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2022年第3回定例会一般質問「住宅施策について」「ジェンダー平等について」「ハラスメント対策について」質問全文と答弁の概要

日本共産党杉並区議団を代表して、住宅施策について、ジェンダー平等について、ハラスメント対策について、質問します。

■最初に、住宅施策です。
私は、昨年の第1回定例会で、住宅施策について質問しました。
前回の質問で、とりわけ民間賃貸住宅に住む方々への支援をとりあげたのは、コロナ禍でパート就労の縮小など収入が激減し、家賃を払うために食事を切りつめているなど、深刻な声が多数寄せられたからです。それから1年余が経過しましたが、コロナ禍とともに、かつてない異常な物価高騰が区民を直撃し、民間賃貸住宅に住んでいる方からは、家賃負担の重さ、将来にわたって払い続けられるのか、引き続き、深刻な声が寄せられています。
80歳の女性は、収入は国民年金の5万円のみで、家賃は7万円、家賃の不足分と生活費を貯金から取り崩して暮らしています。食費も切り詰めていますが、貯金も少なくなり、いつまで持つか不安でたまりません。都営住宅はもう何年も申し込んでいますが、あたりません、と話していました。また、母親と二人で暮らす50代女性は、定年が近づき、退職後も家賃を支払い続けられるか不安、と訴えていました。
こうした切実な声にどうこたえていくのか、区の姿勢が問われています。
現在、区は、住宅マスタープランの改定を進めていますが、あらためて問題提起をしたいと思います。

(1)基本認識
Q1.私は、前回の質問のなかで、健康で文化的な生活保障を定めた憲法25条とともに、国際的にも国連人権規約や国連人間居住会議が、負担可能な費用で、安全で健康的な住宅に住むことを人々の権利と明記していることを紹介しました。
この見地に立って、住宅施策に取り組むことが求められており、改定住宅マスタープランでも、「住まいは権利」という見地を明記すべきと考えますが、区長いかがですか。

(2)杉並区の現状
住宅をめぐる状況は、5年ごとに発表されている総務省の住宅・土地統計調査報告で、他区との比較などを詳細に知ることができます。私は、平成30年(2018年)調査を分析してみました。
率直にいって、杉並区は、23区のなかでも住宅施策は貧困で、住宅水準が低い住宅が少なくないことを認識しました。この認識を明確にすることが、住宅施策を検討するうえで前提になると思います。統計にもとづく私なりの分析を紹介します。区としての分析と認識をお答えください。

Q2.一点目は、杉並区は、23区のなかでも、借家住宅が多数を占め、しかも借家のなかで公営住宅、すなわち都営、区営住宅の比率が低いことです。住宅総数にたいする民営借家数の比率は、23区全体では43.5%ですが、杉並区は6.6ポイント高い50.1%で、半数の住宅が民営借家です。借家数に占める公営借家数の割合は、23区は6.3%ですが、杉並区は2.2%。約3分の1です。これは統計をもとに私が分析したものですが、相違ないでしょうか。

Q3.二点目は、これも調べて驚いたことですが、杉並区は最低居住面積水準未満の住宅比率が高いことです。最低居住面積水準について、国は「健康で文化的な住生活を営む基礎として必要不可欠な住宅の面積に関する水準」と位置付けており、単身世帯では25㎡となっています。ところが、杉並区でこの水準未満の住宅は4万9720戸、住宅総数の15.8%。さらに借家でみた場合、水準未満の住宅比率は28%です。住宅全体比でも、借家住宅比でも、特別区及び都全体とくらべて高いのではありませんか。区としての分析をお答えください。

私は、杉並区の住宅に関するこうした状況をみれば、「住まいのみやこ」などと到底いえるものではないと思います。また、こうした現状を無視して「住まいのみやこ」などと美化することは許せません。

Q4.以上明らかにした杉並区の住宅の現状について、区長はどう認識しますか、この現状を直視し、打開のための手立てを住宅マスタープランに示すことを求めますが、いかがですか。

