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2020年第3回定例会 一般質問「新型コロナ対策」「国民健康保険」全文と答弁の概要

 日本共産党杉並区議団を代表して、新型コロナウイルス感染症対策について、国民健康保険について質問します。

●新型コロナウイルス感染症対策について
 
はじめに、新型コロナウイルス感染症によって亡くなられた方々に哀悼の意を表し、療養されている方々にお見舞いを申し上げます。また、医療や介護、福祉などの現場で尽力されている皆さん、区職員のみなさんに、心からの敬意と感謝を申し上げます。
 それでは質問に入ります。
 
1.区内の感染状況の認識について
 まず、新型コロナウイルス感染症対策の土台となる現状と傾向の認識についてうかがいます。
 杉並区が発表した8月以降の週単位の新規感染者数は、3日からの週が98人、10日からの週が87人、17日からの週が88人、24日からは51人で、9月に入り、6日までの週は24人と、8月下旬以降は減少傾向にあります。
 年代別では、6月に入り特に20歳代、30歳代の増加が顕著で、感染者の居住地は区内全域に及んでいるとしています。

Q1 注目すべきは、感染経路が不明な新規感染者の比率が高いことです。区のホームページでは、感染経路不明者は一旦減少しましたが、6月から再び増加に転じ、7月下旬には67%となったと発表されています。最新の感染経路不明者の比率及び推移について明らかにしてください。
 また、感染経路不明者の増加は市中感染の拡大を示すものとの専門家の見解もありますが、区としてはこの事態をどう判断していますか。

Q2 日本医師会の中川敏男会長は、8月25日の記者会見で「新規感染者は減少傾向だが収束に向かっているとは言えない」「医療現場はひっ迫状況にある」と訴えました。
 9月2日時点での都のモニタリング分析の総括コメントでは、感染状況に関し「感染が拡大していると思われる」「新規感染者数と接触歴等不明者数は減少傾向にあるものの、その速度は緩やかである。感染者の再増加に厳重な警戒が必要な状況である」、医療体制については「体制強化が必要であると思われる」「医療機関への負担は長期化している。重症患者数の今後の推移に警戒が必要である」と判断しています。杉並区としては、現在の状況を総括的にどう判断していますか。

Q3 感染拡大を抑え込むのか、それとも感染の再燃を繰り返す悪循環に陥るのか、今まさに分かれ道に立っているのではないでしょうか。感染者の増加を抑えこむために総力を挙げて対策をとる局面だと考えますが、区長はどのような認識のもと、新型コロナ対策に立ち向かう決意ですか。お答えください。

2.PCR検査について
 次にPCR検査体制の抜本強化についてです。

Q4 杉並区は、区内4基幹病院への発熱外来の設置をはじめ、6次にわたる補正予算のなかで、PCR検査体制の拡充を図る取組みを進めてきたことは重要と評価するものです。しかし、現在の局面で問われることは、検査の対象と規模です。7月の臨時会では、一日の検査数を70件から300件をめざすとの表明がありましたが、現在の一日の検査可能数と実際の検査数の推移をお答えください。
 
 現在の感染拡大は、感染力を持つ無症状の感染者が多数存在する感染震源地すなわちエピセンターが各地に形成され、そこから市中感染が広がっていると考えられます。こうしたもとでは、クラスターを追いかける検査のやり方では不十分であり、感染震源地を明確にし、そこに検査能力を集中的に投入して網羅的・大規模にPCR検査を行い、それによって感染力を持つ人を見つけ、隔離・保護することが決定的に重要と考えます。
 日本共産党は、7月28日、PCR検査を文字通り大規模に実施することを政府に要請しました。ときを同じくして、東京都医師会も感染震源地での徹底した検査の実施を求め、日本医師会の有識者会議も緊急提言で無症状の感染者も含めた検査体制の確立を求めました。 
 新規陽性者数が減少傾向にあるといっても、徹底した検査の実施と感染者の隔離・保護は、引き続き重要です。
 新規感染者数が減少した5月、本来ならば、政府は、検査を抜本的に増やし、無症状感染者も含めて把握・保護し、感染の抑え込みをしておくべきでしたが、その時期に検査の数も減らしてしまったことが厚労省のデータで明らかになっています。そのため、水面下で無症状の陽性者の感染連鎖が発生し、感染がくすぶり続け、7月に経済・社会活動の再開で感染の再燃が起こりました。こうした誤りを繰り返してはなりませんが、8月中旬以降、新規感染者の減少に伴って、検査数も2日の2万5541件をピークに減少傾向にあることは問題です。

