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2015年第4回区議会定例会 一般質問「あんさんぶる荻窪の財産効果について」「マイナンバー制度について」(全文) 

 日本共産党杉並区議団を代表して、あんさんぶる荻窪の財産交換について、マイナンバー制度について、質問します。
 まず、あんさんぶる荻窪の財産交換についてです。
 あんさんぶる荻窪と荻窪税務署及び隣接の国家公務員宿舎の交換方針がマスコミに発表されてから2年がたちました。
 区は財産交換により、6300㎡の広大な土地が手に入り、大規模な特養ホームと地域包括ケアのバックアップ機能を整備できるといいことずくめのような説明を繰り返してきました。しかし、この計画を歓迎している区民がいったいどれだけいるでしょうか。計画の発表以来、利用者や住民からは計画の問題点を指摘する声が噴き出しています。
 あんさんぶる荻窪は、福祉事務所、消費者センター、社会福祉協議会、荻窪北児童館などの機能とともに、集会室やいつでも誰でも無料で利用できるフリースペースもある施設です。計画段階から住民参画が貫かれ、2004年の開設以来、乳幼児から大人まで多くの人に利用され、毎年地元商店会と共催でハーモニーまつりも開かれるなど、住民や団体の活動、コミュニティの形成に重要な役割を果たしてきました。駅に近く便利なことから、荻窪地域だけでなく、全区民的に利用されているということも大きな特徴です。
 区が行った施設再編整備計画のパブリックコメントや最近の荻窪駅周辺地区まちづくり構想に対する区民の意見をみても、コミュニティづくりにあんさんぶる荻窪が大切な役割を果たしてきたことがあらわれています。少し紹介しますと、「駅に近いのが最大の強みで、イベント会場として、又は集会室として、又は待ち合わせ場所として、安心して使える。立派なコミュニティサロンであり、住民の連携促進の場。市民の生活で軸となるべき施設があんさんぶる荻窪」「乳幼児から中高生、そしてお年寄りと世代を超えた人々が集まることができる貴重なコミュニティスペースです。駅前という土地も他の区にはあまり見られない魅力の一つ」などです。
 区は、住民が築いてきたコミュニティの価値についてどのように認識しているのでしょうか。これまでもお聞きしてきましたが、明確な答弁がありませんでしたのであらためてうかがいます。住民が築いてきたコミュニティは、お金には変えられない価値があります。あんさんぶる荻窪の廃止によって、地域コミュニティの価値が失われていくことについてはどのように考えているのか、あわせてお答えください。
 財産交換の理由として、「大規模特養建設」「地域包括ケアのバックアップ機能」が挙げられてきましたが、第3回定例会では、「杉並にある二つの税務署を1つにしたいという思いがあった」などの区長の思惑も語られ、財産交換のそもそもの出発点にも疑問が投げかけられました。
 特別養護老人ホーム整備は、区が取り組むべき最優先課題です。しかし、わざわざ財産交換する必要はなく、わが党区議団は、税務署は現在の敷地内に建て替えてもらい、残りの敷地を国から借りて特養ホームは整備できるのではないかと求めてきました。今回の特養ホームの完成は早くて5年後の予定です。あまりにも遅いのではありませんか。
 国に当初の予定通り、税務署を建て替えてもらい、残りの3,300㎡ほどを活用すれば、もっと早く整備できたのではないでしょうか。喫緊の課題に応えていないと考えますが、見解をうかがいます。10月23日、国は、首都圏にある国家公務員宿舎の跡地を特養ホーム整備など介護施設の事業者に優遇して貸し出す方針を示しました。この制度を活用すれば財産交換せずに特養整備は可能ではないのか。この点についても見解をうかがいます。
 「地域包括ケアのバックアップ機能」については、複合施設のわずか一角に配置されるに過ぎません。どのような機能になるのかについて、これまで何度も質問してきましたが、内容が具体的でなく、そもそも複合施設につくることの必然性もよくわかりません。あらためて具体的に述べていただきたいが、答弁を求めます。
 福祉事務所や社会福祉協議会などの相談機能が複合施設に移設されることにより、駅から遠くなり相談に行きにくくなる、不便になると声が上がっています。税務署に行くのはせいぜい年に一度の確定申告だ、それさえもこれからはインターネットでという時代に、税務署をわざわざ駅近くに持ってくる必要があるのか、という声もよく聞かれます。障がい者団体からは、駅近くで利用しやすい施設がなくなるのは困るとの声が寄せられています。
 財政の面からも、駅前の一等地に建設費だけでも28億円もかけてつくった築10年のあんさんぶる荻窪を手放す一方、税務署跡地に同様の複合施設をつくることは税金の無駄遣いだと住民からも批判の声が上がっています。先の決算特別委員会では、複合施設建設に少なくとも30億円かかるとの答弁がありましたが、実際のところ建設費用はいくらかかるのでしょうか、お答えください。