(3)区のこれまでの対応
次にただしたいことは、こうした深刻な事態があるなかで、杉並区が、これまで、どう取り組んできたのかということです。

Q5.区は、住宅マスタープランのなかで、住宅確保要配慮者へのセーフティーネット対策として住宅の提供目標を示しました。しかしそのトップは特養ホームで2307人、障害者グループホーム・ケアホームが245人、杉並型サービス付き高齢者向け住宅が500戸、あわせると3052人というものでした。前回の質問で、特養を住宅扱いするのは不適当ではないかとの指摘に対し、区も「課題がある」と見直しを表明しました。そこで伺いますが、目標に対し、住宅を提供できた人は何人だったのか、うかがいます。

Q6.区の住宅施策でも大きな課題が公営住宅の整備・提供です。
2000年度を起点に2020年度の公営住宅数を調べてみましたが、人口も世帯数も増加しているにもかかわらず、公営住宅数は減少しているのではありませんか。世帯数に占める公営住宅数比率も後退していると思いますが、いかがですか。また、この間、区はどのように取り組んできたのか、具体的にお答えください。

Q7.公営住宅の新規整備を行わない理由として、民間賃貸住宅が供給されていることをあげています。しかし、公営住宅と同じ程度の規模の住宅で、かつ公営住宅に近い家賃で入れる住宅は区内にどれだけあるのでしょうか。お答えください。

Q8.関連して、民営借家に入れるように、国は家主にたいし、家賃を引き下げるために家賃補助の仕組みをつくり、国は補助金を出しています。この家賃補助制度、家賃債務保証料等家賃低廉化補助は、区内ではどれだけ実施されているのですか。

Q9.さらに、区独自の家賃助成についてです。予算特別委員会資料でも、23区中19区が何らかのかたちで家賃助成を実施していることが確認されました。前回の私の質問にたいし、担当部長からは、家賃助成について所管で議論している、しっかり議論して対応してゆくと答弁がありましたが、いまだに実施されていません。岸本区長が、制度の検討を表明したことは重要ですが、所管では、この間、どのように検討、議論してきたのですか。

(4)住宅施策での提案
Q10.次に、住宅マスタープランに生かしていただきたい点について提案します。
①国連人間居住会議などが宣言した、負担可能な費用で、安全で健康的な住宅に住むことを区民の権利とし、区がその提供に全力をつくすという基本的立場を明確にすること。
②区の最大の住宅施策は、公営住宅の整備提供であり、国も公営住宅の整備目標をもつことを住宅基本計画で定めています。区営住宅、みどりの里の戸数増加をはかること。みどりの里の更新時に戸数減少にならないよう万全の対策をとること。都にたいし、都営住宅の増設及び建て替え等にあわせ、戸数の増加を求めること。
③国の補助制度を活用し、民間借者(しゃくしゃ)入居支援策として家主への家賃助成を実施すること。
④かつて区として実施していた高齢者専用居室提供事業、若いファミリー世帯向けの借り上げによる区立住宅制度の復活をはかること。
⑤高齢、年金生活者など、もっとも深刻な層を対象に家賃助成制度を創設すること。
⑥最低居住面積水準の引き上げ目標を明確にすること。
以上、検討を求めますが、区長、いかがですか。

Q11.次期住宅マスタープランについて、都市環境委員会の報告資料では、杉並区住宅施策推進会議で、改定に向けた検討を進めると記載されていましたが、区のホームページでは、この会議での検討状況などまったく公表されていません。構成メンバー、これまでの会議の開催数とそのテーマ、提出された資料を明らかにしてください。また、区民生活に直結した課題であり、パブリックコメントの実施を求めます。いかがですか。

■続いて、ジェンダー平等について質問します。
「性暴力やハラスメントを許さない」「夫婦別姓を選択できるようにしてほしい」ジェンダー平等を求める国民の声と運動が広がる一方、2022年の日本のジェンダーギャップ指数は146か国中116位と、依然として低いままです。
1979年に女性差別撤廃条約が採択され、日本政府は1985年にこれを批准しながら、具体化にはまともに取り組んできませんでした。いま大きな問題になっている「男女の賃金格差の是正」も「選択的夫婦別姓の法改正」も、国連の女性差別撤廃委員会から繰り返し是正勧告を受け続けてきたにもかかわらず無視し続けてきたのです。政府には、口先だけの男女共同参画や多様性の尊重ではなく、本気でジェンダー平等に取り組むことが求められています。