Q5 新規感染者数が減ったから検査も減らすということになると、無症状の感染者からの感染が継続し、感染はくすぶりつづけ、また次の波がくるということになります。そうした悪循環に陥らないためにも、今のこの時期にこそ、検査の抜本的強化に取り組むべきと考えますが、区の認識はいかがですか。

 次に、具体的な検査の対象、体制について提案します。

Q6 まず、すでに他区でも取り組みが始まりつつありますが、医療、介護、福祉、保育、学校など、感染が発生した場合に深刻な事態をまねきかねない施設に勤務する職員への、定期的なPCR検査の実施と、必要に応じ施設利用者にも検査を実施することです。
 千代田区では、区内の介護施設で働く職員全員を対象に、概ね三カ月ごとにPCR検査を実施、世田谷区では介護事業所、保育園、幼稚園で働く職員、特養等の入所予定者を対象にPCR検査を実施するとしています。
 厚労省の8月18日の通知では、「自治体の判断で、感染者が多数発生していると考えられる地域では、医療施設、高齢者施設等に勤務する人や入院・入所者に幅広く行政検査を実施していただくことは可能」としています。区としても、実施を検討すべきですが、いかがですか。

Q7 さらに、8月7日の厚労省通知では「自治体の判断により、現に感染が発生した店舗等に限らず、地域の関係者を幅広く検査することが可能であるため積極的に検査を検討いただきたい」としています。検討・実施を求めるものですが、いかがですか。

Q8 そのためには、検査体制の抜本的拡充に向けた、さらなる努力が求められています。東京都医師会は都内1400の医療機関でのPCR検査体制の整備を発表し、また他区では、大規模検査に対応できる検査手法の導入も準備をはじめています。区としても検査体制のより一層の拡充を求めますが、いかがですか。

Q9 もちろん、この点では国や都が本来の責任を果たすことが求められています。
 PCR検査が広がらない要因に、自治体の費用負担や検査機器の問題があります。国に自治体の費用負担の軽減や大学など民間保有のPCR機器を活用した検査の推進などを求めるべきですが、いかがですか。

Q10 検査の拡充とともに重要なのが、無症状や軽症の陽性者の宿泊療養施設の整備です。国の責任で、施設整備を進めるよう求めるとともに、整備が進むまでの間、自宅待機を余儀なくされる陽性者に生活物資を届け、体調管理を行う体制をつくるべきですがいかがですか。

3.情報提供と専門家の協力をえた分析・対応検討
 次に区民への情報提供、専門家の協力についてです。

Q11 感染状況の情報開示は、あらゆる感染症対策の土台となるものです。しかし、現状では、住民はどこが感染震源地なのか知ることができず、不安にかられ、場合によっては憶測による不安や疑心暗鬼が生じます。正しい認識を共有してこそ、住民の一致協力によって対策を進めることが可能になります。区は、情報開示の意義、重要性についてどう認識していますか。

Q12 感染拡大を抑え込んでいる米国メリーランド州では、ホームページで、州全体ではなく24群のそれぞれの検査率、陽性率、感染者数、検査数、陽性率、感染者の性別、年代などの内訳も公表しています。
23区でも情報提供の工夫が行われています。世田谷区では、感染者数の推移、男女別、年代別、地域別、重傷者、死亡者、感染源、濃厚接触者についてもそれぞれ詳細に開示しています。一方、杉並区の開示の現状は、感染者数については日ごとと週ごと、検査件数と陽性率については週ごとで公表していますが、年代別の傾向や感染経路の状況については概ね1か月ごとの公表で現時点では7月28日以降更新は有りません。区民からはもっと詳細な状況分析を知りたいとの声があがっています。
今後の情報開示強化についてどう進めていくのですか。

