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2021年第3回定例会 一般質問「新型コロナ対策について」「校則について」全文と答弁の概要

 日本共産党杉並区議団を代表して、新型コロナ対策について、校則について、質問します。

●新型コロナウイルス感染症対策について
 (1)新型コロナ対策について、まず、現状への認識と基本的対応について、うかがいます。
 東京では7月12日から4度目の緊急事態宣言がだされましたが、8月にかけて、新規感染者は減少しないどころか爆発的拡大となりました。緊急事態宣言で、外出自粛を求める一方で、世界最大のスポーツイベントである東京五輪を開催したことが国民への誤ったメッセージとなり、多くの人の移動や集まりを促進させる結果を招いたことは疑う余地がありません。その結果、医療体制がひっ迫し、感染患者が病院や療養施設にも入れず、自宅で命を落とす人が生まれるなど深刻な事態となっています。
 8月後半から、東京では、新規感染者数は若干、減少しはじめましたが、重症者は以前増加傾向が続いています。9月2日の東京都のモニタリング会議では、「新規陽性者数が再び増加に転じることが危惧される」「医療提供体制の深刻な機能不全は改善しておらず、現状の新規陽性者数がさらに減少しないと、救える可能性のある命が救えない事態が続くと思われる」などの声があがりました。いささかでも対策の手を緩めるのではなく、緊張感をもった取組が求められています。

Q1.区は、新型コロナウイルス感染をめぐる現在の状況と、区としてとるべき対応ついて、どのようにとらえていますか。

Q2.杉並区の状況についてうかがいます。現時点での病院入院者数、療養施設入所者数、そして自宅療養者数は何人になっていますか。また自宅療養者のうち、本来、入院ないし療養施設に入るべき人は何人ですか。

 新型コロナ対策のなかでも、緊急の課題は、感染患者に対する医療体制の強化です。
 政府は、8月3日、重症患者と重症化リスクの高い患者以外は「原則自宅療養」という重大な方針転換を行いました。コロナ患者を事実上、自宅に放置するという、きわめて無責任な方針です。与党からも批判の声が上がり「中等症は原則入院」との「説明」を行いましたが、「原則自宅療養」という方針そのものは撤回していません。軽症とされても、容体が急激に悪化し亡くなるといった事例が後を絶ちません。

Q3.入院するベッドがなく、さらに療養施設にも入れず、自宅療養を余儀なくされている事態がうまれているもとで、区民の命を守るために、総力をあげた対応をとることが、求められています。自宅療養の方への対応について、区はどう認識し、取り組んでいるのでしょうか。

Q4 他区に在住し、杉並区の勤務先で療養していた40代男性が死亡した事例が報道されました。報道では、保健所は、男性と連絡が取れないことを理由に連絡を打ち切っていたということで、区長が謝罪したとされています。8月31日の杉並区議会危機管理連絡協議会で、わが党の山田議員が区内の自宅療養者で亡くなった方はいるか、と質問した際、発生していない、という回答でしたが、事実と異なる回答だったのではありませんか。さらに、1日の議会運営委員会で、山田議員が事実経過の説明を求めたにも関わらず、議員に情報提供の文書が届いたのは、6日の夕刻という余りにも遅い対応でした。すでにこの時点では、私の一般質問のヒアリングが終わっておりましたので、あらためて、この場で正確な事実経過を明らかにしてください。

Q5 墨田区では、早期診断・早期治療で重症化を予防する積極的治療戦略をとり、重傷者ゼロ、死亡者は2ヶ月以上ゼロを実現していると伝えられています。こうした早期診断・早期治療の手だてを尽くすことが求められていますが、区の認識をうかがいます。

(2)次に、命を守る緊急的な対策に関してうかがいます。
 日本共産党杉並区議団は、8月18日、区長に対し、「新型コロナ感染者の爆発的拡大への対応に関する緊急申し入れ」を行いました。申し入れた事項は、①受診・相談センターにおける電話体制の緊急拡充、②保健所体制の抜本強化、③自宅療養者への医療、生活支援の実施、④医療機関、医療関係者への支援強化、⑤対応に万全をつくすためにも補正予算も含め財政措置をとること、の5項目です。あらためて、申し入れ事項に即して、区の取組状況、今後の取組について伺います。