(1)基本認識
誰もが性別にかかわらず、個人の尊厳が大切にされ、自分らしく生きられるジェンダー平等の社会は、すべての人にとって希望に満ちた社会であり、私は、杉並区としてもあらゆる施策にジェンダー平等の視点を据えるよう求めてきました。
Q1 岸本区長も選挙公約にはジェンダー平等の推進を掲げており、今後の取組を大いに期待したいと思います。そこで、区長にうかがいますが、日本がジェンダーギャップ指数116位と遅れた位置にあることについてどう受け止め、杉並区として、今後、ジェンダー平等をどのように前進させていこうとするのか、決意をお聞かせください。

(2)女性への支援体制の充実
今年5月、生活困難、DV被害、社会的孤立、性的搾取等で苦しむ女性たちを包括的に支援する「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」が超党派の議員立法により、全会一致で可決・成立しました。
これまでの女性支援は、性売買に従事する女性の取り締まりや保護更生を目的とした売春防止法にもとづいて行われてきましたが、新法は、基本理念に当事者の「意思の尊重」「人権擁護」「男女平等の実現」を掲げ、「女性であることにより様々な困難な問題に直面することが多い」と支援の必要性、都道府県と自治体の責務を明記しました。民間支援団体との協働も盛り込まれました。

Q2 女性支援法の成立は、支援を受ける女性の声や、実際に現場で支援にあたる人びとの切実な声と運動を力に実現したもので、画期的なものだと思います。生活困難や社会的孤立、性暴力、性的搾取などの問題を抱える女性に対し、区として、現在どのような支援を行っていますか。新法の施行は2024年度からですが、どのように施策を発展・強化させていくのか、お答えください。

Q3.当事者一人一人の意向や意思を尊重した支援を行うためには人員の強化・充実が欠かせませんが、支援の中核を担うべき婦人相談員は、現在、全国にわずか1500人で86%が非正規雇用といわれています。杉並区の婦人相談員の配置、雇用形態はどうなっていますか。今後、支援員の育成などが必要と考えますが、区はどう認識していますか。

(3)痴漢被害、包括的性教育
次に、子どもや若者にとって最も身近な性暴力である痴漢被害について、質問します。
内閣府が初めて行った痴漢を含む若年層の性被害についての調査結果では、回答者の4人に1人が痴漢被害にあったと回答しました。これを受けて、今年度中に「痴漢ゼロ」にむけた政策パッケージを策定することが「女性版骨太の方針2022」に明記されました。「痴漢ゼロ」を国が政策課題に掲げたことは重要な前進です。また、新たな都の男女平等参画総合推進計画に「痴漢等の対策については、関係機関と連携して取り組みを進めます」と明記されたことも重要な一歩です。

Q4.私は、前回の質問で、「痴漢は性暴力であり犯罪である」という啓発活動、被害にあった時の相談先などの情報提供の強化を求めました。区は、他自治体の取組を参考に必要な改善・充実を図っていきたいと答弁しましたが、この間、どのように取り組んできたのですか。

日本共産党東京都議団のアンケートで、「どのような支援があるとひとりで抱え込まずに状況を伝えてみようと思えるか」との問いに「話を聞いてくれる場所・人」の回答が多数でした。痴漢被害の相談先などについての情報発信がより大切だと思います。
Q5.中野区ではホームページで、「痴漢・盗撮被害」についても、被害事例や相談窓口を紹介しています。杉並区のホームページでも、痴漢被害についての対応を記載するなどの情報発信を強化すべきですが、いかがですか。

Q6.来年度から、「生命(いのち)の安全教育」が本格実施となります。子どもが性犯罪・性暴力の被害者にも加害者にも傍観者にもならないための教育としていますが、痴漢についてはどのように取り上げられていますか。

共産党都議団が行ったアンケートで「痴漢・盗撮被害をなくすために必要だと思う対策」として、「人権教育」「性教育」と回答した人が圧倒的多数でした。
「生命の安全教育」は、深刻な性暴力に対応するプログラムとして期待があるものの、性教育とは異なるものです。多くの国では、ユネスコの「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」に沿って性教育が行われていますが、日本は遅れています。
Q7.「生命の安全教育」のなかで、ジェンダーに基づく暴力の問題や性的同意、誰もが自分の体について決める権利を持っていることを学ぶ「包括的性教育」の視点を据える必要があると思いますが、いかがですか。