 あんさんぶる荻窪の廃止に伴い、年間延べ7万2千人が利用する荻窪北児童館も廃止となります。幼児から高校生、子育て中の若い母親も多く訪れ、大学生になった子どもたちはボランティアとして参加している荻窪北児童館を、地域の人たちは見守り支えてきました。この大切な児童館を失うわけにはいかないと、商店街には「今こそ子どもの居場所守れ あんさんぶる荻窪は区民の宝 財産交換ストップ」という横断幕やポスターが掲げられています。
 区は、荻窪北児童館を廃止しても、学童クラブや放課後居場所機能は桃井第2小学校へ、乳幼児親子の居場所は子どもセンターへ、それぞれの機能は維持されるといいます。しかし、機能を分散すること自体について利用者や地元住民からは反対の声が上がっています。幼児から高校生まで異年齢の子どもたちが同じ場所で活動していることが、学校の授業では得られない貴重な体験学習にもなっているのです。区は、これまで培われてきた児童館の総合的な役割をどのように維持していくつもりなのでしょうか、お答えください。
 学童クラブは桃2小に移されますが、児童館に備えられていた広い遊戯室、図書室、音楽室、図工室がなくなるわけです。区は学校という広いフィールドを生かしてなどということを言いますが、学校の施設を自由に使えるのか疑問です。また、不登校の子どもが行きにくくなる、中高生は利用できず行き場を失うといった問題も残されたままです。
 荻窪5丁目は、認可保育園1か所、認証保育所3か所、保育室2カ所と保育施設が集中している地域ですが、園庭はありません。狭い公園が1か所だけという環境のなかで、あんさんぶる荻窪は、保育園の児童や近隣の子どもたちのかけがえのない遊び場の役割も担ってきました。区は、そうした役割をどう認識しているのでしょうか、あんさんぶる荻窪がなくなることによって、子どもたちの遊び場としての役割が失われてしまうことについて、どのように考えているのか、うかがいます。
 2014年7月に、荻窪7町会長連名で出された桃2小の早期改築を求める要望書について、今年7月に行われた桃2小改築説明会では、要望書の作成や印鑑集めに区の職員が関わったと、実名をあげての指摘がありました。区は「7町会長が要望したものでこちらで原稿を書いたということはない「どういう形で各町会長がハンコを押されたのか私たちが関与するところではない」と否定しました。ところが、決算特別委員会の質疑では、「要望書を出したいと相談を受ければ下書きすることはありうる」「印鑑をもらいに行ったことがあったかもしれない」と関与を認めました。なぜ、説明会では、関与していないなどと答えたのでしょうか。住民に対し虚偽の答弁をしたことは区民をあざむくもので許されないことです。さらに、2つの町会が要望書を取り下げたことについて、「突然梯子を外されたような転換」と区長の答弁がありました。これも地元町会からすれば、聞き捨てならない発言です。財産交換についての説明会を開かず、一部の町会関係者に、児童館がまるごと桃2小に移ってくるかのような説明をし、要望書作成・印鑑集めにまでかかわるなど、まるで自作自演のようなことをやっておきながらのこの発言は、あまりにも失礼を言わざるをえません。梯子を外されたと言いたいのは町会の方ではないでしょうか。混乱を与えられ疲弊したうえに、区長のこの発言に地域は深く傷ついています。「要望書作成に関与していなかった」「梯子を外されたような転換」という2つの発言に対し、撤回し、謝罪すべきですが、見解を求めます。
 財産交換の議案が来年の第一回定例会に出される予定となっています。どのような内容で議案として出されるのか、具体的にうかがいます。あんさんぶる荻窪及び荻窪税務署等の不動産鑑定評価が11月頃に出ると聞いてます。評価の結果について示していただきたいが、状況はどうなっているのか、うかがいます。
 あんさんぶる荻窪や荻窪北児童館が、住民に愛され、いまやかけがえのない施設であり、存続を願う声は日増しに高まっています。こうした住民の願いに耳をかたむけ、民意を生かすのが政治の役割のはずではありませんか。ところが、区長は議決もしていないのに、「財産交換はもう決まった事。撤回できない」などと公言し、財産交換についての説明会開催を求める声にも耳をかさず、ごり押ししようとしています。議会では「区民に丁寧に説明を重ね、広く理解を求めていく」と言いながら、区長が実際にやっていることは全くその逆ではありませんか。
 説明会開催さえ拒む区長の姿勢に、区民の理解は広がるどころか、逆に不信を募らせています。そうした状況のもとで、議案提出はするべきではありません。
 関東財務局も、税務署の場所は、あんさんぶるにこだわっているわけではない。駅近でなくてもかまわないと言ってます。
 住民から施設を取り上げてコミュニティを壊し、児童に犠牲をおしつけ、さらに税金の無駄遣いにつながる財産交換に道理が無いことは明らかです。区民の理解が得られていない財産交換計画は白紙に戻すべきと強く求めます。あらためて区長の見解をうかがい、次の質問に移ります。

 マイナンバー制度について質問します。