 あわせて、専門家の協力についても伺います。
Q13 都は7項目によるモニタリングとともに毎週専門家による分析を行い、感染傾向について総括コメントを発表しています。また、世田谷区の検査モデル創設は区レベルの専門家会議からの提案によるものです。杉並区としても、専門家に参加してもらい、定期及び随時に、区内の感染状況の分析や対応を検討する体制をとる必要があると考えますが、いかがですか。

4.医療体制を守ることについて
 次に、医療体制についてです。感染拡大から区民の命を守るためには、医療体制を守ることがますます重要になっています。この点で、杉並区が国に先駆け、区内4つの基幹病院に対し、感染患者受け入れによる減収分への補助を行ったことは、わが党も国会で紹介しましたが、高く評価されることです。

Q14 区は、この4基幹病院への補助について、4月から6月までとし、その後の支援については状況をみて判断するとしていました。医療体制の崩壊を防ぐために、支援を継続・強化すべきですが、区の認識と対応についてうかがいます。また、病院への減収補てんを、国、都に働きかけるべきではありませんか。いかがですか。

Q15 基幹病院とともに、かかりつけ医師、地域診療所への支援も求められています。
 全国の病院運営団体なども発表していますが、感染拡大の影響で、患者が通院を控える事態がおき、4分の1の病院が、夏季賞与を減額するなど、深刻な影響を与えています。 
 杉並区と中野区で1病院10診療所を運営する法人でも、前年同時期比で収入は2割減少したという報告を聞いています。
 基幹病院以外の病院、診療所におけるこうした事態をどのように把握していますか。国、都への働きかけを含め、基幹病院支援につづいて杉並モデルともいえる支援の手立てを検討すべきではありませんか。

Q16 また、すでに杉並区医師会から要望が区に提出されていると思いますが、かかりつけ医は防護服もなく患者対応を余儀なくさせられている状況にあり、十分な衛生材料とPPE確保への支援が要望されています。区は、どのように対応するのですか。

5.長期化への対応、区民の健康安心体制の抜本強化を
 新型コロナ問題で最後に伺いたいことは、長期的な視点での認識と対応です。
 8月1日、WHOは新型コロナウイルスへの対応を提言する専門家による緊急委員会の協議結果を発表しましたが、そこでは、流行は長期化すると予測し、各地域や各国が対応を途切らせることなく、持続的に実施していくことが重要との見解が示されました。またテドロス事務局長は開幕時の声明で、新型コロナは「1世紀に1度の危機で、影響は数十年にわたり残るであろう」と強調しました。
 さらに、新型コロナだけでなく、この半世紀のあいだに、エイズ、エボラ出血熱、sars、鳥インフルエンザなどが出現、厚生労働省は、この30年間に少なくとも30の感染症が新たに出現しているとしています。

Q17 新型コロナウイルス感染の長期化、新たな感染症の出現という状況のなかで、当面の対策に全力をあげるとともに、長期的な視点にたって、公衆衛生の抜本的強化をはじめ、感染症対策の強化に本格的に取り組むことが求められていると考えます。区長の基本認識をうかがいます。

 またなぜ、爆発的な感染拡大を招き、これを防ぐことができなかったのか、世界で89万人もの死者を出す事態となったのか、このコロナ危機を通じて、世界でも日本でも、社会の脆弱さ、矛盾が明るみになっています。すべてを市場原理にゆだね、あらゆる規制を取り払い、医療や社会保障はじめ公的サービスを切り捨て、自己責任を押し付ける社会・政治のあり方でいいのかという問いかけが広がっていることも注目すべきだと思います。
 自身もコロナに感染し、一時は集中治療室に入った英国・ジョンソン首相が、サッチャー元首相の「社会なんていうものは存在しない」「自分の面倒は自分でみてくれなければ困るのです」との発言と対比し、「コロナウイルスは社会というものがまさに存在することを証明した」「われわれの国民保健サービスを守れ」と発言したことは、世界の注目を集めました。