(4)生理の尊厳
次に、生理をめぐる問題についてうかがいます。
経済的な理由で生理用品が買えない「生理の貧困」が世界的なムーブメントになりました。日本でも、各地で生理用品の無償配布や学校トイレに配備する取組が広がっています。私は、これまでの一般質問でも、杉並区の小中学校のトイレに常備することを求めてきました。前回の質問で、区内では、小学校2校、中学校2校でトイレへの配備が始まったと答弁がありました。

Q8.区は、地方創生臨時交付金を活用し、今年10月から来年3月まで全小中学校のトイレに配布するとしたことは重要な前進です。来年3月以降も生理用品配備のための予算を確保し、小中学校全校での実施を求めますが、いかがですか。

Q9.さらに、区施設のトイレにも常備するよう検討していただきたいが、見解をうかがいます。

Q10.日本若者協議会と#みんなの生理の2団体が行った学校での生理休暇導入のアンケート結果では、生理を経験する生徒の8割以上が腹痛や頭痛などの理由から学校を休みたいと思ったことと回答。しかしその反面、約7割が主に成績や内申点への悪影響を心配して休めない、また、周囲からの理解を得られないことから学校を休むことができず、その結果、体調の悪化、精神的・身体的につらい思いをしている生徒が少なくない、と回答しました。区内の児童生徒にも、こうした実態があるのではないですか。どう認識し、対応していますか。

Q11.調査に取り組んだ団体のみなさんは、労働者には生理休暇があるが中高生にはない。しかし、中高生の生理痛が大人より軽いということはないとして、国や都に対し学校での生理休暇の導入を求めています。生理痛がひどくても我慢して登校するのが当たり前のような風潮がありますが、女性の健康と権利を尊重する観点からも非常に大事な提起ではないかと気づかされました。区の認識はいかがですか。

女性の生涯の月経回数は約450回。生理用品の生涯負担額は50万円以上と言われています。日本では、生理の貧困について、「経済的な理由で生理用品を購入できない女性や女の子がいる」こととされていますが、アメリカ医学女性協会は「生理に関する衛生的な手段や教育が十分に行き届いていない状態を指す」と定義しています。
Q12.国際セクシュアリティガイダンスには、9歳から12歳の学習内容に「月経は秘密やスティグマとして扱われるべきではない」と書かれています。学校で、生理のしくみや生理痛、月経前症候群、生理を取り巻くスティグマ等、児童生徒や教員への生理教育を推進することが必要と思いますが、認識をうかがいます。

(5)パートナーシップ制度に関連して条例制定を
わが党区議団は、多くの自治体に広がっているパートナーシップ制度の創設を繰り返し求めてきました。区長が、所信表明で、区議会でパートナーシップ制度の創設に関する陳情が採択されたことを踏まえ、区民や当事者の方たちからの意見を聞きながら杉並区版パートナーシップ制度の年度内の条例化を目指すこと、事実婚も含めたパートナーの証明ができるよう、議論をしっかり行っていく、と述べたことを心から歓迎します。

Q13.パートナーシップ制度に関連して、前回も取り上げた男女共同参画に関する条例についてうかがいます。
私は、改めて23区の最近の動きを調べてみました。今年度、江戸川区では「性の平等と多様性を尊重する社会づくり条例」を制定。中野区では「人権及び多様性を尊重するまちづくり条例」を制定。どちらも、日本国憲法の理念、人権と性の多様性の尊重を盛り込んだものとなっています。
杉並区でも、人権や多様性を尊重する観点でのジェンダー平等に関する条例制定を求めますが、いかがですか。

(6)女性管理職を増やすことについて
ジェンダー平等の最後に、女性管理職を増やすことについてうかがいます。
今年度の区職員の女性割合は57.8%ですが、管理職は125名中23名、18・4%で目標の30%を大きく下回っています。とりわけ部長級の女性割合の少なさは深刻で、36名中1名しかいません。

Q14.女性管理職は一朝一夕に増やせるものではありません。一般職員の段階から、窓口や庶務的な業務だけでなく、政策立案等の能力を発揮できる経験を積んでいくなかで増やしていくことができるのではないでしょうか。女性職員が庶務的な業務に偏っていないか、各部署で極端に女性職員が少ないという傾向がないか等、チェックしていくことも必要と考えますが、いかがですか。
区長は、より多くの女性職員が課長になりたい、部長になりたいと思える、挑戦できる環境の醸成に向け最大の努力を傾けて行くと表明しました。大変頼もしく受け止めています。令和7年度女性の管理職30%目標の達成に向けて、どのような方策を考えていますか。お答え下さい。

