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2019年第3回定例会 一般質問「商店会の補助金不正受給について」「ひきこもりへの支援について」「加齢性難聴への支援について」全文

 日本共産党杉並区議団を代表して、商店会の補助金不正受給について、ひきこもりへの支援について、加齢性難聴への支援について、質問します。

■はじめに、商店会の補助金不正受給について質問します。
 西荻窪地域の商店会が、イベント事業の領収書を偽造し、水増し分で出演者との打ち上げなどの飲食に使っていたことは、厳しく批判され是正されるべきことは当然です。同時に、商店会が、明らかに協賛金を集めたことを区は知りえながら、未計上の実績報告を、都に提出し続けていたことについては、区の責任が問われる問題です。また、なぜそうした事態が続いたのか、東京都から指摘を受けて以降、臨時議会まで4カ月もかけながら区民と区議会に説明できないということも、きわめて深刻だと思います。こうした事態は、個別の問題にとどまらず、杉並区政の行政運営のあり方、基本姿勢が問われている問題であり、検証委員会の報告を待つわけにはいきません。そうした立場から、協賛金未計上問題について、これまでの調査のあり方、経過と区の責任について質問します。

Q1.まず、都から指摘を受けて以降、臨時議会まで4か月にわたる調査をしながら、経過と責任の所在について、なぜ明確な説明ができなかったのかという問題です。区は、7月の区民生活委員会および8月の総務財政委員会で、今後の検証委員会で検証をすすめるとくり返し答弁しましたが、4カ月間の調査について、反省と自己分析を明確にすることなしに検証はあり得ないと思います。どう認識しているのか、うかがいます。

Q2.4月から7月末まで、区は具体的に、どのような調査、聞き取りを実施してきたのですか。お答えください。

Q3、都から是正指導がありながら、協賛金未計上の実績報告を5年間にわたって都に出しつづけていた責任は、区にあります。商店会が協賛金を集めていたことは、知りうるにもかかわらず、なぜ協賛金未計上の実績報告を都に出し続けたのか、担当者、決裁者に聞けばわかる話ではありませんか。なぜそれが説明できないのですか。はっきり答えてください。

 次に、経過について具体的に質問したいと思います。
 協賛金未計上の実績報告を提出してきた問題は、商店会等との主張の食い違いなどはあったとしても、区自身がとった対応とその理由については、答えられないことはあり得ないはずです。

Q4、まず、商店会が協賛金を集めていた事実認識の問題です。ハロー西荻に関していえば、協賛金を納めた人・事業者は、花がけで紹介され、スタンプラリーパンフにも名前が紹介されていました。区の関係者、関係部署では、協賛金、広告収入を集めていたことを知っていたと思いますが、聞き取りの結果はどうだったのですか、明確に答えてください。

Q5.この問題に関連して、商店会関係者からの話のなかに、区からハロー西荻スタンプラリーパンフへの協賛金納入者の記載、花がけの掲示は止めて欲しいという旨の指導があり、パンフへの記載は止めたが、花がけは続けたとの話がありました。確かにパンフへの記載は平成27年度まで行われていましたが、28年度からはなくなりました。こうした対応の事実経過についてお答えください。

Q6、深刻なことは、平成25年度分の協賛金の未計上について、都から是正指導を受けながら、翌年以降是正がされなかったことです。事実を確認したいと思いますが、都からは、指導した翌年の26年度分の実績報告で、協賛金が未計上になっていることについて区に質したところ、区は大丈夫との回答だったと聞いています。区民生活および総務財政委員会のなかでも、わが党議員が質問していますが、その点についての明確な答弁はありませんでした。
 そこで再度確認します。協賛金未計上について、都からの質問があったのか否か明らかにしてください。また、問題ないという旨の対応をしたとすれば、それはどのような根拠及び判断によるものですか。答えてください。

Q7、都の是正指導とその後の点検にもかかわらず、未計上の実績報告を区が都に出し続けたということは、きわめて不可解です。これは、くりかえし言いますが、商店会がどうこうではなく、区の責任が問われる問題です。区民生活委員会でのわが党の質問で、都への提出は、管理職が決裁したと答弁がありました。是正指導がありながら、なぜ決裁したのか、担当管理職はどのように報告しているのですか。はっきり答えてください。

Q8、未計上になった理由として、区長会見資料等では「イベント実施団体でない『西荻窪商店会連合会』が協賛金を集めたかたちを取ることによって、これをイベント収入に計上せず、補助金を不正に多く受給していた」とあります。しかし、私が聞いた範囲では、商店会関係者には、そうした認識はありませんでした。この説明は何を根拠にしているのですか。商店会関係者の聞き取りや文書があるのですか。会見資料に明記されているのですから、その根拠について明確に答えてください。