Q18 さらに、注目すべきは、ミラノ、アムステルダム、バルセロナ、パリの4都市の市長による共同声明です。声明は、リーマンショックに対して行われた緊縮政策が公共サービスを脆弱にし、社会の不平等をつくりだしたと指摘し、次のように述べています。「今日、公共サービスはパンデミックに対して英雄的に対応していますが、切り捨て政策が原因で資源が不足し、われわれのところへは届きませんでした。われわれは失敗に終わった処方箋に戻ってはなりません。……われわれは連帯と協力の原則が圧倒的に広がるよう要求します」
 大きな犠牲者を出した四つの都市の市長の「失敗に終わった処方箋に戻ってはなりません」という訴えはたいへんに痛切ではないでしょうか。この4都市市長の見解について、区長はどう受け止めますか。 
 
Q19 日本でも、自己責任が強調され、医療、社会保障費の削減、ベッド数の抑制、保健所の縮小などが行われてきたことに目を向けるべき時だと思いますが、いかがですか。

 感染症予防、感染拡大抑制の要であり、かつ区の責任が直接問われるのが、保健所機能と体制の強化です。感染症対策を最前線で担っている保健所は、深刻な疲弊状態に陥りました。
 もともと保健所は人口10万人に1ヵ所程度という配置基準がありましたが、1990年代の地域保健法や2000年代の「地方分権改革」のもとで、全国の保健所数は1990年の850カ所から、2019年には472カ所へと激減し、職員総数も大幅に削減されました。
 杉並区もかつて3カ所あった保健所が1997年に1カ所に統廃合されました。常勤職員は、1990年の244人から2020年4月177人と30年間で67人削減され、主な専門職では、保健師は52人から66人に増えたものの、衛生監視は41人から32人に、検査技術は14人が3人となったと先の定例会で答弁がありました。
私は、保健所の職員の方からお話しを伺う機会がありました。現在は電話相談と健康観察の一部が委託されているとのことですが、発熱外来の受診調整や検体回収の調整、入院調整や濃厚接触者の特定・追跡、各種統計資料の作成・報告等になどに忙殺され、深夜に及ぶ残業、休日もなかなか取れないなど、過酷な労働実態が語られました。
 また、感染症対策を行う保健所を一カ所に統廃合したことにより、保健センターの職員が感染症対策業務にかかわらなくなったため、技術の継承が出来なくなっていることに対する懸念も聞きました。例えば、防護服の正しい着脱の仕方、感染拡大を防ぐために安全な空間と汚染された空間を分けるゾーニングのマニュアルは定期的に訓練しないと忘れてしまうとのことです。
 
Q20 第二回定例会一般質問で、わが党区議団は、保健所職員の増員など体制強化を求めましたが、区は今後も区役所内での応援や、派遣・委託などで対応すると答弁しました。しかし、職員の多忙、長期化への対応、また世界的な感染症の多発という新しい状況のもとで、職員の増員など、保健所体制を抜本的に強化していくことは急務ではありませんか。区長の見解をうかがい、次の質問に移ります。

●国民健康保険について
国民健康保険について、国保運営方針の改定を中心に質問します。
 国民健康保険料は毎年連続値上げされていますが、これには、国・都の圧力による法定外繰入の段階的削減・廃止があり、そのもととなっているのが、「東京都国民健康保険運営方針」です。2017年に策定された「運営方針」では、法定外繰入について「計画的・段階的な解消がはかられるよう取組む必要がある」と定め、区市町村に削減計画の策定と提出まで定めています。
 今年度は、この運営方針の改定年度ですが、厚生労働省が都道府県に通知した運営方針の改定に向けた保険局長通知では、法定外繰入廃止にむけ、計画の策定とともに、新たにその進行状況の公表・見える化まで改定「方針」に盛り込むよう通知しています。
 厚労省は、地方自治法にもとづく技術的助言だと言い訳していますが、局長通知の「策定要領」では、改定文案まで一字一句示して、各都道府県、ひいては区市町村を縛ろうとしています。