■最後に、ジェンダー平等と関連して、区役所におけるハラスメント対策について質問します。
パワーハラスメント、セクシャルハラスメント、そして妊娠や育児に関するハラスメント行為は、相手に精神的、身体的苦痛を与え人格や尊厳を踏みにじる行為です。それは職場の職員にたいしても精神的苦痛をあたえ、職場の雰囲気を悪化させ、職務にも影響を及ぼすもので、絶対に許されてはなりません。

Q1.杉並区はもちろん法令等にもとづいて対策をとってきたと思いますが、私は匿名で職員の方から一通の手紙をうけとり驚きました。管理職のパワハラに関する告発です。名前は伏せて紹介しますが、「以前から部下への強圧的な言動が多く、数多くの職員を苦しめてきた」等と書かれていました。こうした訴えを区はどう受け止めますか。こうした状況があるのではありませんか。

Q2.私は、公務職場におけるハラスメント対策について調べてみましたが、2020年6月に「「改正労働施策総合推進法」が施行され、地方公共団体においても「厚生労働省指針」にもとづき、パワーハラスメントを防止する措置を講じることが求められました。さらに同年10月には、総務省から「地方公共団体におけるパワーハラスメント対策の取組状況について」と題する文書が出され、取組の徹底が要請されました。
この文書に添付された「厚生労働省指針」では、行為者にたいし厳正な対処を就業規則に規定することを定め、運用においては懲戒規定の対象となることを周知することが紹介されています。こうした法令や通知をうけ、区はどう取り組んできたのですか。
しかし、手紙のような声があることは、前区長のもとで、幹部を先頭に対策が徹底されてこなかったことを示すのではありませんか。お答えください。

Q3.区長は、「あらゆるハラスメントのない、すべての職員が安心して自身の能力を発揮でき、区民のために働ける職場づくりを進めます」と所信表明で述べました。 今後、ハラスメントのない職場づくりに向け、どのように取り組んでいくのか、区長の決意をうかがいます。

Q4.ハラスメントのない職場は、幹部はもちろん、職員全体が力をあわせて作り上げていくことが求められます。この点で、足立区では、職員労働組合の提案に区長がこたえ、区長と労働組合委員長による労使一体のハラスメント防止共同宣言が昨年9月に結ばれました。宣言では、「私たち足立区職員は、すべての職員が個人として尊重され、お互いに信頼し合って快適に働ける職場環境を作り、それを維持していくことが必要」とかかれ、「足立区は、ハラスメントを明確に禁止する」と盛り込まれています。杉並区でもこうした取組を参考にしてはいかがでしょうか。

先ほど紹介した匿名の手紙の最後には「多くの心ある職員は、区役所の改革に向けて、新区長とともに歩んでいきたいとも考えています」と書かれていました。区内最大の事業所である杉並区が模範となって、あらゆるハラスメントを根絶するために全力を尽くすことをもとめ、質問を終わります。

【答弁】

(区長)

私からは、くすやま美紀議員のご質問のうち、杉並区の住宅の現状認識についてお答え致します。区では、この間、区営住宅や民間賃貸住宅などの既存ストックの有効活用を図り、真に住宅に困窮する区民に公平かつ的確に住宅を供給してまいりました。

その一方で、区内では民間賃貸住宅の空き室等も増えてきており、その活用策として、多くの特別区で行っている家賃助成制度を実施してまいりたいと考えております。

また、区営住宅においては、同居親族等の転出などにより単身世帯となった方が引き続き家族用住宅へ入居することにより、家族用住宅を必要とする世帯に十分に行き渡らない事例が増えております。

こうした世帯人数と住宅規模のミスマッチを解消するため、老朽化した区営住宅の建て替えにあたっては、単身用住戸の割合を増やしていきたいと考えております。

これらの方策を杉並区住宅マスタープランに記載することについては、現在、改定作業を進めておりますので、その中で検討してまいりたいと考えております。

(都市整備部長)