Q6 まず、発熱等の症状が起きた場合の受診・相談センターの電話体制の緊急拡充についてです。 8月に入り、区民からはセンターへの電話が通じないという声が多数寄せられ、区内診療所職員からは、センターへの電話が通じないため、診療所への相談電話が急増しているという声が連日のように私のもとに寄せられました。区のホームページでも何度も「かかりにくくなっています」と表示され、切迫した事態が続きました。
 この間、区は、どう対応してきたのですか。こうした事態を打開するため、今後は、どう対応するのですか。

Q7 次に、陽性となった患者への対応についてです。
 第1は、病院や宿泊療養施設に入るべき患者が入れないという事態の打開です。
 本来は、政府の責任で、医療機能を強化した宿泊療養施設や、臨時の医療施設などを、大規模に増設・確保するべきです。現在、宿泊療養施設の確保は都の責務になっていますが、都が確保した療養施設のなかには区内のホテルは入っていません。杉並区としても確保の努力を尽くすべきではないでしょうか。都に増設を働きかけるとともに、区としても、区内ホテルの確保、区立施設の空き施設の活用など手だてを尽くすべきではありませんか。

Q8 第2は、在宅療養者への支援体制の強化です。在宅であっても、毎日症状が把握され、診断を受け、相談することができる。必要な方には食料などの生活支援も行われなければなりません。8月上旬から中旬にかけ、私たちのところには、医療関係者から、陽性の発生届を出してから、翌々日にようやく保健所から連絡が来て、さらにその2〜3日後に食料が届く予定の人がいる、杉並区の対応はどうなっているのか、などの問い合わせが連日のように入りました。自宅療養者に対し、現時点では、往診や訪問看護、電話での健康観察、食料配布など、どのような支援が実施されているのでしょうか。
 これまで、区が医師会に協力を依頼して往診でつながった患者数、オンライン診療でつながった患者数など、具体的に明らかにしてください。さらに、今後の対策と、その結果どの程度改善されることが見込まれるのか、明らかにしてください。

Q9 もちろん、支援を強化するためには、区内の医療機関、医師、看護師など医療関係者の力を結集することが求められています。しかし、医師からは通常業務を行いながらワクチンの集団接種に協力し、その上往診を行うことは大変という声も聞かれました。区として、状況と対策への理解を得る努力とともに、医療機関、関係者への財政支援等の手だてもとるべきではないでしょうか。

Q10 区内のケアマネージャーから、居宅で介護を受けている高齢者が陽性となった場合の対応について、要望が寄せられました。入院できれば良いのですが、入院できず自宅療養の場合、ケアマージャーが訪問看護や訪問介護事業所を探し、ケアを受けることになります。しかし、訪問看護師は1回15分、1日3回が限度の為、排泄介助まで手が回らない、あっという間に褥瘡ができてしまったそうです。ヘルパーに入ってもらう必要があり、コロナに対応できる訪問介護事業所を探しましたが、区内ではみつからず、自費で対応している他区の事業所で対応してもらったとのことです。
 ケアマネージャーは、区として、コロナに感染した居宅介護高齢者に対応できる訪問介護事業所を確保するための調整、ヘルパーへの指導、事業所への財政支援などを実施してほしいと訴えています。こうした声に応えることが求められていますが、区はどう対応しますか。

Q11 すでに千人前後の自宅療養者をかかえ、さらに毎日百人を超える新規感染者に対応するうえで、保健所体制の抜本強化が不可欠です。そこで、4点うかがいます。
①区は、この間、どのような体制強化策をとってきたのですか。
②職員体制でも要となるのは保健師だと思います。墨田区保健所では非常勤を含め保健師100人体制をとったと報道されています。杉並区の昨年4月時点と今年8月時点での保健師の常勤、非常勤あわせた体制はどうなっていますか。
③これまでも、体制強化の努力はされていると思いますが、保健所職員の超過勤務は昨年よりさらに深刻になっているのではないですか。昨年と今年の4月から7月までの個人最高の超過勤務時間数を月ごとに明らかにしてください。
④いっそうの体制強化が急務です。そのために、専門職でなくても対応できる業務は、職員の理解のうえに、全庁的な支援体制をとるべきですが、いかがですか。

(3)次に、感染拡大、感染伝搬を断つ対策についてです。
Q12 感染拡大を抑えることなしに、医療崩壊をくい止め、区民の命を守ることはできません。専門家からは、「潜在的感染者」が多数いる可能性があること、そして夏休みが終わり学校再開による接触者の増加などを契機に、家庭への感染拡大が危惧されるとの指摘もあります。あらためて感染伝搬を断つ対策の抜本強化が問われていると思いますが、区はどう認識していますか。

