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2016年予算特別委員会 意見開陳 全文

日本共産党杉並区議団を代表して、平成28年度杉並区各会計予算と関連議案に対する意見を述べます。
 安倍内閣の経済政策アベノミクスのもと、大企業は史上最高の利益を更新しましたが、労働者の実質賃金は四年連続でマイナスとなりました。雇用が増えたといいますが、正社員は23万人減る一方で、非正規雇用の労働者は172万人も増え、労働者にしめる非正規の割合は4割を超えました。高齢者世代も、年金削減、医療・介護の改悪・負担増が押しつけられました。消費税8%増税も加わり、あらゆる世代に貧困と格差が広がりました。
 こうした状況のもと、わが党は、杉並区が国の悪政に立ちはだかる姿勢があるか、増大する区民の負担を軽減し自治体の責務である福祉の増進に努めているか、区政の主人公である区民の声を反映した区政運営となっているのかという観点とともに、今議会最大の争点である、あんさんぶる荻窪の財産交換の撤回を求める立場で予算審議に臨みました。以下、五つの観点で見解を述べます。
 第一は、区民のくらしと負担軽減についてです。
 わが党区議団が昨年度から取り組んできた区民アンケートの最終集計では「くらしが苦しくなった」と回答した人は61%にのぼりました。苦しくなった理由では「物価の上昇」「税金や社会保険料の負担増」「年金の減少」が上位を占めました。
 いまでさえ、区民の暮らしは厳しさにさらされているのに、安倍内閣は来年4月消費税を10%に増税し、社会保障のさらなる改悪で国民のくらしを一層困難に追い込もうとしてます。わが党は、区民生活を苦しめる政策の中止を国に厳しく迫るよう求めましたが、区長は「持続可能かつ安定的な社会保障制度を確立していくためには、社会保障と税の一体改革は避けて通れない重要な課題。国に中止を迫る考えはない」と従来の答弁にとどまりました。区民の暮らしの困難に寄り添う姿勢がみられず、区民の願いに背を向けるもので認められません。
 消費税は創設以来、昨年までの26年で、その税収は282兆円にのぼる一方、法人3税は255兆円減収となりました。消費税は社会保障の拡充にはほとんど使われず、大企業・富裕層への減税の穴埋めに消えたのです。国は2016年度から5年間で、高齢化などによる社会保障費の年1兆円近い自然増を約5000億に半減させる方針を打ち出しました。これでは社会保障制度は持続しても国民のくらしは持続不可能になってしまいます。
 安倍首相は、リーマン・ショック級の経済変動や大震災が起きない限り増税は実施する姿勢を示していますが、財界関係者や首相の経済ブレーンからも「凍結すべきだ」との声が出はじめています。消費の低迷が長引く中で消費税増税を強行すれば、国民生活も経済も破綻することは明らかです。消費税10%への引き上げは中止以外ないことを重ねて申し述べておきます。
区民のくらしを圧迫している国民健康保険料の負担軽減は急務ですが、来年度も1人当たり年間4644円の値上げとなる議案が提案されました。国保料は毎年値上げされ、例えば、年収400万円40歳夫婦子ども一人の世帯の場合、2010年度は年額約25万円でしたが、来年度は約40万8千円と、6年間で15万8千円もの負担増となります。所得税、住民税、国民年金保険料、さらに消費税も含めた試算では、年収の4分の1以上となる117万円が税と社会保険料で消えてしまうことになります。区民の負担はすでに限界を超えていますが、国保料の値上げに歯止めをかける姿勢がないことは認められません。
 区立施設使用料の登録団体減額制度は、4月に2段階目の引き上げが行われます。 すでに各団体からは活動が困難になっているとの声が多く寄せられています。施設の削減とあわせ、区立施設使用料引き上げは、住民の文化交流や社会参加の機会を奪うことになります。自治体の役割に逆行するもので容認できません。
 
 第二に、福祉の向上についてです。
 保育園に入園できなかった子どもの母親が怒りを綴ったブログが話題となりました。復職予定の親が子どもを預ける保育所を確保できない事態は死活問題ですが、安倍首相は「実際に起こっているのか」「確かめようがない」と平然と述べ、世論の批判を浴びました。安倍政権はあわてて追加対策の検討を始めましたが、保護者の切実な訴えが政権を突き動かす状況をつくりだしています。