私からは、住宅施策に関する残りのご質問にお答えいたします。まず、杉並区住宅マスタープランに関する一連のご質問にお答えいたします。

杉並区住宅マスタープランは、住生活基本法や杉並区住宅基本条例に基づく計画でございます。住生活基本法の基本理念には、「住宅が国民の健康で文化的な生活にとって不可欠な基盤」であることを明記しており、また、杉並区住宅基本条例第1条において、「杉並区の住宅施策は、良好な住環境の下で、良質な住宅が確保され、区民一人一人がゆとりある住生活を主体的に営むことができるようにすることを目標とする。」と規定しています。杉並区住宅マスタープランは、これらを基本として策定しておりますので、ご指摘の「住まいは権利」という見地は既に包含しているものと認識しております。

住宅セーフティネットに係る目標に関するお尋ねですが、特別養護老人ホーム確定定員は、目標値2,307人に対して令和3年度実績は2,400人、障害者グループホーム・ケアホーム利用者数は、目標値245人に対して令和3年度実績は276人、サービス付き高齢者向け住宅の令和3年度実績は296戸となっております。

また、縷々ご提案いただきました内容につきましては、現在、杉並区住宅マスタープラン改定作業を行っておりますので、その中で検討してまいります。

次に、公営借家の割合に関するお尋ねですが、平成30年住宅・土地統計調査によりますと借家数に占める公営借家の割合は、23区で6.3%、杉並区で2.2%となっております。

公営借家は都営住宅と区営住宅を合わせたものを指しますが、当区では23区全体の中で都営住宅の供給数が他区と比較して少ないことが、公営借家の割合が低くなっている要因と捉えております。

次に、最低居住面積水準未満の住宅比率に関するお尋ねですが、平成30年住宅・土地統計調査における杉並区の比率は、住宅総数では15.76%、借家住宅数では26.82%、また、東京都の比率は、住宅総数では11.95%、借家住宅数では22.51%であり、特別区の比率は、住宅総数では13.13%、借家住宅数では23.38%となっています。

なお、区の最低居住面積水準未満の住宅割合は、平成25年調査で19.58%であり、平成30年と比較すると約4ポイントの減となっています。このことは、区が平成16年に最低敷地面積の制限を設けたことなどにより、徐々に改善されたものと考えております。

次に、公営住宅の提供に関するお尋ねですが、区では、区民が優先的に入居できるよう、都営住宅の区への移管を行っており、今後も引き続き取り組んでまいります。

また、令和3年度に改定した杉並区営住宅長寿命化計画では、区営住宅の有効活用のため、単身用住宅の確保を目的とした立替計画が必要であることを盛り込んでおります。

次に、民間住宅に関するお尋ねですが、公営住宅と同程度の規模で公営住宅に近い家賃で入居可能な区内民間賃貸住宅数は把握しておりませんが、住宅確保要配慮者等からのご相談には、不動産関係団体の協力のもと、なるべく条件に合った住宅の案内に努めております。

区内の住宅ストック数は総世帯数を上回っている現状から、公営住宅だけに頼るのではなく、民間賃貸住宅のストックも有効活用した居住支援について引き続き進めてまいります。

次に、家賃補助制度等の実施状況に関するお尋ねですが、家賃債務保証料等低廉化補助につきましては、高齢者等入居支援事業として家賃等債務保証料の一部助成として実施しておりまして、令和3年度の助成件数は53件でございます。なお、家賃補助制度につきましては、当区では実施しておりません。

次に、区独自の家賃補助に関するお尋ねですが、この間、所管においては、助成期間、助成対象、助成終了後の負担、公平性の課題などを検討・議論してまいりました。今後は、これまでの検討を一段上げて、家賃補助制度の実施に向けた幅広い検討を行ってまいりたいと考えております。

私からの最後に、杉並区住宅施策推進会議に関するご質問にお答えいたします。

推進会議につきましては、私、都市整備部長を会長として住宅施策に関連する部署の職員9名で構成する会議体でございます。今年度は6月に開催し、住宅マスタープランの改定作業手順やスケジュールのほか、関係各課への調査などを主な議題として会議を行い、今後は9月に開催を予定しているところです。なお、住宅マスタープランのパブリックコメントは実施いたします。

私からは、以上でございます。

 

(区長)本区におけるジェンダー平等の取組についてのご質問にお答えします。

ご指摘のとおり、世界経済フォーラムが公表した2022年のジェンダーギャップ指数において、日本は146カ国中116位で、今回も主要7カ国の最下位となっており、我が国の社会全体の取組は大変遅れていると受け止めております。