Q13 感染伝播の鎖を断つためには、検査を「いつでも、だれでも、何度でも」の立場で、従来の枠にとらわれず大胆かつ大規模に実施することが鍵です。とりわけ、感染が顕著になっている事業所や保育所、学童クラブ等にたいする大規模検査の実施を求めますが、区の認識をうかがいます。

Q14 濃厚接触者となった人へのPCR検査について、杉並区は「既に症状がある場合、または自宅待機中に症状が出現した場合に、医療機関等で検査を受けてください」としています。他区の状況を調べましたが、墨田区は「まず、PCR検査の受検をお願いします」、渋谷区は「PCR検査を希望することも可能」としています。杉並区も、濃厚接触者について症状の有無にかかわらず、PCR検査を実施すべきではありませんか。 

Q15 感染力の強いデルタ株の拡大に伴い、これまで感染しにくい、重症化しないとされてきた子どもへの感染が増加しています。区から提出された資料では、7月後半から8月中旬までの保育所での感染者は園児で46人、保育士で34人となっています。
 あらためて、8月における保育所、学童クラブでの児童、職員の新規感染者数と、そこでの感染防止対策としてどのような対策をとっているのか。お答えください。

Q16 学校での対策についてです。
 夏休みが終わり、区立小中学校が再開されましたが、デルタ株の感染力の強さを考慮し、学校の状況に応じ、登校見合わせの選択・分散登校・オンライン授業などを柔軟に組み合わせて対応すべきと考えますが、区教委の認識をうかがいます。
 学校でのエアロゾル感染防止のために、短時間での全換気、不織布マスクの着用の重視など、これまで以上の強化が求められますが、どう対応していくのですか。
 学校内で児童・生徒・教職員に陽性者が出た場合、濃厚接触者を狭めず学級、学年、全校など、実態に応じた広範なPCR検査を行政検査として実施するよう求めますが、いかがでしょうか。

(4)次に、ワクチン接種についてうかがいます。
 国からのワクチン供給量の不足により、十分な予約枠が確保できない事態が続いています。「予約がすぐいっぱいになってしまって、打ちたくても打てない」といった苦情が私たちのところにもよせられています。
 杉並区における、1回目と2回目の接種を完了した区民の割合。年代別の傾向など、直近の接種の進捗状況をうかがいます。
 希望する区民全員が2回接種を完了できるのはいつ頃と見込んでいるのでしょうか。
 保育士や教職員などへのワクチン接種は早期に完了すべきですが、見解をうかがいます。

(5)新型コロナ対策の質問の最後に、パラリンピック学校連携観戦について質問します。
 オリンピック開催時以上に感染が爆発的に拡大し、東京都の教育委員会でも、出席した4名の委員全員が中止を要求したにも関わらず、パラリンピック学校連携観戦への参加を求め、実施を強行した東京都と組織委員会の責任は重大です。わが党区議団は、児童生徒の命と健康を守ることを優先すべきであり、希望者がいたとしても大災害ともいえる状況下で観戦動員は行わないよう3回にわたって教育長に申入れを行いました。
 保護者や学校関係者からも、コロナ感染への不安とともに、児童生徒のなかで、観戦した子どもと観戦しなかった子どもに分かれることは学校生活の上で好ましいものではないなど、批判の声が沸き起こりました。23区では、多くの自治体が、感染状況にかんがみ、児童生徒の命を守るために参加を中止しましたが、杉並区が強行したことは許せません。

Q18 そこで2点確認します。
 1点目は、取り組むことを決定した手続きです。どのような場で決定されたのですか。最終決裁者は誰だったのですか。
 2点目は、公衆衛生関係の専門家、保健所長等の意見聴取を行ったのですか。区によっては、保健所と協議し、会場の現地調査を行った結果、客席の間隔が60センチしかなく、感染防止基準に満たないことまで調べて実施しない結論になったと聞いています。こうした努力をしたのですか。しなかったとしたら、極めて無責任では有りませんか。どう認識していますか。

【答弁】
 新型コロナウイルス感染症に関する現状認識についてのご質問にお答えします。最初に、現在の状況ですが、1年半にわたり5回の流行の波を繰り返し、その間に変異ウイルスも出現し、収束の見通しが見いだせない状況が続いております。感染者の増加により医療機関や宿泊療養施設も逼迫の度合いを増し、十分な医療が受けられない状況も出現しています。ワクチンの効果は、接種が進んでいる高齢者を中心に認められ、治療薬も開発されてきておりますが、未だ予断を許さない状況が続いております。区といたしましては、「医療提供体制の維持・拡充」、「適切な療養環境の提供」、「隔離政策を含む感染拡大防止」、「ワクチン政策」を基本姿勢として対応してまいります。

