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2023年第1回定例会一般質問「地域公共交通計画」「区としてのハラスメント対策」「校則の見直し」「区施設での生理用品配置」質問全文と答弁の概要

   日本共産党杉並区議団を代表して、地域公共交通計画について、区としてのハラスメント対策について、校則の見直しについて、公共施設での生理用品配置について、以上4項目、質問します。

■地域公共交通計画について
 はじめに、現在策定が進められている地域公共交通計画について質問します。
 日本共産党杉並区議団は、金子議員が2018年第4回定例会で取り上げて以降、本会議では3回にわたって、公共交通不便地域・空白地域の解消を求め質問してきました。
 最初の質問では、フランスの交通法典、福岡市の生活交通確保に関する条例なども紹介し、区民の移動を保障する区の責務についての認識をただすとともに、独自に公共交通空白地域の地図を議場で示し、区の対応を迫りました。区は、空白地図について「その通りかと推測」と答弁し、ニーズ把握の調査を表明しましたが、計画策定は表明しませんでした。
 その後、区は、地域公共交通計画の策定に着手し、昨年末に発表された計画案では、公共交通に求められる役割として「区民1人1人の移動を生涯にわたって支え、移動の自由を確保する」と明記したことは、わが党の提起に合致するものであり、評価するものです。しかし、問われることは、真に交通不便地域が解消され、どの地域に住む人も、また高齢者や障害者でも、区民誰もが移動できる対策が取られるかどうかです。そうした立場から、計画案について質問します。

 まず、交通不便地域の設定についてです。
Q1.計画の策定にあたり、区は、交通不便地域の設定を、これまでの駅から500m以上離れた地域から800m以上離れた地域に変更しました。その結果、区内の不便地域の面積は従来の15%から8%に削減されました。しかし、800m徒歩10分程度という設定は、高齢者や障害者を無視した判断ではありませんか。しかも、駅から直線の一本道で歩行するという設定も実態とは乖離しています。例えば、南荻窪3丁目28番10号にある視覚障害者福祉協会・杉並アイプラザは、直線にすれば駅から800m以内で不便地域圏外になりますが、区ホームページに記載されている行き方だと、距離にして800mを超えるのです。駅から800m以内を、機械的に不便地域から排除することはしないで頂きたいと思いますが、いかがですか。

Q2 区が実施した区民へのアンケートの自由記載のなかに、「久我山駅から一丁目方面の坂がキツイのですぎ丸にきてほしい」という声がありました。久我山1丁目都営住宅にお住まいの高齢者の方からも同様の声を聞きました。不便地域の設定にあたっては、駅やバス停からの距離、坂道など地域の状況、住民のみなさんの要望など、総合的に検討すべきと思いますが、いかがですか。

Q3.計画案の目標3では、「区内における公共交通不便地域は、すぎ丸の運行等によっておおむね解消されましたが」と記載しています。しかし、実際には交通不便地域があり、すぎ丸の路線延長の要望があがっています。「おおむね解消」という記載は不適切であり、再検討すべきと思いますが、いかがですか。

 次に、交通不便地域への対策についてです。
 計画案では、「区域を限定したデマンド交通をタクシー事業者と連携して、主に交通不便地域において実施する」と記載していますが、デマンド交通が、住民にとって使いやすく、歓迎される交通手段なのか疑問です。
 デマンド交通は、時間も移動経路も固定せずに予約運行するものですが、国土交通省中部運輸局発行の「デマンド型交通の手引き」では、1人当りの運行経費が高くなることや、予約という仕組みが利用者になじむのかという問題もあり、導入した市町村の7割が見直しを考えていると紹介されています。
Q4.なぜデマンド型交通を採用するのでしょうか。不便地域すべてで、デマンド型交通にするのですか。実証運行はどの地域を予定し、予約システム、運行経路はどのように想定しているのか、お答えください。