Q1 保険料の決定に直結する事柄について、「技術的助言」だとして、国が区市町村を縛ろうとすることは、自治権を侵害するものではないでしょうか。区の認識を伺います。

 日本共産党杉並区議団は、区を縛り、さらに区民を脅かす運営方針改定の押しつけは許せないと判断し、7月31日、東京都福祉保健局長に対し、厚生労働省言いなりで法定外繰入の廃止、その進行状況の見える化などの方針を盛り込まないよう申し入れを行いました。
 この申し入れにおいて、都は、改定は、区市町村と共同で行うもので、区市町村の意見を聞いて対応すると答弁するとともに、国のように法定外繰入廃止の年度を定めることや、見える化という提起も現時点では検討していないと答えました。

Q2 都が進める運営方針改定のための区への意見聴取等にたいし、区は、これまで及びこれからどう対応するのですか。被保険者の保険料負担の連続値上げを押し付ける改定にしないよう積極的に対応することを求めますが、いかがですか。

 わが党区議団は、都への申し入れにおいて、厚労省が局長通知で「今回の財政支援措置の拡充により、法定外繰入の解消が図られる方向となっている」と記述しているが、制度変更前の2017年度と変更後の18年度決算を比較すると、国・都の負担は増えておらず、区も19億円の減と答弁したことを紹介し、法定外繰入廃止の条件は整ってないことを指摘しました。
 都は、私たちの指摘に答えることができず、杉並区への聞き取りも含め調査して返事をするということになりました。その後の都からの回答は、杉並区が計算した19億円の減は計算上は間違いない、しかし、制度が変更したため単純に比較できず、増減は言えないというものでした。

Q3 杉並区が19億円の減という分析をしたことは先駆的であり、都が計算自体はまちがいないと認めたことも重要です。あらためて確認しますが、国・都の負担が19億円減ったという結論は、どのような計算、分析で行ったのでしょうか。
 都は、比較できないと判断を回避していますが、国保会計上、国・都の負担が減少し、国保会計に影響を与えていることは明白ではありませんか、区の認識をうかがいます。

 国は、国保の都道府県化を実施した2018年度に都道府県に1700億円の追加投入を行い、東京都にはその約1割172億円が交付されたことを申し入れの中で確認しました。しかし、杉並区は増額どころか減額となっています。これは、杉並区個別の事態ではなく、特別区の多くが同様の事態となっている可能性があります。
 区は、国・都への財政支援の拡充を求めているとの答弁をくりかえし、また区長は特別区としての連携した対応の必要性を答弁してきました。
 それならば、抽象的に財政支援を求めるだけでなく、他の区にも情報を提供し、分析のなかで明らかになった国都負担の減額の事実を示して、都に財政支援の大幅拡充を求めるべきと考えます。

Q4 東京都に対し、法定外繰入廃止その進行の見える化などを改定運営方針に盛り込まないよう他区にもよびかけ、共同で対応すべきではありませんか。いかがですか。

 最後に、新型コロナの影響についてうかがいます。
 区長は、先の予算特別委員会で、私の質疑に関し「加入者の負担が年々高まってきているということは、非常に重要な問題」と述べるとともに「今後コロナで経済状況がどう落ち込んでいくか非常に不安に駆られる」「厳しい所にこの人たちが追い詰められかねないことがわかっています」と発言しました。被保険者はまさに追い詰められた状況ではないでしょうか。立川市では、こうした事態を受け、今年度の保険料値上げを中止しました。

Q5 杉並区としても、少なくとも来年度の国民健康保険料は値上げをしない、また、子どもの均等割りの軽減など負担軽減策を行うべきです。区長の認識をうかがいます。
Q6 保険料の減免について。対象は2万3千世帯の見込みと答弁がありましたが。8月21日現在の申請数は1625件で決定は284件と極めて低い実績となっています。周知が弱いのではないでしょうか。江東区では、今年度の国保料額通知書の送付とは別に、申請書を同封した減免の案内を送付しているとのことです。こうした自治体を参考に周知を強める必要があると考えますが、いかがですか。

