まちづくりについて
 区立施設再編整備計画では、近隣住区の考え方の見直しが示されました。駅勢圏を中心に設定した7地域については今後も施設整備の基準として継承する一方、児童の通学区域を基準に設定した46地区に基づく施設配置基準について、今後は「地区」の枠にとらわれず、施設の複合化・多機能化を進めるというものです。46地区ごとの充実した施設配置を崩す重大な問題です。
 区長はこれまで多心型まちづくりを推進するとして、駅周辺で個性をいかしたまちづくりを進める方針を示してきました。所信表明でも、「駅周辺を中心としたにぎわいのあるまちづくりを進める。来街者を呼び込む」ことが強調されています。このこと自体すべて否定するものではありませんが、住宅都市・杉並の価値は、地区ごとに小中学校や保育園、児童館、ゆうゆう館など配置し、たとえ駅から離れていても、利便性が高く、活力ある地域コミュニティが形成されてきたことにあったのではないでしょうか。区長の見解はどうでしょうか。答弁を求めます。
 杉並区は良好な住宅都市と言われてきました。それを維持するためには、環境破壊を防ぐ歯止めが必要です。ところが、田中区長の基本構想では「無秩序な乱開発を防ぐ」という歯止めがはずされてしまいました。都市計画道路の整備や駅周辺整備が強調され、開発優先のまちづくりになるのではという懸念が広がっています。 なかでも善福寺地域の環境と沿線住民の暮らしを壊す不要不急の東京外環道路計画を一貫して推進していることは重大です。この間、練馬区間で都市計画変更の手続きが行われ、外環の2計画も活発に動き始めています。
(質問) 外環道路計画と、外環の2地上部街路計画は直ちに中止するよう求めます。見解をうかがいます。
 
 施設再編整備計画について
 わが党は、施設再編整備計画について、施設の廃止や転用のみが先行し、機能の維持、継承の具体的な姿は曖昧なままであること、区長のトップダウンで進められたものも多く、特にあんさんぶる荻窪と荻窪税務署の財産交換は区議会ですら、マスコミ発表により事態を知るという異常な進め方であること、パブリックコメントには、計画の見直しを求めるさまざまな意見が寄せられたにもかかわらず、計画の基本的な方向性は変わらなかったこと、区が都合のいいように人口推計データを使い分けしていることなど、問題点を指摘し、計画は白紙撤回して、あらためて住民参画で議論をし直すよう求めてきました。
 計画が策定された後も、児童館、ゆうゆう館の存続を求める声、産業商工会館と阿佐ヶ谷地域区民センターを廃止し杉1小への統合に反対する声、荻窪税務署等の財産交換はやめて、あんさんぶる荻窪の現在地での存続を求める声が上がっています。
 こうした区民や利用者は、計画に納得できないとし、8月、区に話し合いを申し入れましたが、区はこれを拒否しました。区民から「区は、今後も計画の具体化にあたっては引き続き区民の意見を聞き、理解を得ながらすすめるとしてきたではないか。話し合いを拒否するとは、これと矛盾するものだ。納得できない」と怒りのの声が寄せられています。自治基本条例でも「区民は区政に参画する権利及び区政に関する情報を知る権利がある」と定めており、区の姿勢はこの精神に反するもので認められません。
(質問)区民・利用者の声を無視し、計画を強引に進めることがあってはなりませんが、見解をうかがいます。区民や利用者から、懇談・協議の場を求められた場合は、応じるべきですが、見解をうかがいます。
 
 窓口業務の民間委託推進等について
 所信表明で窓口業務の委託方針が示され、「行財政改革推進計画」改定案では、国保年金課の窓口業務を中心とする専門定型業務の委託を推進することが示されました。
 戸籍業務を民間委託した足立区では、偽装請負に当たると東京労働局から是正指導を受け、委託の一部撤回を表明しました。「通常は5分で終わる手続きに3時間以上かかった」という事態も発生し、区民サービスは大きく低下。「経費削減」で委託したにも関わらず、多額の経費がかかったとのことです。
(質問)足立区の事例は、住民サービスの低下と税金の無駄遣いをもたらしたと考えますが、区長の認識はどうか、うかがいます。
 国保年金課の窓口で取り扱う情報には、氏名・住所だけでなく、保険料滞納のこと、病気のことなど、きわめて重要な個人情報が含まれています。プライバシーの漏えいが懸念されます。また、窓口では、区民から様々な相談も寄せられますが、機械的な対応になり、区民に寄り添った対応ができるのか、区の職員が直接指示できないため、事務の流れがスムーズにいかず効率的とはいえない、など多くの問題点を含んでいます。住民サービスの向上につながらないことはあきらかです。委託方針は撤回すべきです。見解を求めます。
 区立保育園の指定管理者制度や民営化、学童クラブの委託も推進するとしています。保育所の運営には、安定性、継続性、専門性が必要とされますが、指定管理者制度では、それらが保障されないこと、低賃金で働く官製ワーキングプアを生み出すことなど、問題点を指摘してきました。
(質問)保育、学童など、区が直営で行ってきた福祉施設を民間に丸投げすることは、区の責任放棄であり、これ以上の指定管理者制度導入や民営化は進めるべきではありません。見解を求めます。