Q5.住民にとって、予約制で、しかもスマホでの予約だとしたら抵抗もあると思います。不便地域解消の努力は重要ですが、住民に理解され歓迎されることが土台だと思います。住民意見を尊重するとともに、実証運行の検証結果のうえにたって、実際の運行方式を決定すべきではないでしょうか。いかがですか。

Q6.三鷹市では、私も乗ってみましたが、三鷹台と明星学園往復の短い路線を、いわゆるグリスロでの定時運行に向けた実証運行を行っています。地域の状況や需要に応じた多様な形態で不便地域の解消に向け努力すべきと思いますが、いかがですか。
 計画案では、デマンド型だけでなく、私たちが提案した自家用有償旅客運送や、福祉輸送など輸送資源の活用が打ち出されています。さらに、医療関係の輸送もありますが、現時点での検討及び準備状況をお答えください。

Q7.関連して、(仮称)荻外荘公園の開園にあわせたグリーンスローモビリティの運行について伺います。「区民や来街者の回遊性向上」は求められますが、車両、運行本数、路線、料金など、どのように想定しているのでしょうか。また利用者は年間ないし1日どの程度と想定しているのでしょうか。
 また、車体についてですが、実証運行時のゴルフカースタイルの窓のない構造だと雨天や強風時の運行が可能なのか懸念されますが、いかがですか。一定期間、実証運行をしたうえで本格運行に移行すべきと思いますが、いかがですか。

 次に、すぎ丸についてうかがいます。
 計画策定のためのアンケート調査で、すぎ丸に対する意見、要望で上位にあがったのが「運行便数がもう少し増えるとよい」「運行時間を延ばしてほしい」でした。路線の延長や新設については、なぜか回答項目が設定されておらず確認できませんでしたが、自由記入欄では、「南北への移動が不便なので、すぎ丸の路線を増やしてほしい」(和泉)、「すぎ丸の運行範囲を拡大してほしい、限られたエリアになっている」(高円寺)、「すぎ丸の範囲拡大及び本数の増大を望みます」(和泉)「走っていない地域にも増やしてほしい」(井草)など、多数の要望が確認できました。

Q8.計画案の「すぎ丸の魅力を高めるための再設計」では、「朝夕の運行時間帯の拡大、運行本数の増加、路線の延伸、回送区間の営業化など、検証しながら柔軟に見直しを検討する」と記載されています。時間や本数、回送営業など拡充の努力をする、路線の延伸等も検討するということですね。区としての決意を明確に示してください。
 なお、すぎ丸の延伸や路線の新設の要望は、方南・和泉地域の方の記載が多くありました。そのことはどのように受け止めていますか。あわせてお答えください。

Q9.すぎ丸の運行路線の距離は、面積が杉並区よりも狭い区とくらべても、短いのが現実ではありませんか。杉並、中央、港、文京、台東、墨田、渋谷のコミュニティバスの運行路線距離を示してください。

 次に、運賃についてです。
Q10.計画案では、高齢者や障害者の運賃について無料化検討の記載があったことは良いのですが、一律100円の妥当性を検討すると記載されていることが気にかかりました。先ほど紹介したすぎ丸に関するアンケートで、運賃については「いまのままでよい」との回答が1位でした。
 しかも、計画案には、同規模の他の自治体と比較して、すぎ丸は収支比率が高いと記載しています。すなわち、杉並区は、区の補填額が他区にくらべて低いと区自身認めているのです。関東運輸局の調査では、都市部では収支比率が75%以下の自治体が68%、7割近くあるなかで、杉並区は2017・18年度で80%台でした。
 ちなみに、2021年度の杉並区の補填額が5千5百万円だったのにたいし、台東区は2億6千万円、渋谷区2億1千万円です。
 こうした状況をみれば、すぎ丸運賃の値上げの必要はまったくないではありませんか。基本運賃を据え置いたうえで、高齢者、障害者の無料化も行うべきではありませんか。お答えください。
 