こうした認識の下、区としては、本年5月に改定した男女共同参画行動計画等に基づく取組を、より一層総合的かつ重点的に推進する必要があると考えており、まずは、区内最大規模の事業者である区役所において、適性のある職員に対し、管理職選考の受験勧奨を行うとともに、令和5年度から導入される管理職選考指名制を活用し、女性管理職30%の目標達成を図ります。そのために、私が直接女性職を員との対話を行い、その意見を反映して女性が働き易い職場づくりを進め、昇任意欲を高めてまいります。

また、区内事業者がジェンダー平等の視点に立って、更なる女性の管理職登用を進めることをいかに促していくかなど、区民・事業者をはじめ社会全体にジェンダー平等の意識と行動を根付かせていくということも大きな課題であります。今後、多様な意見を聴きながら、本区におけるジェンダー平等を力強く前進させていくための取組を総合的に検討し、可能なものから実施していく考えでございます。

(保健福祉部長)

問題を抱える女性への支援に関する一連のご質問にお答えします。

生活困窮や性被害等、困難を抱える女性は、解決すべき課題が複合化・複雑化している場合が多いことから、区では、福祉事務所、男女平等推進センター、保健所及び子ども家庭支援センター等が、緊密に連携を取りながら、安定した生活が送れるよう支援しているところです。

また、令和6年4月に施行される女性支援法においては、国が定める基本方針に基づき、自治体は基本計画を定めることとされております。区といたしましては、国の基本方針策定の動向を注視しながら、関係所管による情報共有と連携を図り、今後の取組などを研究していく考えです。

次に、婦人相談員についてのお尋ねですが、区では、売春防止法に基づき、3福祉事務所に婦人相談員を各1名配置しており、雇用形態につきましては、常勤2名、再任用1名となっております。今後、新たな法律に基づき、相談体制や支援のさらなる強化等を図ることとなった場合は、支援員のあり方についても検討してまいります。

(区民生活部長)

痴漢等の被害に係る区の情報発信及び啓発活動についてのご質問にお答えします。

まず、区の痴漢被害に係る情報発信については、この間のご指摘を踏まえ、痴漢を含む性暴力の相談先を区のホームページに掲載ずるほか、それらの関連情報を記載したリーフレットを作成・配布いたしました。盗撮被害についての被害事例や相談窓口につきましても、区ホームページに既に必要なリンクを貼るなどの対応を図っており、今後とも、より見やすく分かりやすいものにするよう、これらに関する情報発信の改善・充実に努めてまいりたいと存じます。

また、痴漢・盗撮の被害防止に係る今年度の啓発活動としては、6月に阿佐ヶ谷駅において、駅構内のデジタルサイネージの実施、チラシ配布及びパトロールによる注意喚起を行ったほか、11月の「女性に対する暴力をなくす運動期間」に合わせて、パネル展示や「パープルリボン」を活用した啓発イベント等を実施していくこととしてございます。

(教育政策担当部長)

私からは、生命(いのち)の安全教育及び性に関する指導についての御質問にお答えします。

「生命(いのち)の安全教育」は、子どもたちが、性暴力の加害者、被害者、傍観者にならないために、命の尊さを学び、自分や相手、一人一人を尊重する態度等を身に着けることを目指す教育です。痴漢については、体に触る性暴力の一つとして、取り上げられています。

また、学校における性に関する指導は、子どもたちが性に関する正しい知識を身に付け、適切な意思決定や行動選択ができるよう、体育科・保健体育科はもとより、道徳科や特別活動等、教育活動全体を通じて行っております。具体的には、性の多様性、身体的・生理的な仕組み、プライベートゾーンを守ることの理解、犯罪被害を防止する学習等を発達段階に応じて実施しています。

性に関する指導は、子どもたちの人格の完成を目指す重要な教育であり、今後も学習指導要領に示された内容をもとに、適切に指導を進めてまいります。

子どもの生理に関する御質問にお答えします。

区としましても、生理による体調の悪化により、心理的な不安を抱えている子供は少なくないと考えております。

学校においては、子どもたちの健康・安全を第一に考えており、心身の調子が良くない場合に、無理に登校させたり、授業参加を促したりすることはないと認識しております。また、生理を含む体調不良による欠席は申し出に応じて配慮しており、生理休暇を導入する必要はないと考えております。なお、体調不良による欠席が成績や内申点に悪影響を及ぼすことはありません。