 日本国内に住民登録している人全員に12桁の番号を割り振って、国が情報を一元管理する「マイナンバー制度(社会保障・税番号)」の番号通知が10月から始まりました。全国約5600万世帯へ書留での郵送という事業は、日本の郵便史上例がなく、各地で誤って別の人に配達されるなどの事故も起こっていることが報道されています。杉並区でも今月14日から郵送が始まりました。利用開始は来年1月からですが、「どんな書類にマイナンバーの記載が求められるのか」「番号の提供は拒否できるのか」「個人番号カードつくらないと不便があるのか」など、疑問や不安の声が上がっています。 
 マイナンバー制度によって、現在は各機関で管理されている年金、税金、住民票などの個人情報が容易にひとつに結び付けられることになることから、政府は、納税や社会保障の行政手続きが簡単になる、利便性が向上すると売り込んでいます。しかし、そんな手続きは日常生活で頻繁におこることではありません。むしろマイナンバーが記載された通知カードや個人番号カードを紛失する危険や、他人に見られないようにする手間など、個人にかかる負担のほうが大変です。個人情報は分散して管理する方がリスクは低くなるわけですが、マイナンバーのように一元化するやり方は、個人情報を格段に危険にさらすことになります。
 今年6月にあきらかになった日本年金機構の個人情報の大量流出は、公的機関の個人情報管理のぜい弱性と絶対安全などはないことを浮き彫りにしました。マイナンバー制度をめぐっても、他自治体で、本来記載されるはずのない個人番号が住民票に印字されて使用され、第三者に個人番号が漏えいするなど、ずさんな管理体制が早くも露呈しました。プライバシーの漏えいや、それを使ったなりすまし、犯罪などへの不安は高まっています。
 区は、これまで、システム上の保護措置について「基本的に、個人番号は一元管理せずに分散して各機関で管理する。また情報連携に当たっては、個人番号ではなうく機関ごとの符号を使って連携をするので、個人番号から逆にたどることができないことになっている。したがって芋づる式の情報漏えいは防止できる」また「インターネットから切り離したネットワークを用いて多くのファイアウオールを設けるなど、十分な保護措置を講じている」と答えています。
 確かに、どこか一つの機関に、マイナンバーにひもづけされている個人情報が常時管理されるわけではないので、単発的なサイバー攻撃であらゆる個人情報が一気に漏れ出すことはない仕組みになっています。ただし、情報を役所間などでやり取りする途中にある「中間サーバー」が攻撃を受けた際に、大量の情報が一網打尽で漏れるのではないかとの懸念が指摘されています。中間サーバーには、他の機関から照会を受けた際に提供できるように、常時個人情報のコピーが保存されており、特に、地方公共団体が設置する中間サーバーについては、経費節減やセキュリティ対策、運用の安定性確保の観点から、全国2か所に「共同化・集約化」が図られました。ここがサイバー攻撃を受ければ、一気に漏れ出す危険があるというわけです。また、民間事業者も源泉徴収票や社会保障関係の書類に番号を記載し役所に提出することが法令上義務とされているため、従業員やその扶養家族の個人番号を集め、厳重に管理することになります。白鵬(はくほう)大学の石村耕司教授は「民間企業400万社のうち9割が中小企業で、規模の小さい事業者が十分なセキュリティ対策を施すのは至難の業で、情報は間違いなくダダ漏れになる」と指摘しています。
 さらに危惧されるのが、個人のパソコンでマイナンバーにもとづく情報を観ることができる「マイナポータル」です。ICカードとパスワードさえあれば特定の個人のありとあらゆる情報を一覧できるのですから、プライベートは一気に丸裸にされます。
 そこでうかがいます。区は、情報漏えい対策は万全であるかのように言いますが、これらの指摘に対しては、どのように認識されているでしょうか。
 マイナンバーについて、今後は、銀行口座や健康診断、予防接種などの情報にも結びつけ管理されます。その後も、健康保険証や図書館の貸し出しに使うことなどを検討。あげくには、消費税増税時の「還付金」手続きに使う案まで持ち出し、国民を驚かせました。
 マイナンバー制度は国民の願いからうまれたものではありません。国民の所得や資産、健康や医療情報を厳格につかんで、医療や社会保障の負担増・給付減に利用したい政府と、マイナンバーをビジネスチャンスにしたい大企業の長年の要求から出発したものです。政府は医療機関を頻繁に受診する人や健診の受診率が低い人などには保険料負担を重くする「傾斜保険料」を導入して給付にみあった負担を求めることや、収入は低いが土地を持っている高齢者を資産があるとみなして税や保険料をさらに取りたてるというようなことを狙っています。初期費用だけでも税金から3400億円もつぎ込まれ、民間事業所も膨大な出費を余儀なくされます。その特需で一部の大企業は大もうけをたくらんでいます。こんな狙いのもとで、国民の
維プライバシーが侵害されていいはずがありません。 
 マイナンバー制度が実施されなくても、住民生活への不都合は生じません。マイナンバー制度は、税、社会保障の分野をはじめ、住民の個人情報、多くの行政手続きに関連し、地方自治体の根幹にかかわる問題です。住民の不安が高まっているなか、多くの問題を抱えるマイナンバー制度について、国は、来年1月の本格運用に突き進むのでなく中止すべきと考えますが、区はどのように考えているのか、見解をうかがって、質問を終わります。