 すぎ丸の周知、利用促進についてです。
Q11.アンケートへの回答で驚いたことは、すぎ丸を知っていますかという質問たいし、16.7%の方が「今回はじめて知った」すなわち知らなかったということです。また、自由意見のなかに「すぎ丸がどこで乗れて、どこまで行けるのか等、詳しくわかりやすくしてほしい」という要望がありました。身近な移動手段としてキャンペーンを強化すべきと思いますが、いかがですか。

Q12.地域公共交通計画についての最後に、2030年カーボンハーフ、2050年実質カーボンゼロにむけた、交通及び車両分野の施策、すぎ丸の電気自動車への切り替え計画について、お答えください。

■区としてのハラスメント対策について
 次に、区としてのハラスメント対策について質問します。
 区長が昨年11月に「杉並区ハラスメントゼロ宣言」「わたしはしない 見過ごさない」と打ち出したことは重要であり、タイムリーだったと思います。区における現状と対策について伺います。

Q1.まず、区としてのハラスメント対策の重要性について確認します。人格や尊厳を踏みにじるハラスメントが許されないことは明白ですが、区においては、公務職場としての特別の重要性があると思います。人事院の「公務職場におけるパワー・ハラスメント防止対策検討会報告」では、公務職場が国民に行政サービスを提供するために運営されていること」に留意し、「勤務する職員がその能力を最大限に発揮できる職場」であるべきこと、さらに「パワー・ハラスメントの防止について模範となる職場」であるべきと強調しています。区長は、区役所としてのハラスメント対策をどのように考え、ゼロ宣言をだしたのですか。
 宣言発表の動機となったのは、昨年8月から9月に実施されたハラスメントに関するアンケート

調査の結果だと思いますが、私はこの結果を見て驚きました。その第1は、ハラスメント行為を受けたことがあると回答した人が411人に及んだことです。第2は、「ハラスメントを行ったのは誰ですか」の回答で一番多かったのは上司で549人があげ、次が先輩職員でした。第3は、ハラスメントの定義を「知らない」が44%、相談員の設置を「知らない」が56%など、ハラスメントについての基本的な周知がされていないことが浮き彫りになったことです。

Q2.この深刻な結果への対応についてうかがいます。まず回答でハラスメントをうけた人が411人もいたことは重大であり、この実態を絶対に見過ごしてならないと思いますが、どう対応したのでしょうか。
 回答者名は無記名で行為者が特定できないなら、行為者の告発、相談をよびかけるべきであり、それがハラスメントゼロ宣言の「見過ごさない」の実践ではありませんか。呼びかけ、働きかけをしたのですか。しなかったとしたら、その説明を求めます。

Q3.ハラスメントの定義や相談員の設置すら知らない職員が多数いたということは、前区長のもとで、ハラスメントに関する周知が徹底されず、それがハラスメント行為を受けた職員が411人にも及ぶ事態になったのではありませんか。どう認識していますか。
 さらに、昨年4月に職員向けパンフレット「ハラスメントのない職場をつくろう」を発行したにもかかわらず、それが徹底されなかった結果をどう反省していますか。その後、どう徹底の努力をしているのですか。

Q4.厚生労働省は、職場におけるハラスメントについて具体的な指針を告示しています。そこでは、事業主が講ずべき措置として、ハラスメントを行った者は、「懲戒規定の適用の対象となる旨を明確化し、これを労働者に周知・啓発すること」と定めています。この指針はどう具体化されたのですか。4月に発行されたパンフレットでは「ハラスメントの事実があったときは」の項で「懲戒処分を行う場合があります」と記載していますが、ハッキリとわかるよう見出しに立て、指針のように「懲戒処分の適用対象」だと強調すべきと思いますが、いかがでしょうか。

Q5.パワー・ハラスメント対応で、指導かパワハラかの判断、境界が難しいという話をうかがったことがあります。これは、パワハラ行為を許さない上でも、また認定し処分等の措置をとるうえでも重要な問題だと思います。現時点でどう考えていますか。
 厚労省の指針でも示されたように、「労働者が受ける身体的又は精神的な苦痛」の実態に目を向けることが重要と思いますが、いかがですか。