 次に、個別の施策について質問します。
 ◆保育について
 多くの保護者や保育関係者の懸念の声、反対の意見を無視して強行された「子ども子育て支援新制度」が来年4月から実施されようとしています。新制度は、保育に対する国や自治体の責任を後退させ、子どもの保育に格差を持ち込み、保育を営利企業にいっそう委ねていくもので、公的保育制度の大改悪です。これまで様々な問題点が指摘されてきましたが、今も改善されない課題が数多く存在しています。また、国の作業の遅れもあり、自治体の事業実施にも影響が出かねない状況にもなっています。
(質問)今定例会に、新制度実施のための関連議案が提案されますが、国の制度設計が遅れるなか、国に対して拙速な進め方を慎むように、区として意見をあげるべきではありませんか。
 新制度で待機児童解消の中心施策として位置付けられた小規模保育施設等の地域型保育事業は、多くの事業形態で認可保育基準や現行基準を下回っており、現在の保育の質が確保されないことが懸念されます。基礎自治体として、基準を引き上げること、最低限でも現行基準を維持することが必要です。
(質問)小規模保育施設等での3歳児以降の受け入れ先を確保することも急務の課題です。保育施設の連携施設を早急に決めるべきですが、見解をうかがいます。
 この間、基準案に関するパブリックコメントが実施されましたが、内容の複雑さに保護者や現場職員から批判の声があがっています。新制度移行まで残り半年程度となり、次年度4月入園に向けての入所申請も迫るなか、新制度の詳細が十分に明らかにされず保護者への情報も行き届いていない。このような事態は許されません。制度が変わることを知らない保護者は多数にのぼっており、迅速な情報提供と周知徹底は大きな課題です。
(質問)新制度の周知について、区はパンフレットを作成し、入園申請書の配布に合わせて行うといっていますが、もっと速やかに行うべきではありませんか。さらに、今後は、保育関係者、保護者、住民を対象とした説明会や懇談会の開催も必要と考えますが、見解をうかがいます。
 新制度への移行というもとであっても、多くの保護者のニーズは認可保育所です。杉並区が実施したニーズ調査でも認可保育所の利用希望が最も高いという結果が出ています。区長は、保育定員を今後4年間で2900人増やすと表明しましたが、認可保育所の増設で取り組むべきと強く求めるものです。その際、区立施設再編整備計画の実施で用地を確保するのではなく、廃止決定された国家公務員宿舎をはじめ、未利用の公有地などの活用で整備すべきです。さらに、事実上民間に丸投げというこの間の区の整備方針も改めることが必要です。
(質問)保育施設整備を民間任せにせず、区の責任で増設を行うことが必要ですが、区の見解をうかがいます。あわせて、その際の認可基準については区の現行基準を維持すべきですが、どのようにお考えでしょうか。
 
 ◆少子化対策について
 日本創成会議が「若年女性が50%以上減少する市町村が全国で896」との推計を発表し、マスコミも「全国の半分の市町村が消滅可能性」などと騒ぎたてました。現実に少子化・高齢化は進行しており、その対応は当然必要ですが、過度に不安をあおって社会保障など住民サービスを切り捨てる脅しに使うことは許されません。
 結婚や出産、子育ては、国民一人ひとりの選択であり、その権利は尊重されなければなりませんが、安心して子どもを産み育てることができる環境整備をすすめることは政治の責任です。
 区長は、「少子化対策の入り口は待機児対策」だと述べています。確かに保育待機児童対策は最優先で取り組まなければならない課題ですが、希望する人が、子どもを産み育てやすい環境にするためには、安定した雇用と人間らしい働き方、経済的な安定が不可欠です。しかし、若者の2人に1人が非正規雇用。正規雇用も異常な長時間労働、さらにブラック企業など、若者を取り巻く環境は過酷さを増しています。
(質問)安倍政権は、「成長戦略」で、「生涯派遣」「正社員ゼロ」「無制限残業」などを強いる労働法制の改悪を狙っています。こうした改悪が行われれば、若者を取り巻く状況はいっそう過酷になり、少子化対策に逆行するものと考えますが、区長の見解はいかがでしょうか。少子化対策というなら、正規雇用を増やし、労働時間や賃金、休日など、ゆとりある働き方ができる社会にするよう、国に意見を上げるべきと考えますが、区長の認識はいかがか、答弁を求めます。
 