 杉並区はこの間、認可保育所の整備に取り組んできたことは評価するものですが、保育需要は高まり続け、4月の待機児童は昨年度を大幅に上回ることがあきらかになりました。認可保育所のさらなる増設はいうまでもありませんが、そのためにも保育課職員を手厚く配置することが必要と考えます。
 本議会では、予算案の訂正が行われました。しかも款をまたぐ訂正であり、本来なら出し直志が必要とされる重大な事態です。しかしながら、訂正の主旨は、保育所待機児童対策として施策の重要な事務量を生じさせてしまう問題をかんがみ、訂正自体については承認します。待機児童対策の必要性は、従前からわが党区議団として指摘したところであり、区としては今後はこうした事態を引き起こすことのないよう、より一層取り組みを強化することを求めます。 
 保育の質の問題では、区立保育園の民営化や新設保育園で質の低下が指摘されるなど一部に課題も見られます。保育施設整備の際には、良好な保育の質をしっかりと確保した上での施設整備や運営事業者は非営利の社会福祉法人などで対応すること、保育士の処遇改善も求めておきます。
 子どもを取り巻く問題では貧困対策も最重要課題です。代表質問でも取り上げましたが、子ども食堂への取り組みへの支援や給付型奨学金の創設、ひとり親世帯への支援拡充などに全力で取り組むよう求めます。
 特養ホーム整備について積極的な整備が進められていることは重要ですが、一方で、区立施設の削減で生み出された跡地の活用検討など、住民サービスの削減と一体の整備方針も示されています。小規模特養ホームの積極的な活用の検討や、昨年、国が新たに示した国有地活用の際の優遇貸出方針のスキームを最大限利用した特養ホーム整備の検討を推進するよう改めて求めておきます。
 来年度から国保年金課の業務委託を段階的に進める計画です。業務委託については個人情報の漏えいの危険や偽装請負などの問題点が懸念されています。今後も、介護保険課、課税課など、区民施策にかかわる重要な部門の業務委託を推進する方針が示されていますが、区職員が区民の声を直接聞き、実態を把握するうえでも、こうした大事な部門を民間企業の職員に任せてしまうのは、区の責務を放棄するもので認められません。業務委託方針は撤回するよう求めます。
 性的マイノリティについて述べます。まず、3月4日のわが党の委員が行った性的マイノリティに関する質疑での発言を訂正させていただきます。一般質問において他会派の委員が「性的指向、すなわち個人的趣味」と発言したことについて、我が党の委員が「同性愛は趣味との発言」と指摘したことは正確ではなく「性的指向、すなわち個人的趣味という発言」とすべきでしたので訂正いたします。また、他会派委員が言論したこと自体、議会で批判され懲罰的な措置を受けることは、わが党としても本意ではありません。そのように受け止められる表現を用いた部分についても表現に問題があったとし、訂正いたします。
 先日、わが党の控室にバイセクシャルの方が訪ねてこられました。その方は、幼児期に同性が好きになり、なぜ自分は女性も男性も好きになってしまうのか、自分はおかしいのではないかとずっと自己否定に陥ってきたそうです。こうした実態があるからこそ、性的マイノリティの方々を取り巻く状況を、正確に認識することが必要と考えます。性的指向は性愛、恋愛が誰に向くかを表す言葉であり、個人の楽しみや愛好を表す趣味という言葉とは明確に異なりますが、同性愛や両性愛が趣味のように誤解されることが、性的マイノリティの方々の生きづらさを生む大きな要因にもなっています。どのような性的指向でも、性自認でも、それぞれの個人が大切にされ尊重される社会を実現するために、この問題については議論を続けていきたいと思います。

 第三はまちづくりと公契約条例についてです。
 都市計画道路の第四次事業化計画による優先整備路線が発表されました。区内でも新たな優先整備路線が多数指定され、都施行、区施行合わせて9路線10区間が発表されました。住宅街を16mの道路が走ったり、商店街を削り取るような道路の拡幅など、住環境と財政を破壊する乱暴な道路計画ばかりで、わが党としては認めることはできません。区はおおむね容認の立場ですが、公平公正な住民周知に努め、反対の声も漏らさず都にあげるよう求めるものです。とりわけ外環の二計画について、ここまで事態が進行した段階で都の動きを見守るような姿勢は、もはや容認に等しい姿勢であり許されません。区として明確に反対の声をあげるべきです。