Q6.指針ではまた、事業主としての措置を講じる際には、労働者、労働組合の参画を得て検討することが重要としています。ハラスメント対策について労働組合と意見交換をすすめていくべきではないでしょうか。

Q7.ハラスメント対策の最後に、区の規程についてうかがいます。
 ハラスメントに関する区の例規集、要綱集には「杉並区役所におけるセクシャル・ハラスメント等の防止等に関する規程」及びその「取扱基準」さらに「杉並区職員の懲戒処分に関する指針」がありますが、表題だけでなく諸規程にかかる文書まで、すべてセクシャル・ハラスメント等と規程しています。また取扱基準では、セクシャル・ハラスメントについては「ヌードポスターなどを職場にはる行為」「お酌やチークダンスの強要」など異常に詳細にわたって記載しているのにたいし、パワー・ハラスメントについては抽象的な表現となっています。さらに懲戒処分の指針における対象行為の記載なども厚労省の指針にそくして整理が必要ではないかと思いますが、いかがですか。

■校則の見直しについて
 次に、区立小中学校の校則見直しについて質問します。
 私は、2021年第3回定例会でこの問題をとりあげました。それは、子どもの権利条約にもとづき、子どもの権利の尊重、子どもに係る施策決定への参画が重視され、全国で校則見直しの動きが広がるなかで、杉並区の現状と教育委員会の対応についてただしたいと考えたからです。
 私の質問で、区内小中学校の校則の状況が浮き彫りになりました。区立中学校は23校ありますが、肌着について校則で規制している学校が11校、靴下について規制している学校は14校、髪型については5校でした。
 また、小学校でのキャラクター付きやファスナー付きの筆箱禁止についての決まりは、学校側が、子どもたちが授業に集中するようデザインのない箱型筆箱をお願いしているとの答弁でした。

Q1.私は、校則の実態調査の実施、文科省の校則見直し通知にもとづき学校に見直しの検討を求めることを提案しましたが、教育委員会は実態把握に努める、学校のルールについて子ども同士が話し合う取組を広めてまいりたいと答弁しました。その後の、実態把握の結果、及び校則見直しの状況について、報告してください。

 強い寒気が日本列島を襲った1月下旬、インターネット上で「指定品以外のコートの着用は禁止する」など防寒着を制限する校則が話題になりました。
 杉並区立のある中学校でも黒のフリースジャンパー着用で登校した生徒が「校則違反」と指摘された事例があったと知りました。この中学校では「ベンチコート、ウインドブレーカー、ダウンは着用禁止。その他は黒、紺、灰色、茶色でワンポイントは認める」と文書で周知していますが、フリース素材の着用禁止は明文化されていないということでした。
Q2.保護者からは「先生はフリース、ダウンなどを重ねて着こんでいるのに、子どもには認めないというのは理不尽。思春期の女性の体を冷やすのは良くない」「ニットのベストも禁止なので夏服の薄いものを着ている」「寒さに耐えさせるのは人権問題。時代に即して変えてほしい」などの声があがったということですが、当然のことと思います。
 2021年6月に出された文科省の通知では、「校則は社会の常識、時代の進展などを踏まえたものになっているか、絶えず積極的に見直さなければなりません」とし、見直しにあたっては、児童生徒、保護者の参加も例示し「校則の見直し等に取り組んでいただきますようお願いいたします」としています。
 フリースやダウンなどは、社会的に普及している防寒着ではありませんか。区教委は、こうした校則を妥当だと判断しますか。保護者の声をどう受け止め、どう対応しますか。お答えください。
 
 次に、昨年12月に発表された学校提要改訂版についてうかがいます。マスコミも改訂の特徴として校則に関する記載をあげており、該当箇所だけですが、私も読んでみました。
 私が注目した点は、提要のまえがき及び生徒指導の取組の留意点で、児童の権利に関する条約を紹介し、その4原則の理解が不可欠だとしたことです。
Q3.改訂された提要では、子どもの権利についてどのように記載しているのか、またその提起を杉並区教育委員会としてどう受け止めているのか、お答えください。