Q9、都は、実施団体でなくても、イベントへの協賛金で、事業に使われたなら計上すべきと判断しています。未計上でよしということではないと思いますが、いかがですか。
 さらに不可解なことは、区の説明からすると、区も、実施団体でない団体が集めたなら、計上しなくてよいと判断したと思われますが、どうですか。また、その根拠は何か、うかがいます。
Q10、そもそも、商店会の複数の関係者からは、協賛金について、区からは、記入しなくてよいと言われたとの話を聞きました。マニュアルへの記載だけでなく、具体的な指導に関して、こうした事実はなかったのでしょうか。お答えください。
 
Q11 8月30日の東京MXテレビの報道で、平成30年度の商店会全イベント事業について区が調査した結果、「細かいミスは多数あったが、ある意味重大と思われるものがあった」と産業振興センター次長が話していました。どのようなことなのか具体的に説明してください。

 以上質問してきましたが、杉並区の自浄能力が問われる問題です。また議会にたいする説明責任も問われています。明確な答弁を求め、次の質問に移ります。

■次に、ひきこもりへの支援について質問します。
 川崎市や練馬区の痛ましい事件を通じ、ひきこもり問題への関心が高まっています。KHJ全国ひきこもり家族会連合会は、「ひきこもる人は、職場や学校で傷つけられたり傷つけたりするのを回避した結果、他者との関係を遮断せざるを得ない状況に追いやられた人が多く、無関係な他者に対し、危害を加えるような事態に至るケースは極めて稀である」と指摘し、「ひきこもりだから事件を起こしたとも受け取れる誤解や偏見を助長する報道は控えてほしい」との声明を発表しました。さらに、会の共同代表は「ただでさえ社会から孤立しがちな当事者と家族を排除しないでほしい。行政は高年齢化するひきこもりの対策に待ったなしで取り組むべきだ」と述べています。尤もな指摘だと思います。
 
 今年3月、内閣府は、中高年のひきこもりに関する調査結果を発表し、全国で40歳から64歳までの引きこもりが推計で61万3千人に上るとの推計をあきらかにしました。2016年に発表された15歳〜39歳の若年ひきこもりの推計値54万1千万人と合わせると、ひきこもりの総数は115万人を上回ることになります。

Q1 杉並でも、中高年のひきこもりが増えていると推察されます。内閣府の推計を単純に杉並区に当てはめた場合、40歳から64歳までのひきこもりの人数は2700人余と推察されるところです。今回の内閣府の調査結果で示された内容、初めてひきこもりになった年齢やひきこもりの期間、ひきこもりのきっかけについて、その詳細をお示し下さい。
 
 ひきこもりに至った経緯は様々ですが、その背景には、過度の競争教育、長時間過密労働、職場でのストレスの増大、弱者たたきの風潮など、日本社会の矛盾があるのではないでしょうか。ひきこもりを「甘え」や「怠け」などといって中傷し、無業の人たちに恥辱を負わせる偏見が、日本社会には根強く残っていますが、専門家からは、引きこもりを自己責任と捉えるのは誤りで、このまま現状を放置すれば、近い将来、膨大な“貧困高齢者”が生みだされ、孤独死の激増など、深刻な社会問題を引き起こしかねないという警鐘も鳴らされています。

Q2 区は、ひきこもりが高齢化し、深刻になっているという事態と、支援の重要性について、どのように認識していますか。

 ひきこもり状態にある50歳代の子を80歳代の親が支え、親子共倒れのリスクを抱える「8050問題」も深刻です。知り合いのケアマネ―ジャーから、要介護の親と同居するひきこもりの子の事例で、対応に困難を極めているとの話を聞きました。
 区内に住む50代男性は、30代でうつ病を発症し、これまで、精神科受診、保健師の訪問、デイケア、就労支援センターなどに行きましたが、人とのかかわりが煩わしくなり、現在ひきこもり状態で、要介護1の母親が息子の代わりに精神科に言って薬をもらっています。母親は息子に話をしても、それがますますストレスになって、ほとんど家で寝ているそうです。母親は、自分が死んだあとの息子の生活が不安だとケアマネ―ジャーに訴えています。
 この事例のほかにも、中高年のひきこもりの子と同居する親の悩みを聞いていますが、事態は深刻であり、内閣府の推計を杉並に単純に当てはめれば、中高年のひきこもりが2700人余にのぼる可能性があるもとで、孤立状態にある人や家族への支援に全力を尽くすことが求められています。
 杉並区では、主に、くらしのサポートステーション(略してくらサポと言います)が、ひきこもりの相談対応に当たっています。くらサポは、生活困窮者自立支援法に基づき、区が設置し、社会福祉協議会が委託を受け運営しています。先日、私は、直接くらサポにうかがい、話を聞きましたが、ひきこもりだけでなく、病気や失業、債務問題、子どもの学習など、様々な相談を受ける総合窓口として、重要な役割を果たしている機関だということがあらためてよくわかりました。