 現時点での区内の感染状況等についてのお尋ねですが、9月1日時点における入院者数は434人、療養施設入所者数は133人、自宅療養者数は613人であり、また、入院待機者数は0人・療養施設待機者数は18人です。

 自宅療養者支援に関する一連のご質問にお答えします。
 最初に、自宅療養者への対応に関する認識についてですが、本来であれば、入院または宿泊療養すべきところを病床等の逼迫で止むを得ず自宅療養となっているものと認識しており、安全な自宅
療養となるよう、区として全力を挙げて対応しているところでございます。
次に、その支援内容についてですが、9月から保健所の人員体制の強化を図り、保健予防課のブランチとして、3か所の保健センター内に「自宅療養者支援ステーション」を設置し、対象の方にパルスオキシメーターや食品等の物品を配布すとともに、1日2回の架電やICTを活用したきめ細やかな健康観察及び相談支援を行っています。また、杉並区医師会と訪問看護ステーションの協力を得て、必要な方には酸素濃縮装置を活用した訪問診療や訪問看護を行います。

 報道された自宅療養者死亡に関するご質問にお答え致します。
最初に危機管理連絡協議会における回答についてですが、杉並保健所では「自宅療養者の死亡事例」について、当時、杉並区民であること、自宅すなわち居宅で療養中であること、直接の死因が新型コロナウイルス感染症によるものであることと考えておりました。このため誤解が生じてしまい、区議会議員の皆様にはご迷惑をおかけし、大変申し訳ありませんでした。また、事実関係の確認に時間を要したため、ご報告が遅くなりましたことを重ねてお詫びいたします。
 
 次に、報道された事例の概要については、新型コロナウイルスに感染した区外住民の方が、勤務先の杉並区内の事務所で療養されていましたが、残念ながら、療養先の事務所でお亡くなりになったという事例です。
 この間、保健所は4日間にわたり、計7回、電話による健康観察を試みるとともに、安否確認のための訪問も行いましたが、患者ご本人に接触することはできませんでした。その後の事実確認で、正確な患者所在地が確認できなかったことが、不十分な対応の要因となったことが分かりました。
お亡くなりになった方、ご遺族及び関係各位に衷心よりお詫び申し上げます。

 早期診断・早期治療に関する区の見解に関するお尋ねですが、杉並区においても医療の必要性を早期に診断、把握し、入院治療など早期に医療が必要な方に医療を提供することは肝要であると考えております。9月1日より自宅療養者支援ステーションを設置するなど保健所体制の強化を図っており、現在は医療機関から発生届が提出された当日中に患者に連絡を差し上げ、状態をお聞きして入院治療の必要があれば、区内の基幹病院又は東京都の入院調整本部との調整を行っております。

 受診・相談センターに電話がつながりにくいということに関するお尋ねですが、区はこの間も電話機の台数や相談対応の人数を増やしてまいりました。しかし感染者数の急増に受信状況が逼迫していた時期もありました。そのため、9月1日からは、区内3カ所に設けた自宅療養者支援ステーションに、計60台の電話を新たに設置し、自宅療養者の健康観察や相談対応を始めました。
さらに、今後は、保健所内の電話交換機設備の交換修理も予定しており、その結果、電話がつながりにくいといった状況は改善されていると考えております。

 療養施設の確保に関するご質問にお答えいたします。
病床や宿泊療養施設の確保は、原則として東京都が行っております。杉並区といたしましては、更なる病床の確保に関し、特別区保健衛生主管部長会を通じて、今年の8月に東京都に対して要望しているところです。そのため、区として独自に療養施設を確保することは、現時点では、考えておりません。

 往診やオンラインによる診療を行った患者数と今後の改善見込みに関するお尋ねですが、区から杉並区医師会に往診等を依頼した患者数は、7月は5人、8月は38人です。
当初、往診等を受けていただける医療機関数は7医療機関でしたが、現在は20医療機関まで拡大しており、より往診が受けやすく、安心して自宅療養ができる環境になったと考えております。
次に、医療関係者への財政支援に関するお尋ねですが、国や都でも診療報酬上の様々な財政支援策がなされております。区でもかかりつけ患者以外に個別のワクチン接種を行っている医療機関に対して、区独自の財政支援を行っております。