Q4.さらに、注目したのは、平成22年版提要とくらべ、校則に関する記載が大きく変わったことです。どのように変わったのか、何が新たにうちだされたのか、説明を求めます。また、改訂内容を教育委員会としてどう受け止めたのか、お答えください。

Q5.私は、今回質問するにあたって、生徒自身による校則見直し、改訂版提要が提起した校則をホームページで公表、すでに実践している例として、加古川市陵南中学校の取組を加古川市教育委員会のホームページを通じて見ることができました。教育委員会も承知と思いますが、この中学校の取組の概要をお答えください。

Q6.提要では、校則の見直しに関する取組の事例を紹介しています。教育委員会の取組例としては、第一に校則の内容、見直し状況について実態調査の実施。第2に、学校等の実態に即した運用や指導ができているのか等の観点から、必要に応じて校則を見直すよう依頼。第3に、校則を学校のホームページへ掲載するとともに、校則について生徒が考える機会を設けるよう改定手続きを明文化するなど、児童生徒・保護者に周知するよう依頼する、です。
 杉並区教育委員会としても、当然こうした取組が求められていると思いますがいかがですか。また改訂にもとづいて教育委員会としてどう取り組んだのか、お答えください。

■公共施設での生理用品配置について
 最後に、公共施設での生理用品の配置について質問します。
 経済的な理由で生理用品を買うことが出来ない、あるいは正確な生理の知識にアクセスできないなどの状態をさす「生理の貧困」が社会問題となりました。十分な生理用品がないために、ナプキンを長時間使用したり、トイレットペーパー等の代用で対処している実態も明らかとなり、専門家は不衛生な生理への対応は重大な病気を引き起こしかねないと指摘しています。
 国連女性機関日本事務所長の石川雅恵(かえ)氏は、「『生理の貧困』の根源は人権問題であり、女性が衛生的に生活できる環境の確保も、守られるべき「基本的人権」である」と述べています。
 生理を女性の尊厳にかかわる問題としてとらえ、経済的な負担を減らす取り組みが各国で進んでいます。
 スコットランドでは昨年、地方自治体や教育機関に対し、生理用品の無償提供を義務付ける法律が施行されました。世界で初めて、公共の場で生理用品を無償で利用できる権利が法的に保護されたのです。アメリカ・カリフォルニア州は、生理用品の入手は基本的な人権だとする法を制定しました。
 日本でも、自治体レベルで、無料配布を行ったり、公共施設や学校トイレへの配置など、様々な取り組みが広がってきています。
 私は、コロナ禍のもとで「生理の貧困」問題が可視化され、女性特有の負担を社会全体で解消していこうという取組みが広がっていることは、人権尊重、ジェンダー平等への大きな一歩だと捉えています。

 そこで、3点伺います。
Q1 生理の貧困をめぐる世界的な運動は、貧困対策・経済的支援にとどまらず、女性の性にかかわる健康と権利の尊重を求めるものとして大きな意義をもつものと考えますが、区長の認識はいかがですか。

Q2 杉並区でも、くらしのサポートステーションで希望する方への生理用品の無償配布が行われ、昨年10月からは区立小中学校トイレへの配置が始まったことは重要です。
 考えてみれば、民間施設でも学校や公共施設でもトイレットペーパーが置かれているのが当たり前になっています。トイレットペーパーと同じように、生理用品が女性トイレにあることがスタンダードになる、そうした気運を区から広げていってほしいと思います。
 第3回定例会でも、区の施設への配置を求めましたが、引き続き区民から要望が寄せられており、区庁舎はじめ公共施設での生理用品配置を求めるものです。どうお考えでしょうか。