Q7 また、新型コロナウイルスに感染した場合の国保の傷病手当は被用者に限定されていますが、個人事業主やフリーランスの方々も対象とすること、また国や東京都に対し、この措置に対する財政支援を求めるべきと考えます。見解をうかがい、質問を終わります。

<答弁>

●新型コロナウィルス感染症対策

 新型コロナウィルス感染症に関する一連のご質問にお答えします。
 区の新型コロナウィルス感染症患者における感染経路不明の割合は、8月は各週とも50%を超えており、8月最終週は9月3日時点で78.6%でした。疫学調査の進展により数値が変動するため一概に判断することは困難ですが、少なくとも都内において市中感染は発生していると考えております。また、9月3日の都の新型コロナウィルス感染症対策本部会議でも感染が拡大していると引き続き述べられており、区も都と同様の認識でおり、今後も慎重に推移を見守る必要があると考えております。
 新型コロナウィルス感染症については、感染拡大防止策を講じながら日常生活を取り戻していくことが大切であり、この認識のもと、今後も引き続き対策を進めていくとともに、更なる感染症対策強化が必要であると認識しております。

 検査数に関するお尋ねにお答えします。
 9月1日現在、保健所から医療機関での受診を紹介できる数は、日曜日と祝日を除き一日あたり平均128件となります。また、保健所の紹介を受けずに検査を実施する件数もあるため、医療機関での一日の検査実施数は、最大では218件、平均では、4月は35件、5月、6月は45件、7月は107件、8月は122件となっております。

 検査体制の拡充に関するお尋ねにお答えします。
 区では、基幹病院での発熱外来に加え、かかりつけ医でのPCR検査実施を拡充するとともに、軽症や無症状の方の検体を効率的に採取するPCR検査スポットの設置とPCR検査バスを導入するなど、着実に検査体制強化を進めております。

 高齢者施設の職員及び入所者に対するPCR検査につきましては、今後、東京都が実施する予定であると聞き及んでいます。また、区といたしましても、既に、医療施設、高齢者施設等で患者が発生した際には、接触者のPCR検査を、濃厚接触者でない者についても対象を広げて実施しております。
 宿泊療養施設については、既に、国は緊急包括支援事業として都道府県に補助を行い、都が整備を進めております。
 自宅待機者に対しては、既に、区は、生活物資や衛生用品を配布し、加えてパルスオキシメーターの貸出等を実施しており、体調管理を行う体制は取れております。

 感染が発生した店舗等に限らず。幅広く関係者へのPCR検査を実施すべきとのご質問についてお答えします。区では、都内において、接待を伴う飲食店でクラスターが多数発生していることを受け、区内のバー、キャバレー、スナックを対象に、研修会兼意見交換会を行うとともに、希望する店舗の従業員に対してPCR検査を実施いたしました。今後も感染の状況を見極め、適切に対応してまいります。

 PCR検査の費用負担や検査機器のご質問にお答えいたします。
 区が購入したPCR検査機器等の費用は、新型コロナウィルス感染症緊急包括支援交付金等を申請しておりますが、国に対しては、機会を捉えて費用負担の軽減を求めてまいります。また、大学など民間保有のPCR検査機器の活用については、都と連携してPCR検査の実態を把握したうえで、国に要望してまいります。

 情報の開示についてですが、リスクコミュニケーションの一環も含め、区民に対する情報開示は重要であると認識しております。この認識の下、医療現場の混乱の防止、個人のプライバシー及び企業活動への配慮を総合的に勘案し、今後も 適切に情報開示を行ってまいります。
 区内の感染状況の分析や対応についてですが、区内病院の感染症を専門とする医師との定期的な会議の中で情報共有及び分析を行っています。また、院内感染等発生時には随時、国立感染所研究所や都感染症対策チームの協力を得ながら対応もしております。