 訪問介護事業所への支援に関するご質問にお答えします。
 訪問介護事業所がコロナ感染者となった居宅の高齢者の対応を行うには、事業所内の人員体制、感染者でない他の一般利用者の安全・安心の確保など、様々な課題があると認識しております。
そのような中でも、より多くの事業所がコロナ感染者の対応を行えるよう、区は、様々な機会を通じ、訪問先での感染予防策の周知・啓発、訪問先で使用できるマスクや手袋などの衛生用品の配布といった事業所に対する支援を行ってまいります。
なお、利用者に感染者が発生した事業所や濃厚接触者に対応した事業所に対しては、既に東京都が介護人材確保のための経費や衛生用品の購入費用等を助成する制度があるため、区独自で財政支援を行う考えはございません。 

 保健所の体制強化に関する一連のご質問にお答えいたします。
区では、患者の発生状況に合わせ柔軟に対応できるよう応援職員や派遣職員などで、保健所の体制強化を図っております。
まず、杉並保健所の保健師の常勤、非常勤を合わせた人数につきましては、昨年の4月と今年の8月ではいずれも90名ですが、常勤保健師4名を増員しております。また、保健師業務については、保健所各課及び各保健センター、そして本庁配置保健師による全庁的な応援体制を取るとともに、発熱相談センター業務については必要な看護師職及び事務職の一部の人員を派遣契約により確保しております。加えて、保健師の負担を軽減するため、保健師業務を整理し、本年9月から各保健センターに設置した自宅療養者支援ステーションの業務の一部をはじめ、事務職などで対応可能な業務は全庁的な応援体制により行っております。
 更に、病院支援や予防接種等の業務については、特命担当副参事、予防接種担当部長、担当課長及び担当係長・職員の増員や兼務配置などを行いました。
なお、保健所職員の昨年4月から7月までの最多の超過勤務時間数は、いずれも事務職の実績となっておりますが、4月から順に112時間、99時間、109時間、97時間、今年は同じく149時間、173時間、170時間、151時間となっています。

 感染伝播を断つ抜本対策の強化についてのお尋ねですが、感染者数を抑制し医療崩壊をくい止めるためには、感染予防策の基本である3密を避けること、手洗いやマスクの着用を確実に実施すること、換気に注意することの徹底が重要であると考えます。

 事業所や保育所、学童クラブ等への大規模検査に関するお尋ねですが、クラスターが発生している施設に対しては、積極的疫学調査により、濃厚接触者や感染源の把握に努め、濃厚接触者に限らず、幅広く接触者を検査対象とするなど、調査結果を踏まえた柔軟な対応を取っております。
従いまして、現時点において事業所や保育所、学童クラブ等に対して一律的な大規模検査は考えておりません。

 濃厚接触者に対するPCR検査のお尋ねですが、濃厚接触者で有症状の方に加え、無症状の方でも検査を希望される方には検査を受けていただいています。

 保育所や学童クラブにおける8月の感染状況、並びに感染防止対策に関するご質問にお答えします。
 まず、8月の新規感染者数ですが、保育所は児童73名、職員89名、学童クラブは、児童28名、職員7名となっています。
次に、感染防止対策については、これまでも各保育施設並びに児童館に対し、職員の体調管理やマスクの着用、手洗い、消毒、昼食時の留意事項など各種対策の徹底を通知し、各施設でも強化が図られたところですが、感染者数の増加を踏まえ、改めて各施設に対し、対策の徹底を図るよう通知いたしました。また、保護者に対しても、毎朝の検温をはじめ、園児や保護者が発熱や咳などの症状がある場合に登園や送迎を控えてもらうなど、施設の感染拡大防止対策への協力を依頼する通知を改めて送付し、対策の徹底を図ってきたところです。

 学校の感染症対策についてのご質問にお答えいたします。
換気については、可能な限り常時2方向の窓を同時に開けて行うこととしており、児童生徒のマスクについては、不織布マスクの着用を保護者に推奨しております。今後も、これまで以上に感染症対策を徹底してまいりますが、感染への不安で登校できない児童生徒に対しては、「オンラインによる授業配信」「オンラインホームルーム」等を用いて、学びが継続できるようにしております。
 学校内で児童・生徒・教職員に陽性者が出た場合は、保健所による濃厚接触者の特定を行うとともに、行政検査として、必要に応じ、保健所が特定する範囲でのPCR検査もこれまでと同様に実施してまいります。

