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2018年第3回定例会 一般質問(認知症対策、学校給食費の無償化)全文

 日本共産党杉並区議団を代表して、認知症対策について、学校給食費の無償化について、質問します。

1.認知症対策について
 最初に認知症対策についてです。
 2012年の厚生労働省の調査によると、認知症の有病率は65歳以上の15%で462万人、軽度認知障害といわれる有病率推定値は13%で400万人と報告され、高齢者の3人から4人に1人が認知症か、軽度認知障害という状況となっています。2025年には認知症高齢者は約720万人になると推計され、65歳以上の高齢者の5人に1人に達すると見込まれています。
 私のまわりにも、家族が認知症になり、対応に苦労している人がいます。なかでも多く聞かれるのが認知症の進行の速さです。はじめは物忘れ程度だった症状が家族の識別もつかなくなり、さらにティッシュペーパーをそうめんと間違えて食べようとして、注意すると怒りだすなどの状況も見聞きしています。認知症は本人にとっても、介護する家族にとっても、つらく深刻な問題です。
 こうしたもと、国も、2012年に認知症の初期対応の重要性を強調する「認知症施策推進5ヶ年計画(オレンジプラン)」を策定し、2017年には、新オレンジプランを公表。地方自治体でも取り組みが始まっています。
 しかし、一方で、現行の介護保険では、利用できるサービスに限度があり、認知症介護の現場では「家族任せ」という高齢者が膨大な数にのぼっています。

Q1 認知症は、特別な病気ではなく、誰もがなりうる病気です。初期対応が必要な軽度認知障害は、放置すれば5年以内に半数が認知症に移行すると言われています。
 認知症の高齢者に対応する公的介護サービス・介護基盤を抜本的に拡充するとともに、認知症の早期発見から初期対応、家族への支援、終末期のケア・看取りまで、切れ目なく治療と支援を行う体制の構築は重要な課題です。区は、認知症対策について、どのように認識し、取り組んでいるのか、うかがいます。

 国の新オレンジプランにもとづき、区も、物忘れ相談、認知症サポーター養成、認知症初期集中支援チーム訪問支援、認知症コーディネーターの配置、認知症ケアパスの普及、認知症グループホームの整備など、累計と年度ごとの目標を持って取り組んでいますが、問題は、5人に1人、軽度を含めれば4人に1人ともいわれている認知症高齢者数に対応する規模の取組になっているのか、さらに予防とともに初期段階に、機敏で的確な対応がとられているかということです。
 こうした取組が、計画通りといえるのか、また今日の状況に相応しいものとなっているのか確認したいと思います。

Q2 まず認知症予防についてです。新オレンジプランでは、発症予防の推進として「運動、口腔機能の向上、趣味活動など日常生活における取組」をあげています。区としては予防対策をどのように取り組んでいますか。規模、参加高齢者は年間どの程度か示してください。さらに各種教室等の取組は重要です。終了後も継続したいという要望が寄せられていますが、区はどう対応していますか。お答えください。

Q3 相談活動も重要です。物忘れ相談は20カ所のケア24と保健センターで実施していますが、昨年度までの3年間の相談件数の推移はどうなっているか示して下さい。2018年度から20年度の3カ年計画では、ケア24の物忘れ相談件数を年間80件と見込んでいますが、5人に1人が認知症の可能性があるなかで、見込み自体が少ないのではないのか。また、相談を呼びかけ、促す取り組みを強化すべきではないのか、認識をうかがいます。

Q4 訪問医療についてです。認知症やその疑いのある方を抱えた悩みの一つに、診療をうながしても拒否され、医師の診療がうけられないという問題があります。それだけに、訪問診療を積極的に推進することが求められています。区はどのように認識していますか。認知症初期集中支援チームが訪問支援に取り組んでいますが、その対象規模はどの程度か、訪問活動をさらに強化すべきと思いますが、いかがですか。

Q5 新オレンジプランでは、認知症の人やその家族が、地域の人や専門家と相互に情報を共有し、お互いを理解し合う場として、認知症カフェ等の設置を推進することが位置付けられ,区内でも設置が進められています。運営している方にお話をうかがったところ、杉並区の場合、認知症カフェの情報が一元化されていないため、わかりにくく、たとえば区のサイトでカフェの一覧表を掲載する、あるいは、地域の掲示板などで知らせるなど、周知に工夫をこらしてほしいとの要望がだされました。また、他区では運営費の一部補助を行っており、杉並区でも、補助金制度を実施してほしいとの要望も出されました。認知症カフェへの支援について、区はどう取り組んでいますか。カフェの周知や運営費補助制度など検討すべきと思いますが、見解をうかがいます。