 杉並区総合的な住まいの在り方に関する審議会答申が出ました。多岐にわたる重要な提言をしていただきましたが、全体として、さらなる検討を要する提起が多く、現実に住まいにまつわる悩みや困難を解消する決定打というわけにはいきません。 区は、この間、民間ストックを活用した住宅施策を強調してきましたが、そうした施策の確立はまだまだ先の話になるという答申が出されたわけであり、今ある公営住宅の維持発展にこそしっかりと力を入れなければならないと指摘するものです。
 狭あい道路の拡幅に関わる条例制定を区長は急いでいます。狭あい道路拡幅の議論の本質は、住民合意のもとにお互いの私有財産を活用して暮らしやすく防災上有益な道路を整備することにあります。あくまでも住民合意が基本であり、この合意に納得のいかない区民を取り締まるかのような姿勢は、かえって問題の解決を遠ざけることになります。区民同士の対立を招くことのないよう、共に理解を進める機会となるよう要望するものです。
 各地でまちづくり方針が発表されていますが、いずれの方針も策定の段階で議論されたことが正確に反映されていないとか、区が用意した議題から離れると疎まれるなど、区民から不満と不信の声が寄せられています。まちづくりは区民との共同と共感によって進められるべきで、区の構想を押し付けたり、誘導することのないようよう改めて求めておきます。
 まちづくりという点では、建設労働者が減少している問題も取り上げました。大震災時の救助活動や道路確保作業、あるいは感震ブレーカーの設置など地域に点在する建設労働者の防災上、地域コミュニティ上の役割は重要で、そうした建設産業労働者の区内での減少を食い止めるためにも適正賃金の確保は急務となっています。 4年連続となる設計労務単価の引き上げにも関わらず、現場労働者の賃金になかなか影響が及んでいない実態が浮き彫りになりました。区の行ったアンケートでは二次下請け以下の業者の実態が表れておらず、より現場労働者の実態が明らかになるアンケートとなるよう改善することを求めます。区は、質疑の中で重層下請が区の公共事業でも進んでいる実態を認めました。これではいくら設計労務単価の引き上げを行っても中間搾取により労働環境は改善されません。現場労働者の技量に伴って、設計労務単価を基準とした賃金の最低価格を定めていく、実効性のある条例制定を区としても積極的に検討すべきと要望します。

 第四は、教育についてです。
 高円寺地域の施設一体型小中一貫校計画は事実上の学校統廃合計画であり、和泉学園以上に重大な問題を抱える計画です。区が統廃合の理由としてきた杉八小の児童の減少は、学校選択制と杉八小の適正配置方針によってもたされたものであり、選択制が廃止になれば解消されます。この間の保育園増設などの努力により、子どもが地域に増えてきている今、区の統廃合の合理性は崩れています。
小中一貫校における児童の発達への悪影響が専門家から指摘されているにもかかわらず、昨年開校した和泉学園の検証も行っていないことが明らかとなりました。 高円寺地域の住民の多くがこの一貫校計画に反対しているなか、強引に進めることは許されません。改めて計画の白紙撤回を求めるものです。
 新年度から、特別支援教室の設置が段階的にスタートします。これまでの通級指導から全校に教室が設置されることになります。一見、発展的に思われますが、実際には、効率化のもと、教員の配置割合は3割も減少されると都が認めるなど、保護者や現場の教員からは質の低下を危惧する声が上がっています。都のやることと済ませるのではなく、区として杉並の宝ともいえる通級学級の技術と信頼を守るため、現場の声を真摯に受け止めることを指摘するものです。
 杉一小の改築複合化計画では、新校舎の屋上校庭化が進められようとしています。区は、校庭が広くなると説明しますが、この改築案には防災上の観点からも様々な問題が懸念されます。一時避難場所は近隣の民有地を使えばいいとのことですが、今後の防災訓練や児童引き渡し訓練などはそうした民有地を使うことができるのでしょうか。煮炊きの訓練はいったいどうするのでしょうか。さらに駅前ロータリーも一時避難場所になるかのような答弁には驚きを隠せません。体育館に避難すると言いますが、数百人もの児童や教員が体育館に集められることに本当に問題はないのか。複合施設で火災が起きたら近隣の民有地に避難するといいますが、校庭がないため一度集まって移動する手段もなく、流れるように民有地までの移動を余儀なくされます。点呼もできないなど不安が消えません。中央区で建設された屋上校庭における開閉式の屋根の設置には5億円かかったという答弁がありました。中央区の場合、屋根の高さは限られています。防球ネットを施せばさらに天井は低くなります。ボールを思いっきり蹴り上げたり、野球をすることもままなりません。本来児童の心と体を開放するはずの校庭が児童の活動に制限を課す場所になりかねません。