Q3 他自治体では、民間企業と連携し、公共施設の女子トイレ個室に、スマートフォンの操作で生理用品を受け取る機器が備えつけられているところがあります。
 利用者は、トイレ内に掲示されるQRコードから専用アプリを自分のスマートフォンにダウンロードし、スマホを機器(ディスペンサー)にかざすと、取り出し口からナプキン1個を受け取れるという仕組みです。ディスペンサーの液晶モニターから映し出される広告動画による収益によりナプキン代がまかなわれるため、自治体の費用負担はありません。23区では豊島区が本庁舎、男女平等推進センター、区民センター等に設置、中野区でも本庁舎の女性トイレに設置し、杉並区内では、東京女子美術大学のキャンパス内に設置されているそうです。
 予算をかけずにすぐできることとして、まず、本庁舎や区民センターなどの公共施設のトイレに導入してはいかがでしょうか。答弁を求め、質問を終わります。

【答弁】

■地域公共交通計画

(都市整備部長)

 まず、交通不便地域に関するお尋ねですが、交通不便地域の考え方は、一つの目安として駅やバス停から離れたエリアを明示するもので、各自治体によって異なっており、区では区民委員を含む杉並区地域公共交通活性化協議会での議論を踏まえ800mと設定いたしました。また、高齢や障害なおの個人特性、道路勾配等の地形状況といった様々な要因もあるため、区としては、距離によって一律に排除するなど一つの考え方にとらわれずに、区内全域で移動の利便性向上に努めていきたいと考えております。

 次に、交通不便地域の解消につきましては、民間路線バスとの連携やすぎ丸の開通により、概ね区内の不便地域は解消しているのが実情であるとの認識でございます。

   デマンド交通については、依然は地方部での実施が主であったものの、近年のAIやIoT等の技術革新に伴い、昨今は都市部でも運行する自治体が出始めております。

 区では、これまで、区域型乗合デマンドタクシーの導入を検討し、事業採算性等を理由に断念した経緯がありますが、すぎ丸のようなバスによる路線定期運行は道路事情により限界があるため、再度、デマンド交通の運行について検討することといたしました。

 実施地域や運行経路等については、民間バスやタクシーなど既存交通との競合に留意する必要があり、慎重に検討する必要があります。加えて、予約にあたっては、コールセンターの設置など、デジタルデバイドへの配慮も欠かせないものと認識しております。

 また、移動の利便性の向上に向けては、グリーンスローモビリティなど多様な選択肢があるなかで、住民意見もうかがいながら、協議会において多角的に検討する必要があると考えております。

 なお、自家用有償旅客運送等につきましては、現在事業者等にヒアリングをしており、各々の活用要件を整理しているところでございます。

 次に、グリーンスローモビリティの運行に関するお尋ねですが、令和6年度の(仮称)荻外荘公園開園を見据え、荻窪地域での導入に向けて取組を進めております。

 昨年の試乗会や実証運行を経て、路線については概ね決定しており、現在、課題要件を整理しているところです。

 なお、車両、運行本数、運賃などは、次年度の事業計画検討のなかで、需要予測や再度の実証運行の必要性も含め、詳細を決めていく考えでございます。

 次に、南北バスすぎ丸に関する一聯のご質問にお答えいたします。

 まず、計画案に基づく、すぎ丸の見直しの方向ですが、新型コロナウィルスの影響で公共交通全体の需要が落ち込んでおり、以前の水準まで回復することは困難とも言われております。このような現状から、今後の区民の移動需要を見極めるとともに、交通弱者への支援の必要性やご指摘の運賃も含め、協議会での慎重な議論をすべきであると考えてございます。

 なお、すぎ丸の新設等の要望が方南・和泉地域から多く寄せられたとのご指摘ですが、確かに当該地域から多くのご要望がございましたが、他の地域からもご要望があがっており、区といたしましては、その多寡にかかわらず、新たな公共交通を望む切実なお声として受け止めております。