加えて、子どもたちの体調等について、学校は養護教諭を中核として、学級担任や教科指導教員と連携して配慮するとともに、心身の悩みや相談に適切に対応しております。

また、生理に関する理解促進につきましては、学校がより一層、子どもたちの心身の不調による心理的な不安に対応できるよう、今後も働きかけてまいります。

また、生理に関する理解促進につきましては、初経や月経の仕組みなど、男女共習による体育科・保健体育科の保健学習や宿泊行事前の保健指導などを通じて行っております。今後も、学習指導要領に示された発達段階に応じた内容をもとに、学校における性に関する指導の中で適切に進めてまいります。

(教育次長)

私からは、小中学校のトイレに配備する生理用品予算に関するご質問にお答えします。

区では、児童・生徒が生理への不安を感じることなく学校生活を送れるよう、公立小・中・養護学校全体のトイレに生理用品を配置することとしました。これについては継続した取組が必要と考えますので、来年度の予算等についても、検討してまいりたいと存じます。

(保健福祉部長)

区施設のトイレに生理用品を配置することについてのご質問にお答えします。

区では昨年度から、廃棄される災害備蓄品の生理用品を有効活用し、「くらしのサポートステーション」において、生活に困窮する方へ生理用品を無償提供してまいりました。現在も民間企業等からご寄附いただいた生理用品を用いて、同様に無償提供しております。

なお、他の区施設のトイレに生理用品を配置することについては、他の自治体の取組を参考にしながら、効果的・効率的な配布方法や継続的な取組の必要性の観点から全庁的な視点で検討を重ねることが必要と考えております。

(区民生活部長)

ジェンダー平等に関する条例制定についてのご質問ですが、本区では、既に区議会の議決を得て、自治基本条例の基本理念において、「一人ひとりの人権尊重」等を規定するとともに、男女共同参画都市宣言も行っておりますので、現時点においてご指摘のような条例を制定する考えはございません。

(総務部長)

私からは、女性管理職に関するご質問についてお答えします。まず、女性職員の配置先についてのお尋ねですが、職員の配置先は男女を問わず、本人の希望や適性などを踏まえ決定しており、性別によって配置先を固定しているということはございません。

男性を含め管理職への昇任意欲を向上させるためには、政策立案を含む様々な業務を経験させることが欠かせないことと認識しておりますので、計画的な人事配置に努めてまいります。

(区長)

次に、ハラスメントのない職場づくりに関する御質問にお答えします。私は、ハラスメントの無い職場づくりを進めることが、職員一人ひとりの能力を最大限に発揮させる働きやすい職場環境を整え、組織の生産性を高めることとなり、ひいては区民福祉の向上につながるものと考えております。

私の就任後は、公約に掲げたハラスメントのない職場を目指し、全職員を対象とする実態把握のためのアンケート調査を、庁内に設置したセクシュアル・ハラスメント等防止対策委員会で検討し職員団体とも協議のうえ実施するとともに、係長級以上の職員を対象に研修を実施したところです。今後、アンケート調査の結果を基に、対策委員会で具体的なハラスメント防止対策を検討し、あらゆるハラスメントの無い、全ての職員が安心して能力を発揮できる職場づくりを進めてまいります。

(総務部長)

私からは、ハラスメントに関する残りのご質問にお答えします。ご指摘の匿名の手紙の件につきましては、内容が分かりませんので真偽についてお答えすることはできませんが、これまで職員からパワハラに関する相談が複数寄せられていることは事実であり、解消していかなければならないと受け止めております。

また、これまで対策が徹底されてこなかったのではないかとのご指摘がありましたが、区は、改正労働施策総合推進法に基づく取組として、従来からハラスメント防止に関する研修を実施するとともに、昨年度は、ハラスメント防止施策を推進するため、セクシュアル・ハラスメント等防止対策委員会を設置し、同委員会でハラスメント行為の禁止や、その行為者が懲戒処分の対象となることなどを明記したパンフレットを作成し、今年4月に全庁に配布しております。しかし、現実として現在もハラスメントに関する相談が寄せられているということは、更に対策を強化していかなければならないと認識しております。

ご指摘の、足立区でのハラスメント防止の取組につきましては、今後の取組強化に当たっての参考にして参ります。