Q3 全体の相談は、月80〜90件、100件を超える月もあるとのことでしたが、ひきこもりの年間の相談者の数は、昨年度と今年度どのようになっていますか。  

 職員の方は、制度と制度のはざまにある様々な区民の困難事例に誠実に対応されていると感じましたが、ひきこもりについて、さらなる支援の拡充・強化を求める立場から以下4点うかがいます。

Q4 第一に、ひきこもりの相談窓口の明確化ときめ細かな周知徹底・強化です。  
 ひきこもりの当事者や家族が、今の状況を打開したいと思っても、どこに相談すればいいのか、わからない人も多いのではないでしょうか。
 なかには、ひきこもりの家族が、藁をもつかむ思いで、たまたまネット検索などの情報で知った自立支援ビジネス(暴力的支援団体)と高額の契約を結び、本人を同意もないまま暴力的手法で強引に引き出して、施設に入寮させ、まともなケアもないまま“矯正”を強いるケースも後を絶たないときいています。こうした被害をなくしていくためにも、相談窓口を明確にし、周知徹底させることが重要です。
 今年3月に出された厚労省の社会援護局関係主幹課長会議資料では、相談窓口の認知が重要とし一層の周知をお願いする。とし、また、6月に厚労省社会援護局地域福祉課長から出された通知でも地域のネットワークを活用する等、各地域の実情に応じた方法により、改めて住民の方々に周知いただきたいとしています。
 相談窓口の周知徹底・強化について、区はどのように取り組んでいますか。また、今後は、どのように努力していくのですか。

Q5 第二に、相談したくても窓口に来られない人への訪問支援、アウトリーチの充実です。
 長期間にわたってひきこもっている当事者が自ら窓口に出向いて相談にいくことは非常に難しいことから、自宅などに直接訪問する訪問活動、アウトリーチ支援はきわめて重要と考えます。6月の厚労省通知でも、関係機関や地域とともに支援を進める中で、ひきこもりの状態にある方やその家族に関する情報を察知した場合には、必要に応じて訪問支援を行うこととしています。
 訪問支援は特別重要と思いますが、区の訪問相談の現状はどのようになっていますか。また、今後については、どのように強化を図っていこうとしているのでしょうか。

Q6 第三に強調したいことは、複雑・困難事例に対応できる職員体制の強化です。
  先ほど紹介した援護局関係の課長会議資料でも、厚労省は、ひきこもり支援に関わる人材の養成研修の充実をあげ、市町村等のひきこもり支援を担当する職員の研修を行うこと、ひきこもり支援に関わる人材や資質向上を計ることなどをあげています。
 ひきこもりの人が抱える問題は、百人百様で、すぐに解決できるわけではありません。ひとりひとりの状況に応じた伴走型の柔軟なサポートが必要で、専門性も求められます。現在、くらサポの人員は正規2名、非正規4名の計6名。精神保健福祉士、社会福祉士等の資格を持った方々が対応されていますが、複雑・多様化する相談に対応するために、区として、体制の強化や養成研修の拡充にどう取り組んでいるのでしょうか。

Q7 第四に、家族への支援、ネットワークづくりです。
  引きこもりの家族の方からお話を伺うなかで、親は自分の育て方が悪かったのではないかなどと自分を責めたり、「世間への負い目」や焦り、不安、混乱を抱えるなど、心を痛めています。こうした家族に手厚い援助の手を差し伸べることが大事です。各地では、家族を対象にした交流会や講習会などの取り組みも始まっています。厚労省通知でもひきこもり当事者や経験者が行うピアサポートやひきこもりの家族会との連携を図っていくことも重要であるとしています。家族への支援については、現在どう取り組んでいるのでしょうか。また、行政とNPOや家族会などの支援機関が連携し、ひきこもり支援のネットワークを確立し拡充を進めていくことが重要と考えますが、関係機関との連携について、現在の取り組みと今後について伺います。