 新型コロナウイルスワクチン接種に関する一連のご質問にお答えします。
まず、ワクチンの接種状況のお尋ねについてお答えいたします。9月3日現在の速報区のホームページでは年齢層別の接種状況を公表し、毎週火曜日と金曜日に更新しています。12歳から59歳までの各年齢層で1回目の接種を終えた区民は40%以上となっており、予約開始が他の年齢層に比べ遅かった50歳代でも1回目接種の割合は47.2%と他の年齢層に比べ高くなっております。2回目接種については40歳代と20歳代の接種率が30%以下と他の年齢層より低くなっています。

 保育士、教職員などへの接種のお尋ねについてお答えします。
区では、東京都が設置している、教育関係者、保育関係者等を対象とする大規模接種会場を、区ホームページで周知するとともに、対象となる区の職員については、接種に必要な日又は時間について職務専念義務の免除扱いとし、接種しやすい体制をとっております。また、私立の保育施設等に対しては、職員の勤務体制等について、種に際しての配慮をお願いしているところです。
なお、教職員のうち接種を希望する職員については、既に夏季休業期間中を中心に、都が設置した接種会場において接種を進め、2回目の接種まで終了しています。

 パラリンピック学校連携観戦についてのご質問にお答えいたします。
学校連携観戦への取組については、都教委からの通知や方針に従い、令和元年5月に各学校が実施を決定したところです。その後、これまでの熱中症対策に加え、コロナ禍において公共交通機関を利用することや、感染予防対策など、新たな課題が発生しました。これらの解消に向けて、都教委との調整の結果、貸切バスでの移動や屋内競技の観戦、保護者の同意を得たうえでの実施が可能となり、安全性を確保できたことから、教育委員会事務局において実施の判断をいたしました。さらに安全性を高めるため、児童生徒・引率者全員のPCR検査を実施したうえで競技観戦をすることとしました。直接的に専門家等の意見聴取は行っておりませんが、会場での感染症防止対策については、児童生徒と大会関係者との接触を避けた運営ならびに人と人との間隔を十分にとった観戦等、都教委と確認のうえ、できる限りの安全対策を行い感染リスクを減らして実施いたしました。

●校則について
 区立小中学校の校則について質問します。
この質問を取り上げるきっかけとなったのは、杉並区の教育ビジョン2022の策定にあたって、教育振興基本計画審議会が行った小中学生へのアンケートに寄せられた子どもの声です。
 学校で嫌なことや困っていることはありませんか、との質問に、ほとんどが「回答なし」でしたが、複数の子どもたちから、「ルールが多すぎる。可愛い文房具を持っていきたい」、「持ち物におかしな指定があること」、「文房具はシンプルじゃないとダメはやめてほしい」、「自分の好きな筆箱とかにできないのは少しショック」、「シャープペンを使いたい」といった回答がありました。いずれも小学5年生です、
 私は、こうした決まりがあることに驚き、実際、どういう決まりがあるのか、保護者に聞いてみました。
 ある小学校の入学のてびきには、筆箱について「箱型で鉛筆を1本ずつ差し込んで合計5〜6本入るシンプルなもの。布製ペンケース不可、キャラクターデザイン不可、ファスナー付き不可」、消しゴムについては、よく消えるシンプルなもの。練り消し、においやゲーム性のあるものは不可と記載されていました。

Q1.まず、実態を確認したいと思います。
 規制の中身について、筆箱では、形、布製等材質、ファスナー不可、キャラクターデザイン不可等、どのような規制が行われているのでしょうか。規制内容をすべて具体的にお答えください。また、すべての学校で実施されているのでしょうか。

Q2.文科省は、学校長に校則を定める権限があると通知していますが、しかし校則の内容については「社会通念に照らして、合理的な範囲内で」としています。筆箱の形や素材、ファスナーの有無まで規制することが「社会通念に照らして合理的な範囲内」と言えるでしょうか。合理的な範囲内というのなら、どのような根拠ですか。

Q3.多くの小学校で、大なり小なり同様の校則で指導しているとしたら、それは個々の校長の判断にとどまらず、杉並区教育委員会、東京都教育委員会、さらに文科省から何らかの指導があるのかと考えざるをえません。いかがですか。