 ◆介護について
 要支援者の通所介護・訪問介護を保険給付から外して自治体への丸投げや特養ホームの申し込みを要介護度3以上に制限するなど、多くの高齢者を介護保険サービスからしめ出す介護保険の改悪が強行されました。制度の根幹を壊す大改悪で、多くの「介護難民」が発生するのではないかと危惧されています。
 要支援者の総合事業への移行は2015年度から開始し、2017年4月までに全自治体で実施させるとしています。NPOやボランティアなどが担い手とされ、利用料については、要介護者の利用料を下回らないようにとされています。
 杉並区の要支援者で、デイサービスを受けている人は2077人、ホームヘルプサービスを受けている人は2337人。この人たちのサービスがどうなるのか、不安の声が上がっています。知り合いのケアマネージャーに話を聴いたところ、担当している要支援者でデイサービスを利用している人全員がひとりでの通所は困難で送迎は絶対必要とのこと。また、通所リハビリの事業所が少ないため、リハビリスタッフや看護師など専門職が充実し、運動に特化したデイサービス、なかでも個別指導が受けられるデイは需要が高いこと。さらに、何か問題があったとき、家族や医療、他のサービスとの連携は欠かせない。特に独居や高齢者のみ世帯の場合はフォローが必要など、要支援と言っても、決して軽度ということではなく、要介護の人と同様の対応が必要だということを強調していました。総合事業に移行した場合、現在と同様のサービスが受けられるのか、心配だと不安を訴えていました。厚労省は国会でのわが党の追及に対し、「必要な人には専門的なサービスを提供する」と答弁しましたが、論拠のないその場の言い逃れでしかなかったことがあきらかになっています。
(質問)杉並区は、総合事業への移行の時期をいつごろと考え、担い手や利用料負担については、どのように検討しているのでしょうか。また、現行のサービス水準を低下させないこと、利用者のサービス選択が尊重されるよう保障することが求められますが、答弁を求めます。
 特養ホームの入所が、来年4月以降、要介護度3以上に限られます。杉並区の特養ホーム入所者のうち、要介護度1・2の人は今年7月現在で191人です。
(質問)現在特養ホームに入所している要介護度1・2の方たちは、継続して入所できるのでしょうか。要介護度1・2といっても、いちがいに軽度とは言えず、特養ホーム入所が必要な場合、引き続き、申請を受け付けるようにすべきですが、区はどのように対応するのでしょうか。
(質問)「地域包括ケアの推進」がうたわれていますが、進める上で重要なのは、介護基盤整備の促進です。どのように取り組むのか、うかがいます。
 特養ホーム整備について、総合計画では、昨年度比で、2017年度まで539床、2021年度まで930床増やすことが示されました。
(質問)今後の整備計画で具体化されているところはどこでしょうか。
 今年、7月末のAランクの特養ホーム待機者は約900人という現状で、直ちに入所を必要とする人たちの対策はどう考えているのでしょうか。
 
 認知症対策について
 認知症の男性が電車にはねられ死亡した事故で、鉄道会社が男性の家族に損害賠償を命じた裁判の判決が、認知症患者の家族らに衝撃を与えました。
 徘徊する認知症高齢者の介護は、家族にとって肉体的にも精神的にも、たいへん重い負担となっています。とりわけ「老老介護」の場合は深刻です。近所の目を気にして認知症高齢者が家族にいることを隠し、抱え込んで孤立を深める事例も少なくありません。家族に責任ばかりを迫ることは、介護者をますます追い詰める悪循環をうむだけです。認知症高齢者や家族が孤立するのではなく、地域で安心して暮らせる体制をつくることが重要です。
 認知症高齢者の行方不明を未然に防止する取り組みが各地で始まっていますが、なかでも全国から注目されているのが、福岡県大牟田市の「安心して徘徊できる町」あづくりです。徘徊を否定的にとらえるのでなく、郵便局やタクシー会社、学校、PTA、商店などと不明者情報を共有し、認知症徘徊高齢者を救うためのネットワークを作っています。また、小・中学校で認知症の支援のあり方を学ぶ「絵本教室」などにもとりくんでいます。
(質問)杉並区も、認知症対策についてはさまざま取り組みがされていますが、大牟田市の取り組みも参考に、さらなる拡充を求めます。今後、どのように取り組んでいくのでしょうか。
 