 他会派の委員からは、4階建て案を推す、年度内の決定に間に合わないので決めるしかないとの意見が表明されましたが、そこまで急ぐ必要があるのか不可解です。杉一小は耐震化されたばかりで区立施設の複合化もすぐにでも行わねばならない課題でもありません。住民の声をしっかりと聞き、議論を尽くすことが何よりも重要であり、拙速に進めることは許されません。 

 第五はあんさんぶる荻窪の財産交換についてです。
 区立施設再編整備計画は区長のトップダウンと住民不在のもとで進められ、区と住民の間に大きな不信と軋轢をうみだしてきました。
 その最たるものが、あんさんぶる荻窪と荻窪税務署等の財産交換です。2013年11月の突然のマスコミ発表以来、議会軽視、住民無視で進められてきました。特養ホーム整備のためと説明されてきた財産交換ですが実態は違いました。今年一月に明らかになった公文書によって、2010年12月に田中区長が荻窪駅周辺整備に国を取り込もうとして、荻窪税務署スペースを駅前に賃料無料で確保すると約束し、天沼3丁目の荻窪税務署の建替えを休止させたことがわかったのです。ところが移設先の確保を進められず、2013年7月に国からもうこれ以上待てないと迫られ、2か月後の9月に、あんさんぶる荻窪の財産交換を提示したというのがことの次第だったのです。財産交換発表時の田中区長自身が、税務署については以前からやり取りがあったと認めるように、重大な方針を示した公文書であったにもかかわらず、議会には報告されませんでした。当時在籍していた他会派議員が財産交換に関わる資料を求めて行った情報公開請求にも、この資料は提出されず、その存在自体が隠されてきたといって過言ではありません。区は「要望書の内容は、国とは今後詳細な協議をやっていこうと思って出した文書であり、カラ手形ということにはならない。正式な約束というものではない」といいますが、一方で区長は我が党の質疑に対して“税務署を止めるのはしっかりとした交渉が必要だった。あなたたちにそれができるのか”といった趣旨で答弁しています。実際はしっかりとした交渉であり、公文書であり、カラ手形だったわけです。そのあまりにも杜撰な内容ゆえに区議会に出せなかったというのが実態ではないのでしょうか。ましてや昨年の決算特別委員会で他会派の議員が財産交換に関わって税務署の効率化について質問したところ、政策経営部長は「具体的な提案として公文書に則ってとか、公の会議の場でそういうことを公式に伝えた、提案したということではございません。」と2010年公文書の存在を認識しておきながら、明らかな虚偽の答弁を行っています。こうしたこと一つとっても財産交換にかんする議会での審議に正当性が欠落していると指摘するものです。
 区長はこうしたことについて、何ら反省しないばかりか「税務署の建替えを止められ、広大な用地を取得することができたことは重要」と開き直りともいえる答弁を繰り返しました。また「区長就任当時から、税務署を駅周辺に移転できれば、跡地となる大規模用地を区が一体的に活用できる可能性が生じるため、国と協議したいという思いを抱いていた」と、これまでの議会で述べられなかった発言もありました。しかし、2010年要望書には跡地活用の要望の記載はなく、まちづくり連絡会議で協議された経過もありません。当初から跡地取得を考えていたというなら、正面から国と交渉し議会や住民に示せばよかったのです。区は今になっていろいろ言い繕っていますが、一連の経過をみれば、区長の駅周辺整備計画という勝手な思惑が破たんし、その代償として、あんさんぶる荻窪を国に差し出すことになったことは明白です。議会や住民を欺くような区長の姿勢は認められません。
 あんさんぶる荻窪は、設計段階から住民と区が協議を行い「学童の充実」「市民が使いやすいフリースペースを」など住民の要望が取り入れられて出来た施設です。公募で決まった名前には「集う人が互いの個性を生かしながらこの施設を舞台に共に輝く」との願いが込められています。施設内の児童館は乳幼児から中高生まで年間延べ約5万6千人が利用しています。地元商店会と共催でハーモニーまつりも開かれるなど、住民や団体の活動、コミュニティづくりに重要な役割を果たし、お金にはかえられない財産を形成してきました。