Q4.冒頭で紹介したアンケートは、教育委員会が実施したアンケートであり、この声に応える責任が教育委員会にあります。どう対応するのですか。
 
Q5.アンケート回答のなかで、健全だと感心したことがあります。それは「あなたが校長先生だったら、どんな学校をつくりたいですか」との質問に、小学校6年生が「少し自由で自分で考えられる学校」と回答したことです。また、小学校6年生(団体)の回答として「自分でやることを決めたりする学校」「自分で様々なことを調べたり考えたりすることができる学校」という回答もありました。教育長は、この声をどう受け止めますか。
 
 次に、中学校における校則に関して質問します。
審議会に提出されたアンケートでは、小学生は400件を超える回答が示されながら、中学生の回答はなぜか20件程度しか示されていませんでした。そこで私は、すべての区立中学校の校則に該当する文書をとりよせ、さらに保護者にも実態を聞いてみました。
 その結果は、小学生の場合、文具などへの細かな規制が特徴だったのに対し、中学生の場合、服装、とりわけ下着の色やソックスの色、さらに髪型など、本来尊重されるべき生徒一人ひとりのライフスタイルや個性を、過度に抑制するような内容が多くあったことです。
 23校中、下着や肌着の色に関する規制が11校、靴下の色等に関する規制が14校、髪型等に関する規制が17校ありました。その中には、靴下の色について、複数指定ではなく、「男女とも白」、また、女子の髪型について、「肩にかかる髪はゆわえます。結わえるときは一つ結びか二つ結びとし、お団子などしないようにしましょう」など、驚くべき規制もありました。

Q6.正確を期すために伺いますが。区立中学校23校中、肌着の色について規制している学校は何校ありますか。また、靴下の色について規制している学校、髪型について何らかの規制をしている学校は何校あるか、お答えください。

Q7.大きな社会問題になった、ツーブロック規制について伺います。私が調べた中学校の文書には、ツーブロックという固有名詞をあげた規制はありませんでしたが、明らかにツーブロックが該当する記載がありました。例えば「段差ができるようにしない」「極端に段が入った髪型」というものです。伺いますが、事実上ツーブロックを禁止している学校は何校ありますか。

Q8.驚いたのは、異常なまでに生徒を縛る内容とともに、対処の仕方も異常、乱暴ではないかということです。ある中学校では、染色、パーマを禁止し「整髪料をつけて来たときは学校で落とします」とまで書かれていました。
 文科省も、校則については、児童生徒の理解と納得を重視しているのではないですか。無理やり学校で整髪料を落とすというやり方をどう認識していますか、明らかに逸脱ではありませんか。

Q9.関連して、問題だと思ったのは、脅しのような指導がされていることです。昨年、ある中学校を卒業した母親に聞きましたが、そのお子さんが通う中学校の校則には、髪型に対する規制はありません。しかし、進学にあたってツーブロックの髪型では不利になるからやめるように言われ、その生徒はやむなくツーブロックをやめたというのです。調べてみると、いくつかの学校の校則に類する文書に「面接でマイナス印象を与えないように」とか「進路先に会っても大丈夫か普段から意識せよ」との記載がありました。教育的配慮かもしれませんが、だからといって髪型を規制するのではなく、判断は生徒にゆだねるべきではありませんか。

Q10.私は校則を否定するものではありません。しかし、一方的な強制であってはならないと思います。理解を得る努力をしないことも許されません。
 伺いますが、区立小中学校63校のうち、校則にあたる文書を生徒や保護者参加、ないし意見を求めてきた学校は何校あるのですか。
 また、児童生徒に、校則の個々の理由、なぜ守るべきか説明を行った学校は何校ありますか。お答えください。

 以上、小中学校における校則の実態について問題提起してきましたが、明らかに行き過ぎ、異常ともいえる規制が行われていると言わざるをえません。
 
 文科省は、今年6月、「校則の見直し等に関する取組事例」を全国の教育委員会に通知し、そのなかで「一部の事案において、必要かつ合理的な範囲を逸脱しているのではないかといった旨の指摘もなされている」と認めています。
 こうした背景には、憲法、および子どもの権利条約で定められた個人の尊厳の尊重、子どもの表現、思想、私生活の自由、意見表明権の尊重などの諸原則が徹底されていないのではないかと思わざるをえません。
 
Q11.下着や靴下の色の指定、さらに社会的に普及している髪型ですら規制する。これは子どもの権利を尊重しない態度ではありませんか。何ら問題ないというのでしょうか。
 しかも上から規制し抑制するという指導は、結果的に児童生徒の個性豊かな成長を押さえつけかねないのではありませんか。区教委の認識をうかがいます。