 次に、他自治体のコミュニティバスとの運行路線距離の比較ですが、当区が約22㎞、中央区約22㎞、港区約97㎞、文京区約31㎞、台東区約66㎞、墨田区約27㎞、渋谷区約54㎞となっております。

 次に、すぎ丸の周知ですが、計画案に記載のとおり、モビリティマネジメントという、区民が公共交通などを最適な移動手段として選択するための、ナッジ(行動科学の知見)を活用した施策を実施する予定で、今後はキャンペーンの強化も視野に、すぎ丸を含めた公共個通の利用促進に注力してまいります。

 最後に、脱炭素社会に向けた交通施策などについてお答えします。

 脱炭素社会の実現に向けては、交通分野においても取組を進めていく必要があり、中でも、自家用車の利用から公共交通への利用転換やバス車両等のEV化等の推進とともに、自転車や電動スローモビリティの利用促進も重要であると認識しております。

 また、すぎ丸については、これまで毎年概ね1台買い替えを実施している中、次年度は初めてEV車両を1台導入する予定であり、その後も継続的な導入を検討してまいります。

■区としてのハラスメント対策

(区長)

 ハラスメントゼロ宣言に関するご質問ですが、ハラスメントは個人の尊厳を傷つける人権侵害に行為であり、私は、パワハラ、セクハラ、差別が起きない職場環境を作ることを選挙公約に掲げました。

 その実現に向け、区長就任後、まずはハラスメントの実態を把握するため、職員アンケート調査を実施いたしました。その結果、過去3年間にハラスメントを受けたことがあると回答した職員が400人以上にのぼりました。ハラスメントの根絶に向けた具体的な取組を速やかに行わなければならないと決意を新たにし、ハラスメントゼロ宣言を行ったものです。

(総務部長)

 ハラスメントに関する職員アンケート結果への対応に関するお尋ねですが、今回実施しました職員アンケートは、ハラスメントに関する状況を把握することを目的に無記名で行ったものです。区長のハラスメントゼロ宣言は、職員が相談しやすい環境が醸成され、相談件数も増えており、個別の事案ごとに丁寧に対応しております。

 次に、アンケートの結果から、ハラスメントの定義や相談体制について職員への周知が不十分であることを認識しましたので、現在、セクシャル・ハラスメント等防止対策委員会で相談体制の見直しについて、検討を行っているところです。

 また、区長のゼロ宣言を皮切りに、この間の周知不足等を改善するためにも、係長級以上のハラスメントゼロ宣言や組織目標へのハラスメント対策を追加するなど、全庁を挙げてハラスメント根絶に向けた対策をスタートしております。

 次に、ハラスメントが懲戒処分の対象であることを職員向けパンフレットに強調し記載すべきであるとのご指摘ですが、今後、懲戒処分の対象となることは、方法を工夫してしっかりと周知してまいります。

 次に、指導かパワーハラスメントかの判断に関するお尋ねですが、業務上必要な指導や指示であっても、相手の性格や能力などを踏まえて行う必要があり、パワハラの相談を受けた際には、当事者双方の主観のみではハラスメントか指導かの判断が難しいため、第三者からのヒアリングも行うなどして、客観的な判断を行う必要があると認識しております。

 その際には、厚生労働省の指針にもありますとおり、当該言動により労働者が受ける身体的または精神的な苦痛の程度等も総合的に考慮しております。

 次にハラスメント対策について労働組合と意見交換を進めていくべきとのお尋ねですが、ハラスメントに関しては、日頃から職員団体との意見交換や情報共有を行っており、セクシャル・ハラスメント等防止委員会にも、職員団体が推薦する職員が委員として参加し、根絶に向けた検討を一体となって行っております。

 最後にハラスメントに関連した区の諸規程の整理についてのお尋ねですが、ハラスメントに関する区の諸規定は、これまで必要に応じた整理を行ってきましたが、現在、区にもハラスメント対策を強化するため、法改正や各種指針を策定するなど、防止対策を進めております。