 ◆国民健康保険について
 国民健康保険料が払えない滞納世帯が増え続け、滞納処分で給与や年金まで差し押えられていることが、全国でも問題になっています。徴収強化は過酷さを増しています。 口座に入ったものは預貯金であるとして、給与・年金まで差し押さえが増加し、アルバイト料が振り込まれた途端に口座を差し押さえられた、年金が引き下ろせないなど、わが党区議団にも相談が寄せられています。
 こうした深刻な事態を打開するため、国保財政への国庫負担を増やすよう国に求めること、都に対しても財政支援を求めるべきと主張してきました。国保料引き下げは、区民の切実な願いです。
(質問)そもそも区長には国保料が毎年のように引きあげられ、区民のくらしを圧迫しているという認識はあるのでしょうか。国保料引き上げを抑えるための対策を取る必要があると考えますが、区長の見解はどうでしょうか。
 滞納世帯の状況を把握せず、わずかな生活費までも一方的に差し押さえることはやめるべきです。なぜ払えないのか、どうすればいいのか、滞納世帯の状況をきちんと把握して対応することこそ求められていますが、見解をうかがいます。
 
 ◆災害対策について
 8月に広島市内を襲った記録的な豪雨による土砂災害は、過去最大規模の甚大な被害をもたらしました。犠牲となった方々、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。
 地震、津波、火山の危険など、日本はどの地域も災害とは決して無縁ではありません。災害による犠牲者を出さないために、国や自治体は、いままでの教訓をいかし、地域の危険箇所などの総点検と本格的な対策に全力をあげることが急がれます。
 中央防災会議の「首都直下型地震被害想定と対策について」の最終報告では、建物の耐震化率を100%にすることで「揺れによる全壊棟数」「建物倒壊によるによる死者数」が大きく減少すること、また、出火防止対策を強化することで「焼失棟数」「火災による死者数」も大幅に削減されると指摘しています。杉並区としても耐震化や不燃化促進のための更なる取り組み、出火防止対策では感震ブレーカー設置の助成制度創設など、あらゆる手立てを尽くすことが求められています
(質問)区内建築物の耐震化、不燃化の状況と、今後の取り組みについてうかがいます。
 
 6・7月、集中豪雨による浸水被害が区内でも多発しました。被害地域の住民は、「雨が降るたび恐怖だ」と不安を募らせています。東京都が昨年末に策定した「豪雨対策下水道緊急プラン」で、50ミリ対策拡充地区として、荻窪と阿佐ヶ谷地域が、小規模緊急対策地区として善福寺地域が指定されました。わが党区議団は、東京都下水道局へ聞き取りを行いましたが、東京都は関係機関と調整し、できるだけ早く事業に着手し、2019年度までに、整備の効果が発揮できるようにしたいとのことでした。
 水害対策は待ったなしです。多発地域の住民からは様々な要望が寄せられており、わが党は次に述べる点について、対策の拡充や強化が必要と考えます。
 まず第1に、被害の実態を詳細に把握することです。都と連携し水害対策に取り組むにしても、前提条件となる被害実態調査は杉並区が徹底して取り組むことが必要です。現状では被災住民の申告による被災認定調査のみとなっており、被災者の数しかわかりません。区内被災地ごとに何立方メートルの雨水流出抑制対策が必要なのかなど、専門家の力を借りた実態調査が不可欠です。
 第2に局地的に発生する地点の特殊性を踏まえた対策工事の強化です。善福寺地域での対策工事が開始されました。数十年間、水害に悩まされてきた地域であり、この問題に着手したことは重要です。今後も、局地的に発生する水害への対策を強化すべきです。都の緊急プランでは、「小規模緊急対策地区」の実施地区の追加も検討しており、そうした点も視野に入れた対策の強化を求めます。
 第3に、住民の立場にたった対応です。荻窪・松見橋付近の住民から、水害対策について「都や区がさまざまな対策を講じていることは承知しているが、対策の全体像がよくわからない、行政がどのような対策を講じようとしているのか、説明会あるいは懇談会を開いてほしい」との訴えが寄せられています。要望があった場合、ぜひ協議を持っていただきたい。また、区の担当窓口が土木課、防災課、地域課にまたがり、どこに問い合わせていいのかわからない、水害の窓口を1本化できないのかとの要望もありました。さらに、この付近は豪雨のたびに水害が発生する地域なので、子どもたちの代は住みたくないと言って、高齢者ばかりの地域になりつつある、というようなことも言っていました。こうした声にこたえるべく、水害の根絶のためにあらゆる手立てを尽くすことが求められています。
(質問)今後の水害対策について、区長はどのように強化を図るのか、見解をうかがいます。また、多発地域の住民から、車両を避難する際、駐車違反とならないようにしてほしい、車両の通行規制を早い段階で行って欲しい等の声が寄せられております。警察に理解を求め、連携した対応を求めるものですがいかがでしょうか。