■最後に、加齢性難聴への支援について質問します。
 70歳以上の約半数は難聴があるとされ、その改善に欠かせない補聴器の購入補助について、わが党区議団は、今年の予算特別委員会、第二回定例会で区に支援を求めてきました。
 前定例会の一般質問では、耳が聞こえにくくなると認知機能が低下し、コミュニケーションにも支障が出て社会的に孤立することで、認知症のリスクが高まるといわれていることから、難聴の高齢者への支援の重要性について区の認識を質しました。

Q1 区は、厚労省の新オレンジプランに認知症の危険因子のひとつとして難聴が盛り込まれていると答弁しましたが、私たちが聞いのは、どう書いてあるかではなく、誰もが加齢性難聴になりうる可能性があるもとで、区の高齢者施策のなかに、難聴対策、難聴者への支援をどう位置づけて取り組むのかということなのです。改めて、区の認識を問います。
 さらに、補聴器については、認知症予防に有効な場合があることは承知しているとも答弁しましたが、補聴器の重要性についても、どのように認識しているのか、区自身の認識をうかがいます。

 加齢に伴う聴力の低下はゆっくりと進行するため気づくのが遅れがちで、聴力検査を受ける機会が少ないことも気づきにくい原因のひとつとされています。また、動脈硬化や糖尿病などが高齢者の難聴につながりやすいことも解明されつつあり、予防や早期発見の取り組みに力を入れていくことも重要と思います。
 
Q2 高齢者の特定健診や後期高齢者健康診査の項目に聴力検査をいれるよう、国に働きかけるとともに、区独自に実施するよう求めますが、いかがですか。

 難聴になったら、できるだけ早期に補聴器を使用することが聞こえの改善にとって大切ですが、補聴器は15万〜30万円以上と高額で、低所得の高齢者には手がでません。現在、公的補助は、両耳の聴覚レベルが70デシベル以上しか聴き取れないなど、身体障害者手帳が交付されている人に限られています。70デシベル以上というのは、40センチ以上離れるとその会話が理解しえない重度の難聴です。一方、WHO(世界保健機関)は、41デシベル以上しか聴き取れない人に補聴器をつけることを奨励しています。41デシベル以上というのは、基本的には聞こえるが、時々人の言うことがちょっと聞き取れないというレベルです。難聴を悪化させないためにも、早めに手を打つべきとしています。日本では加齢性難聴は障害のカテゴリーですが、欧米諸国では医療のカテゴリーで補助が行われています。その結果、難聴の人の補聴器所有率は、イギリス47.6%、フランス41.0%、ドイツ36.9%、アメリカ30.2%と比べ、日本は14.4%と非常に低くなっています。補聴器購入に対する公的補助が急がれています。

Q3 国に対し、健康保険適用の対象とするなど、公的な助成を行うよう働きかけることが必要と考えますが、区の認識はいかがですか。

 日本共産党東京都議団が行った「難聴と補聴器に関するアンケート」には504人から回答が寄せられましたが、「あまりに価格が高くとても手が出せずにいます」という声が多数でした。また、せっかく補聴器を購入しても、「合わない」と補聴器の使用をあきらめてしまったという声も少なくありませんでした。
 補聴器購入の助成について、23区では3区が都の包括補助事業を活用し、そのほか5区が区独自で補助を実施しています。さらに、江東区では、毎週決まった日に認定補聴器技能者による「技術支援」として、それぞれの利用者にあわせて補聴器の調節を行い、その費用も自治体が負担しているとのことです。

 予算特別委員会、前定例会での補聴器購入の助成制度創設を求めたわが党の質問に対し、区は「今年度実施する高齢者実態調査等を活用し、高齢者やケアマネの意見、費用対効果などを十分に考慮のうえ、福祉用具全般の再構築を行う予定」と答弁しました。

Q4 そこで、うかがいます。これまで行なわれてきた高齢者実態調査では、福祉用具についての調査は行っていないと思いますが、今度の調査では聞こえの実態や補聴器に関する調査も行うのか、お答えください。

Q5 会議やコンサート会場など人の集まる場所では、補聴器で音声を正確に聞き取ることが困難です。台東区などでは、ヒアリングループをほとんどの区の施設に設置し、移動式のヒアリングループを貸し出しして、利用を促進しているとのことです。また、補聴器に電波を飛ばすなどして、聞き取りやすくする機器もあります。
 区として、こうした機器を区立施設や区の窓口に導入したり貸し出すなどして、普及に取り組むべきと考えます。区の認識をうかがって、私の質問を終わります。