Q6 認知症が進むと、一人暮らしや家族との生活が難しくなり、徘徊や近所とのトラブル等が発生するケースもあります。居宅での生活が困難となった認知症高齢者にとって重要な生活の場となりうるのがグループホームです。グループホームは、1ユニット9人までの少人数で、入浴や食事、排せつなどの介助を受けながら共同生活をする施設で、家庭と同じような環境の中で生活が送れることから、ケアマネジャーからも、認知症高齢者にとっては、交流や刺激が少ない特養ホームより、グループホームが大切との声も聞いています。認知症グループホームの重要性について区の認識をうかがいます。

Q7 区長は所信表明で、認知症グループホームについて「整備目標の達成にめどが立ってまいりました。目標達成後の施設整備につきましては、施設の利用実態や新たなニーズなどの状況を踏まえながら、今後検討してまいります」と述べています。
 杉並区の高齢者人口当たりグループホーム定員数・整備率は0・45%で、23区平均の0.38%よりは高いですが、そもそも東京都の整備率は全国最低で、杉並区の整備率も全国平均の0・5%以下です。目標を引き上げるべきですが、いかがですか。
 第7期介護保険事業計画では、昨年度実績の466人から2020年度の見込みを645人に引き上げていますが、区長発言の趣旨は、この計画をさらに引き上げることなのか、見解をうかがいます。

Q8 グループホームは、特養よりも入所費用が高いために、入りたくても入れないという悩みが寄せられるケースがあります。要介護度によって決まる利用料のほかに、家賃、食費、管理費などが必要で、区内では家賃が安くても50,000円以上、高いと10万円を超えます。そこに食費、水光熱費、共益費などを合わせれば15万から20万円は必要となります。これだけの費用では、国民年金のみの高齢者は夫婦2人合わせても入れません。厚生年金受給者でも入れない高齢者が少なくないと思います。ちなみに、東京都福祉保健局の調査では、東京の高齢者の30〜40%が年収150万円未満となっています。
 入所したくてもあきらめざるを得ない人がいるという事態を区はどう考えているのか、お答えください。

Q9 特養ホームや老健施設などを利用する場合でも居住費、食費は必要ですが、低所得者には「補足給付」があります。「本人及び世帯全員が住民税非課税で、年金収入額等が80万円以下、預貯金が1千万円以下の場合、1日820円、30日で2万4600円の負担で済みます。しかしグループホームにはこうした制度がありません。なんらかの対策が必要と思いますが、区の認識をうかがいます。

Q10 2015年2月、厚労省は、市町村が任意事業として「グループホームの家賃等の助成」事業を実施することを認める事務連絡を出しました。
 全国で、横浜市、名古屋市のような大都市で低所得者に対する家賃助成に踏み出しています。都内でも品川区が1カ月24,000円の家賃助成、八王子市の場合は、家賃と食材料費あわせて所得階層別に41,700円から66,900円の助成を実施しています。
 区としてもグループホームの家賃助成を検討すべきではないでしょうか。答弁を求めます。

Q11 介護保険制度の訪問介護のうち、ホームヘルパーが掃除や洗濯、調理などの日常生活を援助する「生活援助」は、高齢者が住み慣れた居宅で暮らし続けるうえで極めて重要なサービスです。区長も、高齢者のみ世帯、ひとり暮らし高齢者が増加することを見据え、在宅生活の支援を進めなければならないと述べています。介護保険における生活援助サービスの重要性をどう認識していますか。お答えください。