 ◆商店街支援
 商店会から、後継者不足、組織運営困難などの悩みが出されています。消費税増税による消費の落ち込み、電気料金値上げなどが追い打ちをかけ、非常に厳しい状況です。まちのにぎわいづくりなど、地域の中で多面的な役割を果たしている商店街への支援が一層重要になっています。
(質問)商店会の街路灯は、公共性の高い設備であり、街路灯電気代の増額やLED化した街路灯の修繕費についての増額など、支援拡充を求めますが、いかがでしょうか。
 中小業者、商店街支援で、最近注目を集めているのが、群馬県高崎市の「まちなか商店リニューアル助成制度」です。個々の店舗を支援するもので、具体的には、店舗の改装や店舗等で使用する備品の費用の2分の1を助成するもの。受け付け開始からすぐに申し込みが殺到し、予算額を突破したとのことです。杉並区でも、中小業者、商店街の支援としてこうした制度の実施を求めますが、いかがでしょうか。
 
 ◆教育について
 子どもたちの学習、生活はますます過密でゆとりのないものになっています。
 けがの多発、校内暴力、いじめ等生活指導上の諸問題が減少せず、教職員の多忙化は深刻になる一方です。子どもたちが安全に快適に学習や生活をおくるために、学校施設・設備・人員配置など、教育条件を整備し充実させることは教育委員会の重要な責務です。
(質問)ひとりひとりに目が行き届く施策として有効な30人程度学級の中学校全学年までの拡大を求めます。また、国や都に対して、全学年30人学級に必要な予算措置を行うとともに、より充実した学習・生活指導を行えるよう、教職員定数増を求めるべきですが、見解を求めます。
 特別教室では、児童生徒が汗だくで授業を行っています。熱中症の危険もあり、早期にエアコンの全面設置を求めますが、いかがでしょうか。
 
◆最後に平和事業について質問します。
 8月、広島で行われた原水爆禁止世界大会に参加しました。被爆70年となる来年5月に開かれるNPT再検討会議を、核兵器廃絶を実現する決定的な転機にしようという決意がみなぎる大会でした。なかでも、89歳の被爆者、坪井直さんの「核兵器廃絶、核兵器禁止条約が成り立つまでは、絶対に死にたくありません」という力強いあいさつは忘れることができません。
 核兵器廃絶は世界の大勢です。しかし、核保有国やその同盟国が「核抑止力」論で核戦力を正当化しているため、実現までの道のりは厳しいというのが実情です。日本は被爆国として、また憲法9条を持つ国として、核兵器のない平和な世界をめざす先頭に立つべきですが、日米軍事同盟のもとでアメリカの「核の傘」に依存し、核兵器全面禁止に背を向けるばかりか、核使用さえ容認するという姿勢は本当にゆるせません。私も、杉並の被爆者の方々と30年来交流していますが、高齢化する被爆者の方々にとって、一刻も早い核廃絶は切実な願いです。核兵器全面禁止条約の締結に向けた交渉を即時に開始するよう政府に働きかけるなど、原水爆禁止署名運動発祥の地である杉並区の区長として積極的な取り組みを期待するものです。
(質問)来年、被爆70周年を迎えるなか、区は原水爆禁止署名運動発祥の地として、平和事業の一層の取り組みを進めていくべきと考えますが、区長の決意をうかがって、私の質問を終わります。