 医療機関への支援に関するお尋ねにお答えします。
 基幹病院への支援については、区としましては、医療崩壊を防ぐために6月までは包括補助を行い、7月以降は、検査実施にかかる運営補助をしております。また、国や都からはベッド確保等に対する経費補助や、患者を受け入れた医療機関への支援金の交付など、様々な支援が実施されているものと考えております。
 基幹病院以外の病院と診療所の経営状況については、区では把握しておりませんが、PCR検査を実施する診療所等に対して助成を行っているところでございます。また、サージカルマスクなどの確保につきましては、区や都から随時かかりつけ医である各診療所に配布しております。

 新型コロナウイルス感染症流行と公共サービスに関する一連のご質問にお答えいたします。
 欧州各市長による声明の内容については、詳しく承知しておりません。また、保健所組織の改編は、地域保健サービスの一層の充実と質の向上を目的に実施したものです。

 保健所の体制強化についてお答えいたします。
 この間、必要な職員の増員や全庁的な応援体制などによる体制強化を図ってまいりました。今後につきましても、状況に応じた必要な体制が組めるよう所管課と検討してまいります。

●国民健康保険
 東京都国民健康保険運営方針に関するお尋ねにお答えします。
 国からの通知は、都道府県が定める国民健康保険運営方針について、その改定に資するよう国が示したものであり、地方自治法第245条の4で定める地方公共団体の事務の運営について適切と認める技術的助言と認識しております。

 国保運営方針の改定に係るお尋ねにお答えします。
 都では国保運営方針の改定に向けて、東京都国民健康保険連携会議を設置し検討協議を進めております。その中で意見照会は、広く都内区市町村の意見を聞くため行うものと理解しております。 区では、これまでも、また、今回の改定に際しても、財政運営や保険給付など保険者として必要な事項については積極的に意見を述べるとともに、持続可能な保険運営に向け方針改定の協議に臨んでまいります。

 国民健康保険事業会計に関するお尋ねにお答えします。
 19億円の減は、平成29年度と30年度の決算額を比較し、国や都に係る分を抜き出し算出したものでございます。平成30年度の国保制度改革では、都が財政主体となったことから、区の収入及び支出する科目は29年度と比べ大きく異なり、単に区の歳入歳出の金額を年度比較することはできないと考えております。

 国民健康保険料に関するお尋ねにお答えします。
 まず、来年度の国民健康保険料についてですが、当区をはじめ多くの特別区が統一保険料方式を取っており、その中で来年度の状況も含め医療保険制度を持続可能としていくために、適正な保険料を設定していく必要があると考えております。
 子どもの均等割保険料の軽減につきましては、国に対し全国市長会や特別区長会を通じ、この間、子育て世帯の経済的負担を軽減するため、子どもに係る均等割保険料の軽減措置をはじめとした制度の見直しを要望しているところでございます。
 今後も、他区と連携し国に対し引き続き要望してまいりますので、区独自の軽減措置の実施は考えておりません。

 新型コロナウイルス感染症に係る保険料の減免についてのお尋ねですが、減免の申請状況は、約1,600件と見込みよりは少なくなっておりますが、各区の申請状況と比べても、その平均1111日を上回る申請数となっております。ただ、申請期間は来年の3月までとなっており、また、いまだ申請いただいていない方もいらっしゃることから、引き続き様々な機会をとらえて周知に努めてまいりたいと考えております。

 国民健康保険の傷病手当金に係るお尋ねにお答えします。
 国民健康保険における傷病手当金は、国の通知による新型コロナウイルス感染症に感染するなどした被用者に対する特例的な対応を踏まえて実施するものでございます。そのため、健康保険法で定める傷病手当金と同様、被用者を対象に実施しております。
 また国では、持続化給付金制度の中で、フリーランスを含む個人事業者まで支給対象を拡大する対応が図られていることから、国民健康保険の傷病手当金については、対象者の拡大やそれに関わる国等への財政支援を求める考えはございません。