Q12 今年10月から介護保険の生活援助サービスを一定回数以上利用する場合、ケアマネジャーが区市町村へケアプランを届け出ることが義務付けられます。要介護度1の人場合は1か月27回、2が34回、3が43回、4が38回、5が31回というように要介護度別に設定され、この回数を超える場合、届け出が必要になります。財務省が、生活援助の利用が、全国平均は月9回なのに、中には月100回を超えて利用している人がいると無駄遣いであるかのように言い出したことが発端です。
 「認知症とその家族の会」の代表理事の方は、認知症の人が在宅で暮らそうとすれば、1日2.3回の利用は十分想定される。厚労省が公表した生活援助を月90回以上利用している事例の自治体調査では、8割が認知症、7割が独居だったことを示し、生活援助の利用制限は、在宅介護の実態を無視した根拠のない施策だと批判しています。
 私の知り合いのケアマネジャーも、かつて要介護度2で1人暮らしの認知症高齢者のケアプランを受け持っていました。この高齢者の場合、身体介助をいっさい拒否し、受け入れるのは朝夕の食事の支度とエアコンの設定のみ。そのため1日2回生活援助を利用。1か月約60回利用していたことになります。この高齢者は現在は施設に入所しましたが、もし在宅で生活援助を受け続けていれば、ケアプランの届け出が必要になるケースです。ケアマネジャーは、そうなれば、ケアプランが認められるのか、もし是正を求められた場合どうなるのか不安になり、利用を抑制してしまうかもしれないと言っていました。
 第7期介護保険事業計画では、ケアマネが作成した訪問介護の利用回数などケアプランの点検の強化が示されています。生活援助が一定回数以上となったケアプランについては、「地域ケア会議」にかけて、検証すると言われていますが、杉並区はどのように検証するのか答弁を求めます。
 ヘルパーも利用者・家族もいない地域ケア会議で判断するなど、言語道断との指摘もあります。利用者にとって、不利益になるようなことがあってはなりませんが、区としてどう担保するのか、見解をうかがいます。

Q13 ケアプランの是正を求められた場合、ケアマネジャーが利用者を説得する役割を担わされ、ケアマネと利用者・家族との信頼関係が崩れたり、基準未満に自主規制することにもなりかねません。また、回数制限で、高齢者の生活状態が悪化したり、身体機能の低下、重度化が進むことも心配されます。家族にとっても、在宅介護の負担が増し、虐待、介護殺人といった悲劇が広がりかねないなど、様々な不安の声が上がっています。
 生活援助の利用を抑制し、萎縮させるようなことのないよう、区が何らかの対応をとるべきと考えますが、いかがか、答弁を求めます。

2.学校給食費の無償化について
 次に、第1回定例会に続いて、学校給食費の無償化について質問します。これまでの質問でも紹介したように、杉並区の場合、学校給食費の保護者負担は年間で、小学校高学年が約5万7000円程度、中学校が約6万1000円程度となっています。就学援助を受けていれば給食費は実費が支給されますが、就学援助の対象から外れる低所得者世帯にとっては重い負担です。また、複数の子どもを持つ世帯にとっても負担は重くのしかかり、負担の軽減、無償化を求める声が寄せられています。
 第1回定例会で、私は、一度に全児童生徒の無償化は無理でも、まずは第3子以降を無料にするなど、区として何らかの助成に踏み出すことを検討すべきと求めましたが、区は、学校給食関係法令により給食費は保護者負担とされているとして無償化を図る考えはないと従来通りの答弁でした。
 私の質問以降7月27日に、文部科学省は、平成29年度の「学校給食費の無償化等の実施状況」及び「完全給食の実施状況」の調査結果についてを発表しました。

Q1 この文部科学省の調査は、給食費への支援を、区の答弁のように否定する立場ではないのではありませんか。文科省はどのような認識、目的で調査したのか。また、文科省の認識と区の認識はちがうのか、お答えください。

Q2 この調査結果でも、無償化による成果が例示されていると思いますが、どのような成果が示されたのか紹介して下さい。

Q3 学校給食は、国の食育推進基本計画で、子どもたちが食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身につけることができるようにすると定められているように、教育の一環であり、本来無償であるべきです。調査結果を発表した文部科学省に、無償化措置などを求めるべきではありませんか。見解を求めます。

Q4 文科省が対応をとらないなかで、調査結果で示されたように、全国76の自治体で小中学校とも無償化、4自治体で小学校だけの無償化、2自治体で中学校だけの無償化が始まっています。実施自治体は、小規模自治体が多いですが、都内でも2自治体で小中学校とも無償化、25自治体で一部無償化・一部補助が実施されていると示されています。
 また、わが党区議団は、区部でも葛飾区、品川区で第3子以降の無償化が始まっていることを紹介してきました。区は、こうした広がりをどう見ていますか。

Q5 また、区としても無償化、一部無償化を検討すべきではないでしょうか。

 答弁を求めまして、私の質問を終わります。