 質疑の中で、あんさんぶる荻窪の施設が、住民と区の長年の協議によって作られた経緯について、区長から「一緒に作ってきたというのは、ちょっと私はよく分かりません」と驚くべき答弁が飛び出しました。区長自らが施設の価値を全く認識しておらず、その姿勢が住民不在の計画強行に直結していることが浮き彫りとなりました。区の施設は区長の私物ではありません。たとえどんな理由があったとしても、施設の今後については、住民への説明と理解、納得を得ながら進めていくのが、自治体としての道理ある立場のはずです。住民が求める説明会は一度も開かず、謝罪の言葉もなく、なにがなんでも財産交換をごり押しする反区民的な区の姿勢は自治体の本旨に真っ向から背くもので到底認められません。
 わが党は、財務省からの聞き取りの内容を紹介し、荻窪税務署を隣地の宿舎部分に建て替え、現税務署部分の用地を定期借地で取得することで、大規模な特養ホーム整備が可能であることを示しました。他会派においては、わざわざ、わが党のニュースを使って、それは不可能かのように区とやり取りする質疑がありましたが、区長は「いろいろシュミレーションされて、そういう考えもあるかもしれない」「計算上、机上の論理としては、そういうこともあり得るかもしれない」と答弁し、担当課長も一般論と断りつつ、「制度上できるかと思います」と財産交換に頼らなくても大規模特養ホーム整備が可能であることが明らかとなりました。そもそも一般論という言葉は、広く常識的な考え方をさしており、一般論だからと私たちの提案を否定するのは論理的に破たんしています。あとは区の姿勢次第です。財産交換を強行すれば、区民の宝の施設、あんさんぶる荻窪を失ううえ、さらに39億円もの巨額の税金を投入し、同じ様な機能を持つ新庁舎棟を建設することになります。耐震補強したばかりの桃井第二小学校の前倒しの改築も税金の無駄遣いとなります。あらたな子どもの居場所の検討も余儀なくされそうな事態にもなっています。こうした道理のない計画は直ちに撤回すべきです。あんさんぶる荻窪を存続し、税務署は現在の敷地内で建て替えてもらい、特養は残地に定期借地で建設するよう、国と交渉しなおすことをあらためて求めるものです。
 財産交換については、明らかにならなかった部分も残されています。たとえば、議案第25号の提案理由について、「地方自治法第96条第一項第6号の規定により、この議案を提出する」とありますが、その規定とは“財産交換をする際には議会の議決をしなければならない”というものです。しかし、実際の財産交換が成立するわけではない現段階において、この規定が提案理由の根拠となるのか疑問が浮かびます。わが党がおこなった関東財務局への聞き取りでは「国は財産交換の方向性は了承したが、財産交換としての評価額を了承したわけでは一切ない」と断言しました。議決権の拡大を恐れたのか、無理に根拠法令をあてはめたようにも見えます。いずれにしても、住民不在のもと、区長のトップダウンで進められたきた財産交換について、このまま進めてしまっていいのか、議員ひとりひとりの責任が問われていることを指摘するものです。
 さて、当委員会の質疑中、財産交換に関わらず委員の質問を妨害するような不規則発言を区長が執拗に行ったことは軽視できません。理事者と違い、質問時間が限られた委員に対して、質問にかぶせるような形で区長が不規則発言を繰り返すことは重大問題です。たとえ意に沿わない質問や意見であったとしても真摯に耳を傾け、発言を希望するなら、指名を受けて答弁に立つべきです。また、重大な区の方針や計画について調査を行うのは私たち議員が果たすべき当然の役割ですが、区長はそれを当委員会において「少年探偵団」と揶揄する発言を繰り返しました。調べられては困ることでもあるのかと疑問がわいてきます。引き続きわが党は財産交換の問題の追及を行っていくことを区民に誓うものです。
 
 以上述べてまいりました理由により、予算関係については、議案第31号平成28年度杉並区一般会計予算、32号国民健康保険事業会計予算、33号介護保険事業会計予算、34号後期高齢者医療事業会計予算に反対、議案第35号中小企業勤労者福祉会計予算には賛成します。
 関連議案について、議案第12号、議案第13号、議案第15号、議案第16号、議案第18号、議案19号、議案第20号、議案第22号、議案第39号、議員第40号、提出議案第1号から第3号には賛成、それ以外の議案については反対します。
 最後になりましたが、多くの資料を調製していただいた職員の皆さんに厚くお礼を申し上げまして、意見の開陳を終わります。