Q12.杉並区の中学校で制服を採用しているのは14校、男子はスラックス、女子はスカート。スラックスも可としている6校となっています。
 各地の自治体で、心と体の性が一致しないトランスジェンダーの生徒への配慮として、さらに、防寒、動きやすさ、嗜好の尊重等の観点から、ジェンダーレスの制服を採用する自治体が増えています。杉並区でも、ジェンダーレスの制服の採用を期待しますが、制服を採用している学校では、性別や理由を問わず、ズボン、スカート、ネクタイ、リボン等、自由に選ぶことが出来るようにすべきと考えますが、認識をうかがいます。

Q13. 以上、小中学校の校則の実態に関して伺ってきましたが、あらためて教育員会として、実態調査を行う必要があると考えます。先に紹介した文科省の「校則見直し等に関する取組事例」の通知のなかで、3県の実態調査がの取り組みが紹介されています。岐阜県教育委員会、、長崎県教育委員会、鹿児島県教育委員会が、校則の見直し状況について実態調査を実施しています。
 杉並区教育委員会として、まず、実態調査を行うよう求めますが、いかがですか。

Q14.6月の文科省通知は、校則は「社会の常識、時代の進展などを踏まえたものになっているか、絶えず積極的に見直さなければなりません」とし、見直しにあたっては、児童生徒、保護者の参加も例示し、「校則の見直し等に取り組んでいただきますようお願いしたします」と結論付けています。杉並区教育委員会は、この通知をどう受け止め対応しているのですか。区内の公立学校に見直しの検討を求めるべきではありませんか。
 
 最後に、冒頭紹介したアンケートでは、中学生の団体意見として、学校のあり方として、次のような意見がありました。「全員の意見を取り入れ、よりよく改善できる学校」「一人ひとりに責任と判断が課せられる社会を整える」との意見です。こうした生徒の願いが生かされる学校となるよう、関係者の努力を願って質問を終わります。

【答弁】
 学校のきまりについてのご質問にお答えいたします。学校という集団生活の場においては、一定のきまりは必要なことであると考えております。特に、小学校1年生の入学時は、集団生活のスタートでもあり、きめ細やかな指導が必要です。
例えば、筆箱については、小学校入学時の説明会等において、学習に集中できるように、キャラクターデザインのついていない箱型の筆箱を使用するようお願いしているところです。
 こうしたきまりは、発達段階に応じて、児童生徒自らが考え、判断できる力を育む中で、許容範囲を広げるなどの対応をすべての学校が行っております。
そうしたことは、教育的意義や社会通念上に照らしても、合理的な範囲内であると認識しております。

 子どものアンケート結果についてのご質問にお答えいたします。
これからの世の中において、よりよい社会と幸福な人生の創り手となる力を身に付けられるようにするには、子どもたち自身が主体となり、自分の意志で物事を考え、判断し進めていくこと、そして、自らの行動に責任をもち、自立していくことが大切です。
今回のアンケート調査での子どもたちの意見はこれからの時代に沿うものであり、大変頼もしく感じたところでございます。
子どもたちのこうした意見や声を大事にして、新しい教育ビジョンにつなげていきたいと考えております。

 中学校の校則についてのご質問にお答えいたします。
中学校においても、集団生活の場における規則は必要であると考えております。
現状として、区内中学校においては、校則として、肌着について11校、靴下について14校、髪型について5校で記載されておりツーブロックという記載はありません。
 校則についての説明は、すべての学校で、入学前の保護者説明会や新年度の学級活動の機会を通じて行い、個々の理由や、なぜ守るべきかという説明も実施しているところです。
校則の見直しを求める意見等、具体的な件数は把握しておりませんが、そうした声があることは認識しております。また、実態調査を行う予定はございませんが、これまで以上に実態把握に努めてまいります。
校則は、学校が一方的に与えるものでなく、児童生徒の実情、保護者の考え方、時代の進展などを踏まえ、学校と生徒、そして保護者が一緒に考え、見直し、作り上げていくことが大切であると考えます。
 現在、区内中学校においても、子どもたちの自治的な活動の一環として、生徒総会等において、学校のルールについて子どもたち同士が話し合ったり、アンケートを実施したりする機会を設けることで、生徒に考えさせている学校があります。
教育委員会といたしましても、今後、こういった取組をより一層、広めてまいりたいと考えております。
 
 つづきまして、標準服についてのご質問にお答えいたします。
生徒が自由に標準服を選択することは大事なことであると認識しております。本区においても、生徒や保護者の申し出に応じ、標準服の選択ができるようになっているところです。