 こうした状況を踏まえ、区といたしましても関連する規程等の整理は必要であると認識しており、今後、内容の見直等の検討を行ってまいりたいと考えております。

■校則の見直し

(教育政策担当部長)

 区立中学校においては、令和3年度から4年度にかけて、全ての学校で校則や学校の決まりの見直しを行っており、状況としては着実に進んでおります。

 校則に規定のない防寒着を着て登校した生徒に対して、教員が校則違反と指摘した事例ですが、校則の運用については、校則を守らせることばかりにこだわるのではなく、何のために設けた決まりなのか、子どもたちがその理由を理解して、主体的に校則を遵守するようにすることが大切であると考えます。教育委員会としては、各学校の校則について判断する立場にはありませんが、社会の変化や状況に応じて、生徒や保護者の声に耳を傾けながら見直しを図っていく必要があると考えております。

 なお、当該の学校では、本事案について、生徒・保護者に引き続き丁寧に説明を行うとともに、次年度に向けて、防寒着についてのルールを、生徒の声を反映して見直していくということを確認しております。

 改訂版の生徒指導提要では、子どもの権利について「子どもたちの健全な成長や自立を促すためには、子どもたちが意見を述べたり、他者との対話や議論を通じて考える機会を持ったりすることは重要なことである」との記載があり、その例として「校則の見直し」の検討に子どもたちが関わることが記されています。

 また、校則に関する記載ですが、「校則の制定に当たって少数派の意見も尊重し、子どもの能力や自主性を伸ばすものとなるよう配慮すること」や「何のために設けたきまりか、教職員がその背景等について理解するとともに、子どもが自分事としてその意味を理解して自主的に校則を守るように指導すること」等が新たに追加されています。

 教育委員会としましては、「杉並区教育ビジョン2022」にもありますように、子ども自身が当事者として、自分たちの学校生活について考え、議論することは大切なことだと捉えております。校則を見直す際にも、子どもの意見を聞いたり、子ども自身がそのルールの根拠や影響を考えたりするなど、身近な課題を自ら解決できる教育活動が行えるよう、学校を支援してまいります。

 校則の見直しに関するご質問にお答えします。

 まず、加古川市立陵南中学校の取組についてですが、教育委員会としても確認してございます。本国おいても、生徒会をはじめ、学校・学年・全校で話し合い、校則や学校のルールについて見直しを図るなど、同様の取組を多くの区立中学校で進めております。

 生徒指導提要に取り上げられている校則の見直しに関する取組の事例についてですが、教育委員会では、各学校の実態を把握するとともに、教育課程届出説明会や生活指導主任会において、子どもの参画による校則・きまりの見直しを進めていくよう指導しております。また、ホームページについても、中学校入学前の児童や保護者等も含め、学校内外の関係者が参照できるようホームページへの掲載を求めているところです。

 教育委員会とし増しては、今後も、子ども・保護者・地域とともに、よりよい学校づくりを進めていくことができるよう、学校を支援してまいります。

■区施設での生理用品配置

(区長)

 区の施設における生理用品の配備についてのご質問ですが、国がまとめた「女性活躍・男女共同参画の重点方針2022」においても、経済的な理由で生理用品を購入できない女性が存在するという「生理の貧困」は、女性の健康や尊厳に関する重要な課題とされており、ご指摘にあった世界的な取組は、区としても大きな意義があることと認識してございます。

 区は現在、「生理の貧困」への支援として、くらしのサポートステーションにおいて、民間企業等から寄付された生理用品を生活困窮者等に無償提供するほか、区立小中学校の女子トイレに生理用品を配備しているところですが、議員が引用された、中野区や豊島区をはじめ、各自治体で防災備蓄や企業等からの寄付などを活用して生理用品を無償配布する取組は、この間、確実に広がってきていると承知しております。

 こうした状況を踏まえ、当区として、ご提案のように区施設で生理用品を配備することを含め「生理の貧困」にどう向き合い、対応していくかを関係部局でしっかり検討するよう、私から指示をしてまいります。